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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

海の詩

作者: 入江 涼子
掲載日:2026/04/22

 1、珊瑚


 私は海辺、砂浜を一人で歩く


 さくさくと砂が鳴る


 ふと、日の光に反射して


 何かがきらりと光った


 足を止めて、その場にしゃがみ込む


 よく見ると、白い珊瑚だった


 確か、持っていたらお守りになるんだっけ


 思い出しながら、珊瑚を拾う


 帰宅したら


 よく、真水で洗おうか


 少し浮かれながら、珊瑚をズボンのポケットに入れた


 砂浜を後にしたのだった


 2、波音


 ザザンと波音がする


 俺はそれを金属製の柵の方から、眺めた


 昔、真夏の八月頃だったか


 初めて付き合った彼女と二人でこの港にデートをしに来た


 風がやたらと強い日だったか


 彼女は被っていた帽子が飛ばされてしまって


 慌てて、それを追いかけていた


 俺が代わりに追いかけ、掴んで


 渡した


 彼女はにこやかに笑いながら、礼を言ってくれた


 もう、あれから五年は経ったか


 今、彼女はこの世にいない


 末期癌で診断結果が出た時、余命は半年だった


 俺は必死で彼女のお見舞いに行き、家族の人達と一緒に支え続けたが


 半年後、彼女は早逝する


 享年は二十九歳だった


 俺は片手に持っていた彼女が好きだった白百合の花束を一本ずつ、海に放り投げた


 何故か、鼻の奥がツンと痛くなる


 ぽつりと空からも涙のような雫が落ちてきたのだった


 3、海を照らす月


 静かな夜だった


 あたしは一人で満月を眺めていた


 ザザンと波が引いては寄っていく


 砂浜とアスファルトの道路の狭間、コンクリートの階段の上でだけど


 きらきらと星も瞬いていた


 ただ、息を飲む程に綺麗な光景だ


 幻想的と言うか


 あたし、昔から月が好きで


 時折、両親の目を盗んではこの海岸に来ては月を眺めていた


 見つかった時は凄く、叱られたな


 懐かしく思い出す


 お月様、あなたって人の姿になったらさ


 凄く美人な女性か


 もしくは超がつくイケメンか


 はたまた、うさぎの姿かな


 確か、外国では嫦娥様と言う凄く綺麗な女神様だとか聞いたっけ


 日本では月読尊と言う男神様だけど


 国によって、違うなとしみじみとなった


 ただ、満月は静かに海や夜空を照らしていたのだった

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