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4.この1年でスキルを5つ覚えました


「弟子にして下さい!」

「帰れ!」


「英雄になりたいです!」

「知るか!」


「剣を教えて下さい!」

「知るか!」


「どうしたら強くなれますか?」

「知るか!」


「教えてくれるまで帰りません!」

「クソガキ!」


 延々とこんなやり取りを繰り返した。お爺さんは中々剣を教えてくれなかった。しかし、ある程度用事が済んだのか、薪を割りながら、そこの木の棒を拾って振ってみろと、素振りを見てくれ出した。



「ユーマ、なんで英雄になりたい?」


 お爺さんは、父さんよりムキムキな体で薪を簡単に割っていく。



「うーん、カッコいいから!」

「カッコ、ええか…」


 ふん、ふん、ふん、ふん、同じ身長くらいの木の棒を頑張って振る。集中していて、お爺さんの悲しげの顔には気づかなかった。



「わしゃあの〜」

「ふん、ふん、ふん、ふん!」


「昔はこれでも名の知れた剣士での〜」

「ふん、ふん、ふん、ふん!」


「魔族とも命を掛けて戦ったんじゃ」

「ふん、ふん、ふん、ふん!」


「しかし、国はそんなワシを…」

「ふん、ふん、ふん、ふん!」


「ユーマ、ちったーワシの話を聞かんかい!」

「え? 何?」


 素振りに集中して全然聞いてなかった。



「大丈夫だよ師匠」

「ん?」


「よく分かんないけど俺が英雄になったら英雄譚に師匠の名前を入れてあげるね」

「ユーマ…」


 お爺さんは少し涙ぐんでる様にみえた。



「なら先ずは兎に角ひたすら振れ、雨の日も、風の日も、毎日兎に角振り続けろ!」

「はい、師匠!」


 俺は読書の合間にひたすら振り続けた。木の棒は師匠に頼んで少しだけ剣の形に削ってもらった。






 1年後


 素振りしていたら頭の中に変な声が響いた。



『剣術Lv1を取得しました』



 俺は嬉しくなって師匠の元まで駆けた。



「師匠ー、剣なんちゃら1覚えたー」

「ううん、……遅い!」


 どうやら読書の合間に振っていたせいで、取得に相当時間がかかったみたいだ。

 ちゃんと毎日ずっと振っていたら割とそこそこ早く習得できるそうだ。


 でもしょうがないのだ。それには理由があった。英雄になるために剣だけではダメだと思って、この一年色々と試していたのだ。



 この1年で頭の中に聞こえた声をまとめてみた。


【戦闘スキル】

・剣術Lv1

 …剣の扱いが上手くなる。

【生活スキル】

・速読Lv1

 …読む速度が上がる。

【狩猟スキル】

・剥取りLv1

 …獲物の剥ぎ方が上手くなる。

・罠師Lv1

 …罠の作り方が上手くなる。

【鍛治スキル】

・研師Lv1

 刃物の研ぎ方が上手くなる。



 この5つのスキルを習得できた。

 速読は本を読んでいたら勝手に覚えた。剥取りと罠師は、狩人で耳の長いイケメンおじちゃんに習った。

 研師は鍛冶屋の背の低い筋骨隆々のおっちゃんに習った。本当は剣や包丁を作ってみたいけどメチャクチャ怒られた。けどしつこく粘ったおかげで、ナイフの研ぎ方だけは教えてくれた。



 そして凄くいい事を2つも聞いた。

 なんでも10才になると『鑑定の儀』と呼ばれる、種族・身分・性別問わず全員に義務付けられている儀式を受けなければならない。

 そしてなんとその儀式で、【職業スキル】を神様より授かるそうだ。凄い人は最初からLvが高かったり、幾つも貰えたりするそうだ。


 ただ、この職業スキルはLvが一切上がらないらしい。



 もう1つが【魔法スキル】。

 魔法…それは才能がないと一切使えない特別なもので、例えばの話をしよう。


 例えば、ファイヤーボールという【火魔法】を覚えていたとしても、【魔法スキル】に火魔術Lv1がなければ魔法は使えないそうだ。





「魔法か〜欲しいなぁ〜」

「魔法を覚える事自体は簡単よ。ユーマでも簡単に覚えれるよん」


 商人の冴えなくてモテなくて煙草臭いおじさんは教えてくれた。



「ほんと⁉︎」

「ホントホント、魔導書を読んだらあら不思議、誰でも楽々覚えちゃいました、みたいな?」


「魔導書か〜」

「ただね〜これがバカ高いのよ。オマケに一度読まれたらその魔導書はもう使えないしね」


「そうなんだ」

「昔、知り合いのばあさんに聞いた話なんだけどね、なんでも人は覚えれる魔法の数がそれぞれ決まってんの」


「そうなんだ」

「そんで大昔、凄い魔法を3つ覚えた魔導士がいたんだと。そいつどうなったと思う?」


「え、どうなったか? 凄い英雄になったとか?」

「それがね〜その魔導士は3つしか魔法を覚えれなくてね、オマケにその3つの魔法と適正の魔法スキルを持ってなかったんだと」


「え、それって…」

「そう! その魔導士は凄い魔法を3つも覚えているのに、生涯で1度も魔法を使えなかった魔導士さん、でした〜めでたしめでたし、ってね」



「それは…怖いね」

「そう。だからユーマも自分の魔法スキルがあるのかないのかちゃんと分かってから魔導書は読めよ〜」


「なるほどね。魔法スキルがないのに高い魔導書を買ってもお金が勿体無い。あるけど適正のない魔法を覚えたら、その人みたいになると」

「流石ユーマ、覚えがいいね〜」


「魔法スキルはどうやって覚えるの?」

「さてねぇ、おじさん商人だからそこまではね〜…覚えてる人は最初から覚えてるだの、職業スキルで覚えるだの、とか聞いた事はあるかな〜…」


「ふーん。じゃあ鑑定の儀が終わるまでは魔導書は読まない方がいいし、買わない方がいいね」

「そういうこと」

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