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14/22

14.なんだか凄い名前の剣を買いました


 その日の夜に、師匠に換金して貰った報酬を受け取った。師匠はおじちゃんの護衛で明日は領主の元へついて行くそうだ。なので明日は3人だけの自由行動。俺たち3人はベッドにお金を広げた。


 全部合わせて大体15万Gくらいだった。1人5万くらいは使える。



「どうする? もう分けとく?」

「私計算よく分かんないしユーマ持っててよ」


 ジャンヌは戦闘に関する事なら覚えが早いが、単純にお勉強は出来ない子だった。



「私もユーマくんが持ってるなら安心かな。私だと無くしそうだし…」


 ちょっと分かる、と思ってしまったことはルナには内緒にしとこう。



「了解、ならお金は俺が預かるから支払いは任せてよ」


 と、カッコつけるがあくまでこれは皆んなのお金だ。



「それじゃあ私はそろそろ寝るね…グー」

「はやっ!」


「私も疲れたから休むね…おやすみユーマくん…すぅ」

「はやっ!」


 2人とも余程疲れたのだろう。なんせマトモに泊まれたのは野盗を突き出した時の町だけだ。後は全て野宿。久々の布団が気持ちいいのだろう。



「俺も…ぐぅ……………腹減ったな」


 何か夜食でも食べてから寝よっと。


 






 次の日の朝。



「おはよーユーマ!」

「お、おはようユーマくん」


 ジャンヌとルナに叩き起こされた。むにゃむにゃまだ眠い。昨日は食べ過ぎ…ではなく楽しみすぎて寝られなかった。



「早く行こっ!」

「う、うん…」


 流石に朝の準備くらいはさせて欲しい。



 準備をし朝ごはんを食べ俺たちは街へと繰り出した。おじちゃんや師匠は既にいなかった。






 ハルシオン街は今日も人で賑わっていた。明日は連日続く『市』の最大の日らしく、その前日ともなると昨日よりも更に盛り上がっている様に感じた。


 俺たちは迷子にならない様3人で手を繋いだ。凄く楽しい。人混みは苦しいけど3人で買い物をするのはとても楽しかった。



「はぁ、はぁ、はぁ……やっと着いた」


 ごめんなさい。

 少し嘘をつきました。

 やっぱり混雑は苦しかった。

 明日の市もこれかと思うと少し憂鬱になった。



「ねぇ早く早く」

「ま、待ってよジャンヌちゃん…」


 俺とルナは疲労困憊。

 反対にジャンヌは目的のお店が目の前にあり元気いっぱいだった。



 カランコロン



 街の喧騒とは打って変わってお店の中は静かだった。お店の中には剣や槍、様々な武器が飾られていた。中には乱雑に長箱に差してあるだけのものもあった。



「……らっしゃい」


 店主の頭はハゲており、片目には眼帯がしてあった。俺たちをチラリと見るも直ぐに読んでいた新聞?と呼ばれる記事に視線を戻した。



「ねぇおじちゃん、5万Gくらいの剣ちょーだい!」


 ジャンヌは店主の風貌に臆することなく、目的の物を聞いた。



「……嬢ちゃん、剣士か?」

「うーん、まだ剣士じゃないかな。私、鑑定の儀まだだもん」


「…マジか、俺はてっきり誰かスゲー奴に鍛えられた剣士かと思ったぜ」


 この店主は見る目があった。普通の人ならジャンヌや俺たちを見て剣士とは思わない。ただの子供が興味本位で来ただけだと思うだろう。


 実はこのお店は師匠に勧められて来たのだ。流石師匠だ。俺はもしかしたら子供には剣や武器は売ってくれないかと思ったが、なんか売ってくれそうな雰囲気だ。



「……5万Gしかないのか?」

「うん。本当はもうちょっとあるけど私が使えるのはそれくらい」


 ジャンヌはニパッと笑った。



「…お前さんだと5万Gの剣なんて直ぐ物足りなくなるぜ」

「ダメ。これは皆んなのお金だからこれ以上は出せません」


 店主は商売上手だ。もっと高くていい剣を売りたいのだろう。ジャンヌもそれが分かったのか頬を膨らませ断固拒否した。



「ジャンヌちゃん、私の分使っていいよ」

「え、なんで? それだとルナの魔導書買えないよ」


「ううん。魔導書は基本的に凄く高いから、5万で買える魔導書なんてほとんどないって師匠が前に言ってた」

「そうなの? それじゃあ今使える魔法はどうやって覚えたの? 村長の孫娘って実はかなりお金持ち?」


「ううん。私が使える魔法はたまたま生まれた時から私が覚えてたってだけで、魔導書を読んで覚えた訳じゃないの。それにうちがそんなお金持ちな訳ないよ」


「ふーん。でもいいの? もしかしたら5万で買える魔導書があるかもしれないじゃん」

「……うん、いいの。あるかも分からないものより、と、友達が欲しいものを買える方が私は嬉しいかな」


「でもそれだとルナが欲しい物があった時買えないじゃん」

「大丈夫。私は諦められるし、それに絵本や物語でも私は充分嬉しいから」


「ルナ…」

「だからジャンヌちゃんが欲しい少しでもいい剣を買って」


 2人ともなんてええ子なんや。俺の友達はええ子しかいない。どうだ店長、これが俺の自慢の友達だ。俺は凄く2人が誇らしくなった。



「あ、なら俺も…」

「おっちゃん感動したぜ!」


 俺の言葉は店主のでかい声に遮られた。店主のおっちゃんは大号泣だった。



「この道30年の俺の目に狂いはねぇ! アンタら2人は必ず大成する! だから…コイツを…持ってけ!」


 おっちゃんはカウンターの下から二振りの剣?を取り出した。



『魔剣レス』

十握剣(とつかのつるぎ)



 2本とも見た目はただの鉄の剣にしか見えなかった。装飾もなにもない、本当に普通の剣。名前だけが仰々しい。



「こっちは魔剣レス。真の持ち主を探して彷徨う魔剣で今までの持ち主は皆んな死んでるって呪いの魔剣よ。そんでこっちが遥か東の国で作られた十握剣って業物よ。なんでも10種の剣に形を変えるらしいが見たものは誰もいねぇ」


 俺とジャンヌは交互に両方とも持ってみた。



「2本とも売っても何故か直ぐにここに戻って来ちまって、正直困ってんだ。本当は結構な値段なんだが嬢ちゃん達になら2本で5万Gで売ってやる」


 在庫処分だ。魔剣レスとか言うが持ってみてもただの鉄の剣にしか見えなかった。

 反対に十握剣もただの鉄の剣にしか見えないのだが何故か持った時にしっくりときた。



「私これにする…」


 ジャンヌは魔剣レスを持って目を輝かせた。ただの鉄の剣なのに。



「い、いいの…? ま、魔剣とか呪いとか…ジャンヌちゃんに何かあったら…」


 そうそれだ。

 おっちゃんは2人に感動したとか言ってたのに魔剣を出すとか正気の沙汰ではない。絶対に在庫処分だ。



「い、いいのかい嬢ちゃん? 俺が言うのもなんだがその剣あれだぜ…?」


 お勧めしたおっちゃんの方が苦笑いだった。



「大丈夫。この()、そんな悪い()じゃないよ」


 ジャンヌはめっちゃ嬉しそうだった。



「そっちは私と相性悪いみたいだからいいや。ユーマにあげる。その()もユーマの事好きみたいだし」

「へ?」


 おっちゃんは間抜けな声を出した。



「いいの? 俺もなんかこの剣しっくりきてて気に入ったんだよね。あ、じゃあお金半分出すよ」

「いいよ。その代わりお昼ご飯をちょっぴし豪勢にして残りをルナの本代に出してくれたら」


 ジャンヌは本当にいい子だった。俺たちは満足して店をあとにした。この後のお昼ご飯は普段よりかなり豪勢となった。






〜余談〜



 もう少し先の未来のお話



「俺はあの時思ったね。この子らはなんか違うって。大成すると思ったのはマジだ。だがこっちも商売だ。正直厄介なだけの普通の剣が売れたんだ。内心は少しシメシメと思ったさ。だけどこの子らがあの剣を持った時、あれ? もしかして俺って大損した? と思ったね。だがまぁ今となっては良かったと思ってるぜ。なんせ未来のーー様に剣を売った店だ。お陰で今や商売繁盛! 色んな奴がこの店で買ってくれるからボロ儲けよ! ガーハッハッハッ!」



 武器屋のおっちゃんが大金持ちになるお話であるが、今はまだ誰も知らないお話。


ステータス(鑑定の儀、前)

【名前】

ユーマ

【スキル】

剣術3、速読2、剥取り2、罠師1、研師1、採掘2、縮地1、天駆1、

※不明だが何らかの魔術スキル有り

【魔法】

ライジングテンペスト

【装備】

十握剣

【宝箱】

剥取りナイフ、罠道具、砥石、子供用採掘道具



【名前】

ジャンヌ

【スキル】

剣術4、剛力2、縮地1、天駆1

【装備】

魔剣レス



【名前】

ルナ

【スキル】

聖魔術4、速読3、毒耐性1

【魔法】

ヒール、キュア、プロテクト、レイ

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