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12/20

12.買い物しようと町まで出かけます


 数日後、俺は久々に村の外へと出れた。それも、人生で1番遠くへだ。山道を下り、山間部を抜け、平原を歩く馬車の荷台に乗っていた。



「うわー凄ーい」

「ねぇ」


 勿論、ジャンヌとルナも一緒だ。



「爺さん、悪いな」

「ふぉふぉふぉ、これもこ奴らの修行じゃて」


 師匠も保護者として付いてきてくれている。そう、これが母さんを説得させる為のおじさんの策だったのだ。



 おじさんは村で採れた鉱石を村人の代理でルードウィン辺境伯へ納めに行く。

 その護衛に元凄腕の剣士だった師匠。師匠は俺とジャンヌとルナを鍛えたい為、修行の一環として同行させる。

 俺とジャンヌとルナは、おじさんの護衛の報酬として好きな物を1つだけ買ってもらえる。

 皆んなが一緒なので母さんも安心。



 という、おじさんにしてはナイスなアイデアで俺は晴れて村の外まで出かけられる様になったのだ。本当に楽しみだ。



「でも良かったんですか? ジャンヌちゃんやユーマくんは役に立てるけど、私は回復魔法が使えるだけで護衛なんて出来ませんよ?」


 ルナは戦闘があった際に自分は役に立てない、それなのに好きな物を1つ買って貰える事に申し訳なさを感じていた。



「仲間外れは良くねぇし、それに絶対ルナちゃんは役に立つから安心しなって〜」

「そう、なんですか?」


 おっちゃんの謎の自信に、ルナは戸惑うばかりだった。すると、おっちゃんの予言は見事に的中した。



「きゃっ⁉︎」


 馬車は急停車し、ルナは師匠にしがみついた。反対に俺とジャンヌは木刀を手に取り馬車の荷台から飛び出した。



「へっへっへっ、予想通りだぜ」

「ひゃはー、荷物を置いてさっさと失せな!」

「荷物を置いてもぶっ殺すけどなー!」



 馬車を囲う様に野盗の群れが現れた。この時期は領主へと税を収める馬車が一同に集まる為、野盗に狙われるリスクもかなり高いそうだ。



「おいおい、ガキ2人が木刀なんか持って俺らとやんのか? ああん?」

「やっべー、俺ビビっちまったよ! ぷぷっ」


 野盗は各々ボロボロだが真剣を持っている。対してこっちは木刀。普通なら勝負になるはずが無い。



「ねぇ師匠、もうやっちゃっていい?」


 ジャンヌは舌舐めずりすると、笑いながら今か今かと待ち侘びている様子だった。目が笑っていない。ジャンヌはこの状況で全くビビっていなかった。

 俺はというと咄嗟に体が動いたけど、正直ちょっとビビってる。自分の剣術がどこまで通用するのか内心ドキドキだ。おまけにこちらは木刀だ。

 ジャンヌ、なんて頼もしい子。



「ふぉふぉふぉ。ジャンさん、ユーさん懲らしめてやりなさい」


「はーい」

「うっす」



 師匠からのお許しが出た。戦闘開始だ。




 俺とジャンヌはスキル【縮地】を発動させた。互いに反対方向に飛び、野盗の弱そうな奴2人の顔目掛けて思い切り木刀を振り抜いた。



「ぶえっ⁉︎」

「ぐえ⁉︎」


 野盗2人は俺たちの動きが全く見えておらず、簡単に吹き飛び、受け身すらとれず地面を転げ回った。



「う、ウソだろ…」

「な、なんでこんなガキ共がスキル【高速移動】を…」


 何を言ってるんだコイツらは?



「違いまーす、今のはスキル縮地でーす」


 ジャンヌは純粋だから簡単に俺たちのスキルを野盗へ教えてあげる。



「う、嘘つくんじゃねー!」

「そうだそうだ!」

「【縮地】はとある【剣聖】が編み出した高速戦闘術の極意、お前らみたいなガキ2人が使える訳ねーだろ!」


 野盗たちは狼狽えていた。



「本当なんだけどなぁ…」

「ねぇ」


 まぁいいや。コイツらから見たら高速移動も縮地も速すぎてどっちかなんて関係ないだろ。どうせぶっ飛ばされるだけだ。


 でもやれそうだ。最初は内心ドキドキだったけどコイツら思ったより大した事なかった。ジャンヌも同じ事を考えていたようだ。



「ユーマ、どっちが多く倒せるか勝負しよ」

「言ったな、負けたら昼飯のデザートな」



 勝負だ。

 俺とジャンヌは空中へ高く飛んだ。



「う、嘘だろ! スキル【跳躍】まで使えるなんて⁉︎」

「あ、あれ? 今、空中を、蹴った…?」

「ば、馬鹿野郎! スキル【天駆】なんてそれこそ幻のスキルだ!」

「だ、だよな…」


 その天駆なんですよ。スキル【天駆】…レベルの数だけ空中を蹴る事が出来る習得するのに苦労したスキルだ。

 縮地と天駆を駆使して俺とジャンヌは次々と野盗をぶっ飛ばしていった。



「こりゃたまげたぜ〜、ユーマとジャンヌちゃんがあんなに強かったなんて…」

「ふぉふぉふぉ、まだまだじゃわい。相手が真剣だから2人ともちょっと腰が引けておるわい……ふむ。ルナ、ジャンヌの方に」


「は、はい…プロテクト!」



 ジャンヌの背後に立つ野盗。



「しまっ…」

「クソガキが、調子にのんじゃねー!」


 野盗が振り下ろす刃がジャンヌを捉えた。が、それは見えない障壁に阻まれた。タイミングばっちしの防御魔法。



「ありがとねー、ルナー! スキル【剛力】!」

「マジかよ、あっちのガキは魔法が使えんのかよ…ぶへっ」


 呆気に取られた野盗は簡単に吹き飛ばされた。



 ルナが使ったのはプロテクトと呼ばれる味方を守る防御魔法。ルナは普段から、俺とジャンヌの模擬高速戦闘中に、師匠の合図でどちらかに魔法をかける訓練をしていた。野盗の遅い一撃を防ぐ位、朝飯前なのだ。



「ほ、ほらな、おっちゃんの言った通りだろ? ルナちゃんも絶対に役に立つって…」

「はい、ありがとうございます」


「マジかよ…こんな大人しい子ですらあのスピードについていけんのかよ…爺さん、あんた一体どんな特訓させたんだよ?」

「ふぉふぉふぉ、なぁに適度な運動程度じゃよ」


 おじさんは何の根拠もなくルナを励ましただけだが、うちらのルナを舐めるなって話だ。ちょっと自信がないだけでルナはめちゃくちゃ強い。



「これで、」

「こいつで、」


「「終わり!」」


 俺とジャンヌのクロス十字斬が野盗の頭目をぶっ飛ばした。



 因みにだが、クロス十字斬はジャンヌ命名の二人協力技である。師匠との打ち込み稽古で師匠を唯一怯ませることが出来た技だから、ジャンヌが記念に技名をつけた。

 正直俺は、双燕十字斬の方がカッコいいと思うのだが、ジャンケンで負けてしまったのでしょうがない。



「私12」

「俺13」


「最後のは?」

「あれは2人同時だからカウントなしで」


「ああん、負けちゃったー」

「油断していたジャンヌが悪い」



 お昼のデザートが楽しみだぜ。

ステータス(鑑定の儀、前)

【名前】

ユーマ

【スキル】

剣術3、速読2、剥取り1、罠師1、研師1、採掘2、縮地1、天駆1、

※不明だが何らかの魔術スキル有り

【魔法】

ライジングテンペスト

【装備】

木刀

【宝箱】

剥取りナイフ、罠道具、砥石、子供用採掘道具



【名前】

ジャンヌ

【スキル】

剣術4、剛力1、縮地1、天駆1

【装備】

木刀



【名前】

ルナ

【スキル】

聖魔術4、速読3

【魔法】

ヒール、キュア、プロテクト、レイ

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