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11.困った事になりました



「困ったぞ…」


 俺です、9才になりました。

 夢は冒険者になって凄い偉業を成し遂げて英雄と呼ばれる存在になることです。

 そのためにスキルや魔法を覚えて頑張ってきました。


 しかし、ここにきて問題が発生しました。



「どうしたものか…」


 別に無くても問題はない。

 寧ろ無い人の方が圧倒的に多い。あったら凄くいいなぁ程度の事なのだが…



 【収納魔法】と【鑑定スキル】と呼ばれるものだ。



 英雄と呼ばれた人たちは大概どちらかは持っていたそうだ。

 収納魔法は何もない空間に物をしまえて、鑑定スキルは物の名前を瞬時に視れるという優れ物だ。



「どうにかして手に入れられないだろうか…」


 しかし、その手段が皆目見当がつかない。

 魔法は魔導書を読めば覚えられるが持っていない。

 スキルは修練で覚えれない事もないが鑑定ってどうなんだ?

 剣術スキルは剣の鍛錬で覚えられるが、鑑定ってなんだ?

 ずっと見続ければ覚えれるのか?



「うーむ、どうしよう…」


 別に無くてもいいが欲しいは欲しい。

 皆んなが苦労する様な採取クエストなんかで、鑑定スキルで簡単に見つけて、収納魔法に沢山しまって驚かれたい。

 たまたまですぅ、みたいな謙遜とかして皆んなからちやほやされたい。



「夢しかないな!」


 凄くいい!

 是非とも欲しい!



 そんな訳で俺はいつもの如く、冴えない商人のおっちゃんの元へ来ていた。



「ユーマよ〜…いくらカッコよくて何でもできて頼れるおっちゃんだけど、そう簡単に魔導書は手に入れられねぇのよ」

「何でも出来て頼れるなら、こんな村に左遷されないよね」


「ユーマよ〜…最近、言葉のナイフが鋭いぜ〜…おっちゃんだって傷つくんだぜ〜…」

「だっておっちゃん、年々だらしなくなっていってるんだもん。今だって地面に寝転がって…」


 マジでおっちゃんは年々だらしなくなってきている。最初に出会った頃は立ち読みをするとハッキリと怒る大人だったのに、今では日長寝転がって煙草ばかり吸い、無精髭もそらないダラシない大人になってしまった。まぁ煙草は元々吸っていたけど。お金が手に入ると人間はこうもダメになっていくのだろうか?



「気をつけよう」

「ん〜…何か言ったかユーマ…?」


 英雄になる予定の俺は当然金持ちにもなる予定だ。こうはならない様に気をつけよう。

 しばらく2人でぼーとしていると、おっちゃんは何か閃いたかの様にゆっくりと体を起こした。



「……この村ってよ〜貴族の中で最も強いとされる、ルードウィン辺境伯が治めてる領地なのよ〜」

「ふーん、あれ? 辺境伯ってことはこの村って国境なの?」


「お、正解だ。流石物語ばかり読んでるユーマだ。その通り、この村って実は魔族の領地と人族の領地の境目なのよ」

「マジで⁉︎」


 なんだか急に怖くなってきた。物語によく出てくる魔族。実際にいるらしけど会ったことはないし、今までは実感を持てなかった。



「あ〜大丈夫心配すんな。今代の勇者と魔王って何年も前に駆け落ちして行方不明。両陣営は停戦。今や平和そのものよ」

「…ふーん」


「それにこんな山奥、軍事的価値もまーーーーったくない」

「…ふーん」


 それはなんか逆にショックだな。そんなに価値がないのかこの村は?



「結局何が言いたいの?」

「そこよ。戦争もしなくなった人族はな、愚かにも身内争いをしてるって訳よ。力があり最前線で魔族と戦い王からの信頼も厚かったルードウィン辺境伯はな、他の伯爵や侯爵、貴族たちに疎まれちまって、こんな何もない辺境に追いやられたって訳よ」


「それで?」

「この村も治めてるルードウィン辺境伯なんだけどよ、実は戦争だけじゃ無くて内政もばっちしの超優秀貴族だった訳よ」


「で?」

「そんなルードウィン領には近年大量に物資が流れ込んできてんのよ。年に1回、各村や町が税を納める時に大々的な『市』を開いててよ〜みんなこぞって物資の売り買いをしてるって訳よ」


 あ、分かった。



「つまり、もしかしたらその市で魔導書が手に入るかもって事?」

「その通り! もしかしたら魔導書よりもレアな技能書(スキルブック)が出てくるかもよ」


 マジか⁉︎

 それは是非とも行ってみたい!

 あ、でも…



「行ってみたいけど、母さんが何て言うか…」


 心配性の母さんが村の外、ましてや大きな町への外出なんて許可してくれる訳がない。




「まぁそこら辺は頼れるおっちゃんに任せときなさいよ」

「?」

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