表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リィーネ森の魔女  作者: にのまえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/52

32話

 兄に言われ、改めて窓へ視線を向ける。

 そこには私が使う術式とは、明らかに系統の違う魔法陣が浮かんでいた。


 ーーああ。これは、少し厄介かもしれない。


 私の中で“魔法使い”といえば、森に召喚獣を置き去りにしたまま姿を消し、結果として母と私に迷惑ばかりかけた存在だ。


 私が壊した魔法陣は古くて、壊れたものばかり。それは、偏った印象だと分かってはいるけれど、正直、彼らについての知識は乏しい。


 だからといって、他の人よりは魔力量は多い、兄に頼りきりになるのも気が引ける。これ以上、負担をかけたくなかった。


 ……仕方がない。


〈魔力変換を使って、魔法陣を書き換える〉


〈はぁ? おいおい、シャーリー。また魔力を使うつもりか〉


〈だって、魔法使いの術式と私の魔法は根本から違うの。このままじゃ魔法に邪魔をされて、部屋の中すら覗けない〉


 窓を守るように展開された、見知らぬ魔法陣。これを突破するには一瞬だけでも、自分の魔力を魔法使い寄りへ変質させるか。


 あるいは、この術式そのものを魔女式へと書き換えるしかない。


 魔法による侵入を拒む、強固な結界。

 それでも、部屋の中が見えなくて、女性の身を思うと、躊躇はできなかった。


〈やめろ。遠慮なく、俺の魔力を使え〉

〈嫌よ。大丈夫だって〉

〈無理してるのがわかってるから、言ってるんだ!〉


〈自分のことは自分でわかります。黙っていてください〉


〈わかってない。俺はシャーリーの使い魔だ、お前の異変くらい嫌でも伝わる〉


 ――あっ。


 そうだ。兄は使い魔だから、私の体調も魔力の乱れも、隠しようがない。


 念話の中で荒ぶる感情に呼応するように、現実の兄が苛立ちを抑えきれず、テーブルを強く叩いた。ダンと、乾いた音が室内に響く。


 言葉を交わしていないはずの二人。

 それでも異変は伝わったらしく、殿下が眉を吊り上げて声を上げた。


「魔女! 僕を除け者にして、二人だけで話すのはずるいぞ!」


 ……これは、もう集中どころじゃない。


 私は近くの木に偵察鳥を止まらせ、魔力を一度、ゆっくりと解いた。


「ローサン殿下、申し訳ありません。これは秘密事項で、二人でしか出来ない会話なのです。どうかお許しください」


「嫌だ! 兄上のことだ、秘密事項などあるはずがない! 僕にも分かるように話せ!」


 いつもより感情を露わにするローサン殿下に、思わず言葉を失う。


 私は兄と一瞬だけ視線を交わし、無言で合図した。そして、殿下を念話へと招き入れる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ