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6話「集合する悪意」~輪廻~

 目を覚ました私は、のどの渇きを潤すため、買っておいた飲み物を取りにキッチンまで歩いていると、そこには、デブ刑事と玉藻さんが、警察じゃ配られないような拳銃を装備していた。


「……やっぱりあなた達、警察じゃないですよね」

「なんや……女神さんかい。ワシらは、ちゃんとした警察やで。ちょーっと別の財団が関わっておるけど。丁度エエは、今から、ちょっと山狩りに行くんやけど、ついていくか? 」

「財団……。一ついいですか。アナタたちのいう財団というのは、ユーマ保護財団ですね……私が女神と知っているのが証拠です」

「あーもう、玉藻ちゃんええか?」


ユーマ保護財団。

希少生物の保護を目的とした財団であるのは表向き。

実際は、この世界への転生者やアーティファクトの管理保護監視を担う組織であり、彼らにとっては、私も彼らから言うユーマであった。

デブ刑事は、困ったように玉藻さんに聞くと、玉藻さんは、妖しい光を放つ炎に包まれ、死装束を着た狐耳に九本の狐のしっぽを生やした姿に変わる。


「メタボ。いいも悪いももうバレている……どーも、ユーマ登録番号13番『インフルエンサーな転生女神』はん。私は、番号666番『九つ尻尾。傾国玉藻の舞』喰尾玉藻ちゃんですぅーよろしくねぇ」

「管理番号で呼ばないでください。気分が悪い」


財団が管理保護監視をする人やモノには管理番号が付けられ、もちろん私も神ではあるが、彼らにとってはユーマの一つ。

気分が悪い管理番号で呼ばれ私の態度は露骨に悪くなっていた。


「怖いわー。そんな怒らないでな。玉藻怖いぃ!」

「……管理難易度甲が怖いですって。人類の過去何度も国を滅ぼしたあなたが怖いなんて……今すぐしょっ引きますよ」


怖がる振りをする玉藻。

管理難易度、これは財団が決めた管理基準で甲乙を使う十干のうち一番上の管理難易度である玉藻の前。

異世界からの転生者で、能力は『絶対的に騙すことができる』ただそれだけ。

それだけだからこそ厄介だった。

因みに私は、難易度癸らしい。それも気に食わない。


「やだー、私はか弱くてぇ」

「……そうでした。……じゃない! うぐぐ神相手に能力を使いやがってクソ狐!」

「くーんこわーい」


そう、奴の恐ろしい所は、どんなものでも騙すという概念干渉系の能力だ。

人も、化け物も、石や木、常識さえも自分の好きなように騙す。

それゆえ、管理基準も騙し、彼女の気分で管理基準も変わってしまう。

今は気分を損ねない様に警察として行動をさせ管理をさせていたとは聞いていたが……く、こいつが違法転生者なら、問答無用で元の世界に送還していたのに。


「まあ、それくらいにしてやってくれ《玉藻と明智》は、俺の管理下にあるうちは暴走まではしないから」

「わーん! メタボー! ありがとう!」

「待ってくださいメタボ。玉藻は、分かります。財団は、明智さんも管理しているんですか?」

「メタボはやめろ。アイツに比べたら玉藻の管理なんて楽だぞ。アイツは、特別管理、番号682番『死神探偵』明智拓。能力は『遠出先で絶対トラブルが起きる。それを本人は知覚できない』それとそれ以降は、機密。管理難易度不可。管理ができない存在だ」


遠出先でトラブルに巻き込まれる。

つまり、明智さんは、生まれながらのトラブル体質ということだ。

だが疑問が残る。


「管理不可は、納得できないのですが。確かに遠出でトラブルに巻き込まれる。それを本人は感知できないという点で管理丙ですが、それがこのクソ狐よりも管理しきれない不可認定は不思議です。あと、機密って何です?」

「機密は、機密。だが、最初の能力には、答えられる。例えば、財団が明智を監禁したとする。どうなる?」

「監禁先で事件が起きる」

「そう。それが簡単な窃盗事件とかならまだいい。だがあいつが起こすトラブルで今まで最も大きい被害が出たのは、ハイジャック。それもその飛行機が市街地に落ちた。被害は、1万人を超えた。そのうえ明智は、奇跡的に無傷。財団による監禁をしようとするが、実行犯は必ず事故に遭い死亡。以降監禁は諦め、大きな被害が出ないよう俺の様な管理官が周りに配置されることになったわけだ。アイツの起こすトラブルは、何が起こるか分からない。下手をすれば隕石が落ちて人類滅亡の可能性すらある。それの危険性により、明智拓は、管理不可指定された」


あー、駄目ですね。

遠出すると人類滅亡の可能性があるうえ監禁不可は確かに管理不可指定ですわ。


「つまり今回の事件も」

「まあ、今回に関しては、卵が先かヒヨコが先かの違いやな。アイツが来なくても事件は起きていた。……で、本題なんだが、山狩り……今回の事件、確かに人の手もかかっとるが一件財団案件もあってな。探偵ものに化け物はいらんやろ。裏での仕事やけど、やるか?」

「もちろん! こっち関係は、あの高慢ちき男じゃ役に立ちませんから!」


私は自信をもって、参戦を申し出たのだが、なぜか玉藻が、ものすごく邪悪な気配を漏れださせ、私を睨む。


「あら、それ、拓君のこと? 拓君の悪口かしら? 拓君はね、可愛いの。私の大切な旦那様なの……取ったら許さない。彼への悪口は、私への冒涜と思いなさい」

「……えっと、怖いんですが」

「気にするな。玉藻は、明智ガチ勢だから。これで玉藻が奥手じゃなきゃ今頃明智は……本当に良かった」


……本当にあの高慢ちきな仮性包茎チンカス男のどこがいいのだか。

私は、呆れてしまったが怪異や違法転生者なら私が活躍できる。

気合を入れ私は山狩りに挑んだ。


***********************************************************************************


「それで今回のターゲットは?」

「管理番号169番『山の怪』ヤマノケだ」


 私は、メタボ、玉藻と共に山の中に入っていく。

ターゲットをメタボに聞くと今回のターゲットはヤマノケであった。

この世界原生の怪異で普段は、山に隠れているが、繁殖期になると他生物のメスに死肉を食わせ寄生させる特定駆除怪異。

普段は、おとなしい分繁殖期のヤマノケは、生き物を狂わせる。

しかし、最悪です。山道は、虫が多くどこか獣臭い……。それに暑い。汗ばんでしまいます。


「今回の事件、元々ヤマノケが人に寄生した可能性があり、それが原因で寄生された人間がおかしくなった混乱の可能性があるんです」

「そ、それじゃ寄生された人間はもう元には……」

「戻りますよ。私が、ヤマノケの女王個体を騙します。自分が死ねば寄生体は、死産し、人は元に戻る。そう騙せば何とでもなります。ただ、生物の生態ごと騙すには、直接直接触れ声をかける必要があります」

「本当便利な力。つまり、メタボと私でアンタを女王個体に導けばいいのね」

「そう言う事です」


そう言う事なら得意分野だ。

転生女神は転生を導く力。受肉している現実体だと無機物転生に限るがこういった時の無機物転生だ。


「……それで、女神はんの力は?」

「これです」


私は、触れた木の枝を投げた瞬間、その木の枝を剣に変える。

無機物転生は、魂のない物質を変換する力。結構受肉に伴いかなりの制限をしているが、ヤマノケならこの程度で十分だ。


「うん、良い能力だ……と、偵察ポイントだ。各自ヤマノケの巣を発見を目視で確認すること」

「了解。無機物転生」

「はーい。偽・望遠の目」


私は、メタボの指示に従い、剣を望遠鏡に変え、玉藻は、自分の目を望遠鏡であると自らを騙し視力を上げ指定ポイントを覗くとそこには、おびただしい数の首が無く喉元に生き物とは思えない目や口を生やした野犬がおびただしいほどうごめいていた。


「げー、きもいです。帰って寝たいです」

「いきなり泣き言とかやめろよ……萎える」


私と、メタボが、嫌そうに顔をゆがめていると玉藻が慌てて叫んだ。


「ちょっとあれ! あの家にいた東雲さんじゃない! おい堕落女神! すぐ確認しなさい!」

「いやいやそんな訳……」


私はまさかと思い、望遠鏡をのぞくとそこには、興奮したようにヤマノケを撮る東雲さんがいた。


「あんのスパイシー記者! どうしてこう迷惑をかけるの! ああああ! コーラ飲みたいのに! あの人まで死んだらそれこそ大事件ですよ! 明智さんの探偵ものシリーズが完成しちゃいます! いやですよ! 私あの人に助手とか言われるの!」

「……とにかく行くわよ! ほらメタボも!」

「……ホンマ警察と財団の掛け持ちは! 厄介やな!」


私たちは東雲さんを助けるためにヤマノケの群れに向かって走っていった。


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ただ、生物の生態ごと騙すには、直接直接触れ声をかける必要があります」 「直接直接」と強調するからには、白面の狐はハグしてディープなキスとかするのかしら。
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