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3話「重い空気の家たちとやばい人たち」~明智

 神戸市郊外、街から少し離れた山林付近の一軒家。

2階建てで、何度か改装されたような和風建築の家に広い庭があり、庭には井戸があり、神戸市の郊外とはいえ、かなりの邸宅。

周辺にも同じ形の家が数件あり、最寄りのコンビニまで車で5分、不便さ以外は完璧な住居、俺は、邸宅の隣のコインパーキングに車を止めた。


「さてと、着いた。……って、車多いな」

「そりゃ、賀画名井さんこの家を欲しい人が何人もいるって」

「……変な条件があるのにモノ好きもいるもんだよな」

「これから私たちも、その一員なんですから興味があるふりはしてください」

「いや、するよ。仕事だし」


俺達がそんな話をしていると冬季さんが俺たちを見つけ近づいてくる。


「お二人ともすみませんでしたぁ……遠路はるばるお越しいただいてぇ」

「いいえ、賀画名井さんの為ですので」

「そうです。いやあ、今日もいっそ眩しいですね」

「は、はあ、ちょっと天気は曇っておりますが」

「いや、あた……ぐへ!」


俺はつい頭のことに言及しようとすると、スパイシーさんは、俺の足にローキックを決める……だって眩しいじゃん。


「いやー、すみません。ウチの助手、す、少し頭がおかしいものでしてぇ」


おい、スパイシーに頭おかしいって言われたぞ。

俺は抗議しようとしたが冬季さんは、表情を陰らせつぶやいた。


「いえ……頭のおかしい助手さんも、まだまともに見えるのはなぜでしょう」

「待ってください……俺は普通で……」

「きえええぇぇぇぇぇぇぇ! 除霊! 除霊! ここの霊力は、ワシが貰うんじゃい! 独り占めの舞ィィィ」


俺が自分の頭がおかしくないことを証明しようとした瞬間、スーツを着たピエロメイクのおばさんが変な踊りをしていた。

あ、冬季さんの頭がはげるのも納得だわ。明らかにおかしい人が変な踊りをしている。


「あの人はご近所の山野目やまのめさんですぅ。今回の物件譲渡候補者の一人でもありますぅ……見た目や行動はちょっと変ですが、比較的真面な部類です。あと、本職は、銀行員で、この格好や言動は趣味だそうです」

「きょええぇぇぇぇぇ! この家はワシが守って霊力倍増あぁぁぁ! ……あ、私、山野目けんじと申します。初めまして、えっと輪廻さん、動画では存じ上げておりますが、改めてよろしくお願いいたします。こちらは名刺です」

「……あ、は、初めまして、鈴木輪廻です。……明智さん、これが本当のスパイシーです」

「フンたった、5スパイシーさんほどの頭のおかしさ。まだまだだね」

「でわぁ……こちらですぅ……」


スパイシーさんの5倍はスパイシーだが、これ以上にスパイシーな人がいるのか。

俺は恐怖で震えあがるが、冬季さんについていき山野目さん達と玄関に上がると、そこにはサングラスをかけた高齢の老人がメモ用紙とカメラを持っていた。


「ふむ……人気インフルエンサー輪廻の不倫疑惑……これは記事になる」

「誰ですかこのオッサン? 初手失礼なんですけど」

「知らん、ボケた老人だろう」

「老人差別、これが現代の闇、姥捨て制度が裏政府によって公認されたことによる弊害か? 記者、東雲良二に暴言を吐くインフルエンサーと、こ汚い助手のインモラルな関係! ふふん、この記事をばらされたくなかったら、ワシに100万寄こせ!」

「……東雲良二さん、すいません。今日からの譲渡審査ですがそれまでは、あまり騒がないって約束しましたよねぇ……すみません、この人は、東雲さん、元記者ですがどうにも変で」

「報道の自由を守るのはワシである必要があるんじゃ」


あー、これは確かにスパイシー。

偏った思想に脅迫体質の記者……なんというか、すごく色々捏造してそうな胡散臭い記者だな……確かに53万スパイシーさんはありそうな。


「……スパイシーだねえ」

「ですねえ」

「す、すみません、玄関先の居間に一度来てもらっていいですか? 残りの方の案内を集め、譲渡審査会の流れをお伝えするので」

「わ、分かりましたー」


スパイシーさんと俺は、居間に向かって歩く。

木造建築の家は、何度も内装を変えているのか、ものすごく綺麗であったが、どこか昼なのに薄暗く、空気が重いような感じがした。


「ご安心ください。こちらの家は、玄関の日当たりが少し悪いですが、居間とつながる縁側は、逆に風通しがよくとても心地よいですよ。きえぇぇぇ! お祓い! お祓い! 霊力が集まる玄関と運気を呼ぶ。そういう関係だぜぇぇぇぇ! じゃあ俺は、これで、縁側でゆっくり霊媒じゃああああ」


そう言い山野目さんは、縁側に走っていった。


「ほら、カヤ! もっと周りの映像を怖い感じで撮ってよ!」

「ひーん! 定ちゃんやめようよぉ!」


うーん、山野目さんのテンションが良く分からない。流石は、5スパイシーたまにまともになるのは、どうにもまだ慣れない。

そんなことを考え居間に歩いていると、金髪ショートのハイテンションなギャルとそれを撮影する……黒髪ロングで胸が控えめ、背は高くすらっとしたシルエットのの超絶美少女……超絶美少女がいた。

俺は、その超絶美少女に向かって全力で走っていき、いつプロポーズしてもいいように、ポケットにひそめていた指輪を取り出し膝まづいた。


「……貴女は、まるで天使だ!」

「ひ、ひい! サングラスのやばい人とピエロなヤバイ人に続いて今度は、ヤニ臭いナンパ師が!」

「これは失礼、私、明智拓と言いまして、東京で探偵をやっており、出身は……げふォックス……ゲ、フォ……ード大学。アナタの様な天使に会いに来ました」

「おおっと! ここにきてカメラマンのカヤに膝まづくオッサン! これは撮れ高だよ! しっかり取りなさい! カヤ!」


……なんだこの下品な脂肪の塊を垂らしたギャルは、俺とカヤさんのアバンチュールを邪魔するなど。


「……おい、明智さん、私という美少女がいながらなぜほかの女性に靡こうとする」

「スパイシー……お前もか。全く、我が探偵事務所の雑用助手の癖になまいきな。大体、胸ばっかりデカく、変な髪色の癖に」

「おい、私が雇っているんですが……あ、あのすみません、私のスパイシーな助手が……私は鈴木輪廻と申します」


カヤさんとのアバンチュールを邪魔するスパイシーさんがギャルに手を差し出すと、金髪ギャルは一瞬で顔を赤面させる。


「ちょ! 輪廻チャンネルの輪廻様ですか! わ、わたし、山村定子やまむらさだこと申します! 霊能ギャル定ちゃんねるで活動しています!ふぁ、ファンです! きょ、今日は、撮影でこの事故物件貰ってみたという動画を上げるために来たのですが……いや、こ、コラボ動画にしていいですか?」


リ◯グかよ。


「ひ、ひぃん! ゆ、有名人です! 私は、カメラマンの冴木かやさえきかやこと申します」


そんでこっちの天使は呪◯かよ。


「おお、今にも戦いそうな名前……そのコラボ動画は、また後日で、今回はプライベートで」


戦いそうって……確かにに大怨霊みたいな名前だが失礼だろう、主に俺のカヤさんに。


「そ、そうですか! ふひ! やば! か、カヤ! 行こう!」

「は、はいぃぃ」


二人は、そう言い二階に上っていった。

うん、あのユーチューバーがもう一人の譲渡希望者という事か。

つまり、譲渡希望者は、謎霊媒銀行員、山野目さん。スパイシーな記者東雲さん。そして霊能ギャルユーチューバーこと定未の3人。


「カヤさんは、俺の嫁にするとして、冬季さんが譲るのを迷う訳だなこの3人だと」

「……迷いますよね。てか待て、毎度思うのですが、明智さんは、なぜ私といてもドキドキしないんですか? 昨日だって同じ車で寝て……ていうか、私は全然寝られなかったのに、明智さんはあんな爆睡していたんですか?!」

「いや、別に俺だって男だがな。スパイシーな人には発情しないというか」

「く、なんという屈辱」


屈辱って……。


「それより、今回の登場人物は、冬季さんと譲渡希望者の山野目さん、東雲さん、定子。そして、マイエンジェルと俺。ついでにスパイシーさんというわけだが……うーん、事件も何もなければいいのだが」

「あら、探偵らしいこと言いますね」

「俺は探偵だぞスパイシーさん」


俺は、一抹の不安をスパイシーさんに吐露したが、スパイシーさんは俺のことをなんだと思っているんだ。

こうして俺たちは居間に入っていったのであった。

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>そ俺は恐怖で震えあがるが、冬季さんについていき山野目さん達と玄関に上がると、そこにはサングラスをかけた高齢の老人がメモ用紙とカメラを持っていた。 「そ俺は」何か欠けてます? スパイシーさんに発情…
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