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1話「神戸の一軒家、いわくつき家賃タダ」~明智~

 東京某所、ファミリーレストラン、サ〇ゼリア。

最高のコスパとオールウェイズ満点を叩きだしてくる最高のファミレス。

俺はスパイシーさんの横に座り、体が少し小さい中年の禿げ親父と対面していた。

なるほど、スパイシーさんと二人だと完全にパパ活みたいな構図になるもんな。

俺の仕事はスパイシーさんがパパ活をしていないという生き証人という仕事なのか。

そう納得していると中年オッサンが話の口火を切る。


「どうもぉ、初めまして……あたくし賀画名井冬季かがない とうきと申します。この度は、輪廻さんからご返事いただき誠に光栄ですぅ……」


おお、絵に描いたような禿! すげえ!


「けがない……とうひ……痛!」

「あ、あはは……すみません! この態度ばかりでかくて、肝と股間の小さいクソ男は私の助手で……無礼を働いたら言ってください! すぐに解雇するので、あはは」

「は、はあ……あたくし、良く分かりませんが……輪廻さんはやはり大変なのですね……それで話ですが」


俺がボソッと口にしたことを、スパイシーさんは思いっきり頭を叩いてきた。

痛い。毛が無いのは本当なのに……。

毛がないさん……冬季さんは、話し出す。


「あたくしの持つ、神戸市にある一軒家を貰ってほしくて……ただ条件がございまして……1つ、契約完了後必ず受け取ってください。2つ、三日以上家を空けないでください……そして最後、死ぬまで住んで欲しいのです」

「はあ、貰えるものは貰う主義なのですがなぜそれを私に? それに神戸の一軒家なんて売ってしまえば相当高いでしょうに……それをなぜ私に譲りたいと」


俺だって欲しい神戸の一軒家物件。

それをタダでくれるというのだ。明らかに怪しい、売ってしまえば高額なお金が手に入るはずなのに、この人はあえて、譲るというのだ。

それに条件が少しおかしい。

流石にスパイシーさんもおかしいと思ったのか、冬季さんに話を聞くと冬季さん話し出した。


「売れないんです……あたくしの家、夜になると山から何か分からないものが降りてきて……この3つの契約を結ばない人は、皆変死していくのです。おかげで売ることはできず……お譲りすることに」


……いやなにかってなんだよどうせ、イノシシか何かだろうに。

それに変死だって、ただいままでの人が持病で死んだだけ。

そう思っていたのだがスパイシーさんは話を続ける。


「なるほど……つまり、賀画名井さんも今と同じ条件でタダで譲り受けた一人という事ですね。ただ止むを得ない事情でその家を手放したいと」

「さすがですぅ……あたくしも昔同じ条件で、その一軒家を貰いました。リモートでの仕事の為、家を3日も外すことなどなかったのですが、あたくし、癌が発覚して入院することになり、一度3日以上家を外したのですが……夜、あたくし、夢で『さびしい』とずっと囁かれ、怖くなって病院を抜け出して……」

「それで私に家を譲ると……それではいと言うとでも」


おい、依頼を受けないのか。

折角一軒家がもらえるというのにもったいない。俺は代わりにその家をもらい受けようと手を上げようとしたが、冬季さんは話を続けた。


「いいえぇ……ネットで欲しい人を募集して何人か、欲しい人は集まったのですが……どうにも怪しい人ばかりで……変な人にあげて、あたくしがまた呪われたら元も子もないので、輪廻さんには、物件を欲しいといった人の一人としてその人たちに混じってもらい、ちゃんと家を貰ってくれる人を見極めて欲しいのです」

「ふむ、つまり私は、審査員のようなものなんですね」

「その通りですぅ。家を譲る人を選定していただくだけで構いません……もちろん報酬もこれほど……」

「たったこれだけで……この話……」


いや、家は貰わなくていいうえ、報酬は100万円!

ただ、適当な人を選ぶだけで100万円! 俺は、断ろうとするスパイシーさんを無視して冬季さんの手を握る。


「この話受けさせていただきます! 輪廻先生は、どんな人も見捨てない方! ましてや困っている冬季さんを見捨てる訳などないです!」

「ちょ! 明智さん! 何を勝手に!」

「ああ、ありがとうございますぅ! 流石は、輪廻様! とてもありがたい! ちゃんと、あたくしの1万人のフォロワーがいるSNSアカウントで輪廻様の素晴らしい行動を拡散させていただきますぅ!」

「い、一万人!? え、えっと賀画名井さんはいったいどんな仕事を……」

「デザインの仕事でして……趣味で描いている絵を上げているのですが結構バズっておりまして」

「ぐ、ぐげ……受けざるを得……ええ! もちろん受けさせていただきます!」


どうやら冬季さんは、結構有名人なのか、スパイシーさんも仕事を受けざるを得ないと思ったのか腹をくくりそう言うと、冬季さんは、立ち上がる。


「ありがとうございますぅ……では、あたくし、あまり家を空けたくないので先に新幹線で帰ります。ちゃんと住所を送りますのでお願いします」


そう言い冬季さんは、サ〇ゼリアを出ていった。

残された俺とスパイシーさん。スパイシーさんは、頭を抱えてしまう。


「ああ、もう! なんでこんな依頼受けちゃうんですか明智さん! あきらかな呪いの家案件じゃないですか! こんなのは私の仕事でなく……」

「いやいや呪いなんてある訳ないだろう? そんなものを信じているのか?」

「信じるも何ものろいっていうのは本当に存在してですね!」


おお、スパイシーな話がまた始まったぞ。

俺は話が長くなると思い立ち上がるとサイゼリアを出ようとする。


「ちょっと明智さん、何で逃げようとしているのですか? 呪いの基礎知識について話さないと!」

「いや、これから神戸だろう、車出すから、今から行こう」

「ちょ! 別にそんなに急がなくても! 明日準備をして」

「いやいや! 俺、たばこの吸えない乗り物は好きじゃないんだ! じゃ、すぐ準備するから!」

「ちょ! そんな勝手に!」


俺はそう言いサ〇ゼリア出ていくと、わき目もふらず一度家に車を取りに行く。

経費での旅行。金がかからない旅行とは最高か!


「ちょ! 明智さん! お会計!」


いやータダで食べる飯もまさに格別だった。

支払いは頼むぞスパイシーさん!


こうして俺たちは、神戸のとある一軒家に向かうことになったのであった。

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