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はじまり ~輪廻サイド~

「はーいじゃあ今日の配信は終わりです! 皆様に明日の幸福がありますように」


 私こと女神な美少女鈴木輪廻は、配信終了のボタンを押すと、ゲーミングチェアにもたれかかる。


「ふへー、人間界は、ちょっと乳をさらけ出すだけで稼げるなんてヌルゲーすぎますね……さてと、お酒……おさ……おや」

「リンネブルク……仕事はどうしたのかしら……」

「おやー、女神長様。人間界にいらっしゃるなんて珍しい。神々の世界での仕事はもういいのですか?」

「……リンネブルク、アナタって人は」


お酒を取ろうとキッチンに向かうとそこには大きな天使の羽を生やした私の上司の女神長様が私の行く手を阻む。

そう私こと、鈴木輪廻は、世をしのぶ仮の姿。

本当の姿は転生女神リンネブルクという正真正銘の神格の一柱であった。


「やだなー女神長様、私は、神として迷える子を導いているじゃないですか」

「配信で胸をさらけ出し、視聴者である子からお金を巻き上げ、あまつさえ、オンラインサロンと評して、水道水やただの石を高額で売り子からお金を巻き上げるあなたのどこが導きですか! ただの詐欺でしょう!」

「ほ、ほら……女神パワーが詰まっているかもですし、仕事も真面目に……」

「へー、ほーん。で、本来の仕事の進捗は?」

「ぐげ……」


 私の本職、それは、この人間世界に私たち神の許可なく転生した違法転生者の捕縛と本来いるべき場所への送還。

だがその仕事は82億人いる人類の中から違法転生者を探し、送還するという、砂漠で一粒の米を探すような作業。

正直、天界の仕事は、ブラック企業以上の仕事量でありお給金も少ない。

そんな仕事を真面目にやるなんて私にできるはずもない。

つまり……。


「進捗率0%……えっと、神様なめてます?」

「いやまずは、市場調査で配信をして、そのリスナーから違法転生者をあぶりだす作業で……」

「本当にその目的があれば、少しは進捗率が上がっていると思うのですが」

「うげ…………お局の癖に細かい」

「……お局?」

「ぐげげげ! 痛い! 痛いよ! 女神長! アイアンクローはやめろぉぉぉ!」

「あなたが嫌でも絶対に仕事をする運命を組み込みました。明日以降、あなたの助手がバイトとしてくるので、その人と転生者を探しなさい」

「やめろおぉぉぉ! わたしは、私は働かないんだあぁぁぁぁ!」


怠惰な転生女神リンネブルク。

転生を司る女神。

運命を司る女神である女神長に最悪な運命を組み込まれ、仕事を無理やりすることになってしまった。

こうなったら、私は、とことんスパイシーを演じてそんな運命すらぶち壊してやる。


だって私は本当の転生女神なのだから。


***********************************************************************************


「お、お断りです!」

『ふははは! 確かに私は、占いのために色々調べてから占いを行いますし、バーナム効果を使ってそれっぽい動画とオッパイでなり上がった女です……ぶつ』


お局の差し金で出会った人間、明智拓は、控えめに言ってクズであった。

スパイシーな私の発言には目もくれず、しっかりと盗撮をして脅迫材料を作る。

このままじゃ、私は仕事をする羽目になってしまう!


「雇ってくれなきゃ、この動画を流すぞ」

「探偵よ! それがお前のやり口か!」


この探偵は、容赦なく私を脅迫するなんて! 本当に人間か?

お局、お前とんでもない人間を差し向けてきやがったな!


「ふははは! 探偵とはそういうものなのだよスパイシーさん」

「だからスパイシー言うな。ああ、もうじゃあ雇いますよ。ですが私の仕事と言っても……」

「何をするんだ? 日当10万だからな、ギリギリ合法なことまでなら」


……いやだから、私は、別に楽してお金を稼いでいただけで、あのお局が仕事と言ったが、実際82億人の人間から、違法転生者を探す仕事のノウハウとかは知らない。

何をやるのかと聞かれても考えてもいなかった。


「あー、えと、じゃあ先ほどの動画を消す仕事ととか」

「別に、日当10万だ。金さえくれれば、別になんだっていい。だが脅しの材料はプライベート。プライベートは不干渉、退職代行に言って退職した後、この動画を拡散してもいいが」

「く……絶妙に脅しを入れるのやめません?」

「で、仕事は?」

「あーえっと」


こ、こいつ人がおとなしくしていたら調子に乗りやがって……。

だから仕事って言われても何をするかなんて考えて……私が、自分でも自覚している足りないをフル回転させる。

その時一通のメールが届いた。


「そ、そう! 私のオンライサロンには、色々な人からの相談が入っているの! その相談に乗って解決する助手!」

「そうは言うがメールフォルダ、未読が多いな本当にやっているのか?」


く……勘のいい探偵は嫌いですよ。

だけど、この探偵に何か仕事を与えないとただ無為に10万円を払う羽目になってしまう。お金には困っていないが、何もしないでお金を貰うのは、あまりにも羨ましいため、適当に私はごまかしてメールフォルダを開いた。


「や、やってるから! ほらこのメール!」

「ほーん。なになに……神戸市のとある一軒家を貰ってくれませんか? 料金はいただきません。ただ条件がございますので直接お話がしたいです……本当にこんなことやっているのか? めちゃくちゃ怪しい」

「や、やってますとも! ええ! ではこれに返信して今から、会いに行きます! 今日の仕事は私の身の安全を保障です!」

「うーん。まあいいけどさ……」


こうして私は、メールに書かれた場所に探偵を連れていくのであった。


ケース1 『神戸の一軒家をタダで貰ってください。』

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