第7話
「そろそろ休憩したほうが良いんじゃない?」チェン・イエンで食事を取って以来
運転し続けてているティエンを気遣い、ぢるが言った。
「ぢるさんもう少しでランソンです。このまま一気に行きましょう。さっきホテルの
予約はしましたから」
チェン・イエンで何箇所かに電話しているのをぢるは聞いていた。
予約はその時していたのであろう。1時間ほど走りランソン市内に入った。
リーの妹が居るというドンキン市場の近くのアパートに寄り、翌朝の約束をして二人は
ホアン・ニャンホテルに向かった。夜12時前だというのに街は賑やかである。
ホテルはそれほどきれいではないが、設備は整っていた。明日は10時にロビーでリーと
待ち合わせである。ぢるは疲れていたがなかなか眠れないので、自動販売機でビールを
買うことにした。
1Fのロビーに下りるとティエンもビールを買っていた。
「ぢるさん、お酒飲めるんですか?一度も飲んでるの見たこと無かったですよ」
ティエンが笑いながら言った。
「なんだか眠れなくて・・・どれが美味しいんですか? これかしら?」
ぢるがティエンと同じビールを押そうとするとティエンが言った。
「それならここのバーで飲みませんか? 少しお腹も空いていたんで」
ぢるは頷いた。
ホテルのバーは5つのテーブル席とカウンターがあり、ウォールナット仕上げの
上品なカウンターに二人は座った。
「ぢるさんはビールが良いですか?カクテルも出来ますよ」
ティエンが写真つきのメニューを見せてくれた。
「じゃあ・・・この奇麗なカクテルを・・」
「いいですね。それはネプモイと言って米から出来た焼酎のようなお酒をジュースで
割ったものです。じゃあボクはバーバーバーね」
バーバーバーとは333というラベルの日本でもお馴染みのビールである。
二人の前に飲み物が出された。
「わあー キレイ・・・・」オレンジ色のベースに透明のクラッシュゼリーが乗せてあり
ミントの葉が飾られている。
「じゃあ明日、山田さんが見つかることを祈って乾杯!」
ティエンがグラスを持ち上げた。
「ティエンさん、山田はどうして会社やあなたに連絡しようとしないのかしら?」
30分ほど話していてあらためてティエンに聞いてみた。
「それは・・・・ボクにも解りません。電話が出来ない状態・・・」
言いかけてティエンは口をつぐんだ。
「電話が出来ない。そんなことあるのかしら?」
「この国は電波事情がとても悪いです。少し山間部に行くともう使えません・・・
たぶんそれが原因じゃないかと・・・」
不安げなぢるを気遣ったのかもしれないが、とにかくティエンの言葉を信じるしかない。
ぢるはそう思った。
:
Ngoi sao trang - Akira Phan
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