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『令和米騒動』を未来への警告として語るエピローグ的短編『令和米騒動』を未来への警告として語るエピローグ的短編

作者: 赤虎鉄馬

『令和米騒動:未来への警告』




百年後、ある資料が発見された。


「令和米騒動」とタイトルがついた古いデータログ。


場所は、地下保存庫に眠っていた旧政府記録の中。




それは一つの“飢え”から始まった。


自然災害、気候変動、国際関係の悪化、農業人口の減少、そして買い占め。


複数の要因が重なっただけ──ただ、それだけのはずだった。




だが人間は、“腹が減る”と理性より感情が先に動く。


SNSで広がるデマ、暴走する買い占め、暴徒化する群衆。


米はただの穀物から、“支配と暴力の象徴”へと変わっていった。




記録には、炊き出しを始めた一人の少年の名前が記されている。


彼は「分け合えばいい」と言い、実際に動き、人々の心をつなごうとした。


だが、最も恐れられたのは暴力ではなく、“信頼”だった。


それは、管理できない力だったから。




少年は消えた。


炊き出しは消えた。


代わりに生まれたのは、政府主導の「食糧ID制度」だった。


国民一人ひとりに番号が割り振られ、米を受け取るには顔認証と指紋照合が必要となった。


それを拒む者は、「反食糧秩序罪」に問われた。




やがて“食べる”ことは、権利ではなく“許可”となった。


食べるために従い、飢えないために黙る社会。




百年後、私たちは思い出すべきだ。




──人はなぜ、パンではなく米を求めたのか。


──なぜ分け合う言葉が、脅威とされたのか。


──そして、「食べる自由」はどこへ消えたのか。




この記録は、未来への警告である。


次に腹が減ったとき、あなたは何を差し出すのか。


誰の隣に、立つのか。




そして、誰の米を、信じるのか。





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