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スライム 人間になる  作者: 浅川 大輝
屋敷生活編
5/50

二転三転四転

 相手の言葉に、思わず固まってしまう。


A班?他にも班があるのか。


いやそんな事じゃなくて、ソウカ様?


 誰じゃそりゃ。


ああ、俺か。そうだそうだ。今俺はこの身体を手に入れて、人間なんだった。


 「ソウカ様。まずはご無事で何よりです。」


人間の言葉に、思わず緊張する。


 話しかけられたのだから、何か返さなければ。


 でも何を話せばいいのだろう。


挨拶?それとも、相手の話に合わせるべきか。


 いや何事もまずは挨拶から。


よし、やるぞ。


「#%*£€」


あれ。上手く、口を動かせない。


 上手く、言葉が話せない。


そもそも、どうやって声を発するのか…分からない。


 「え?あっ……。」


マズイ。相手の人も困惑してる。気まずい雰囲気になっちまった。


 でも当の俺も困惑してる。


なんで上手く喋る事が出来ない?相手の言葉はハッキリと理解出来ているし、喋る事はできると思ったんだが。


 「あ、あのソウカ様。とりあえず一旦お屋敷に帰りましょう。ミネラさんも心配しておりますので。」


 …とても。腫れ物を見る様な、関わりたく無い様な態度をとられた。


 絶対変な人だと思われたよ、俺。



 制服の人につれられ、森を抜け、付近に停めてあった犬が引く乗り物に乗る。


 馬車では無く犬だ。


馬は何度も見た事はあるけど、犬の引く車は初めてだ。


 確か馬より数段性能が良いのが犬だったか。


 昔にザディにねだって乗せてもらおうとして、金が高いんだと断られた記憶が蘇る。


 制服の奴と馬車改めて犬車に揺られること数分。


犬車は、大きな屋敷の前に止まった。


「さ、行きましょう。」


 俺達は、犬から降りると、運転手は犬を屋敷の裏庭へと連れて行った。


 ここで、飼っている犬なのだろうか。

あのバカ高い犬車といい、この屋敷といい。ここはとんでもない金持ちの家だな。


 制服の人間は、屋敷の門を抜け、荷物を持っては絶対歩きたく無い長い道を通り、これまた大きな扉の前で足を止める。


 扉を叩き、一言。


「ソウカ様をお連れしました。」


 それから一秒の間を開ける事なく、扉は全てを吹き飛ばす勢いでぶち開けられた。


 「ソウカ!良かった無事で。」


突風の如く、屋敷の中から飛び出して来た人間に俺は抱き付かれた。


 「本当に良かった。駄目でしょ。勝手にいなくなっちゃ。」


 人間の声は、少し掠れて涙ぐんでいた。


 涙…?


なんで、急に泣いてんのこの人。


 強く抱きしめる、腕がちょっと窮屈で、俺は人間の肩を軽く叩く。


 「ごめんね、思わず力入っちゃった。」


パッと俺から離れた、人間のは俺を見て、次に自分の服を見る。


 人間の身に付けている白い服が、泥と少しの血で汚れている。


 それを見たメイドの顔がみるみると青ざめていく。


そして震えた声で俺に問うた。


「…ソウカ。その汚れは?あと少し赤…。」


 色々と答えてやりたいとこだけど、俺話せないんだよね。


どうしたもんかと黙っていると、まだいたらしい制服の人間が横から口を出す。


 「どうやら、ソウカ様は喋る事が出来ないようでして。」


「え!」


 泣いた人間が、俺を恐る恐る見る。


俺はすぐに、頷いた。


 メイドはそれを見て、もう一度俺の服に視線を落として。


最後に自分の意識も落としたようで、その場に倒れた。

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