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スライム 人間になる  作者: 浅川 大輝
学校生活編
36/50

間話

 これまで、俺達は何度か街に下りている。下りた理由はいくつかあるけれどその理由の1つに「家具の、とりわけ寝具の購入」が主な理由であった。


 しかしその目的は何度も憚れることとなる。1度目は少年との出会い。2度目は例の男との遭遇。そして今日。


 俺達は3度目の正直といった心境で街に足を踏み入れていた。


 「もうね。体が限界なんだよね」

「…今日は何がなんでも買って帰ろうな」


 また何か厄介ごとに見舞われるのではないか、なんだかんだで今日も買えずに帰る方になるのではないか。


 そんな事を考えて街を歩いていたけど、今日は珍しく何も起きずにやっと、無事に俺達は家具屋に着くことが出来た。


 「凄いね、どれにしようか」

店内にびっしり置かれた、寝具類を見つめて、手に取って質を確かめて。吟味するグランドは俺の方を振り返った。


 「何かいいのを選んでよ。ベッドマイスター」


 なんだマイスターて

「俺はそこまで詳しくないぞ。専門家って訳じゃない」

「そうなの?でも新しいベッドを見たらいつも言ってるじゃない。このベッドの質はどーのこーのって」


 「1人でブツブツと」

見られていたのか恥ずかしい。



その後、質が良く、予算からはみ出ない手頃なベッドが見つかった為それを購入。


 その他にも無機質で薄暗い部屋を彩る用に、日常感を出す為の家具も幾つか購入した。


 翌日のグランドはここ最近で1番スッキリした顔だった。


 ――


 その日、自室にいた俺の元に急いだ様子のメイさんと、少年が尋ねて来た。



「遂に、この子が言葉を喋れるようになったんです」

「本当ですか!」

「ええ。カタコトですけどね。後、敬語やめてください」



メイさんに、ほら、言われて少年が何度か喉を鳴らして声を整える。


 「この子、どうしても貴方に伝えたい事があるみたいで。聞いてあげて下さい」


少年は俺を見て、カタコトで所々言葉が途切れながらも、気持ちが籠っているのが十分に伝わる。そんな風に言葉を発した。



「にしみや、えい、といいます。たすけてくれてありがとうございました」


 少年は最後に頭を深く下げた。


「えい、それが君の名前か。」

そこに、メイさんが付け加える。


「いえ、にしみやケイ、と言うんです本当は。どうもそこら辺の発音が難しいみたいで」


 「そっか。えいじゃなくてケイか。よろしくケイ」


俺はケイに聞き取りやすい様に、ゆっくりと一言一言喋り、手を差し出し、握手を交わした。


 その後、読んで来たグランドにもケイはお礼を言った。

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