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スライム 人間になる  作者: 浅川 大輝
学校生活編
28/50

学校案内

 最初にベルが、次にグランド。最後に俺。その順番で魔法陣に乗る。


 ベルが魔法陣に乗った途端、体は中にフワフワと浮き初めて徐々に上に移動する。次第に移動するスピードは速くなり終いには空中を自由自在に飛ぶように軽やかに、素早く動く様になった。


 次に乗ったグランドも同様に飛ぶように動いている。


 楽しそうだ。俺も早速魔法陣に乗る。


 頭の中で2階と呟く。直後肩、脇下、横腹、足を何かに掴まれた様な感覚に襲われた。しかし何に掴まれているかはハッキリとは分からない。透明なのだ。でも感覚的には多分手だと思う。


 そして俺の体は中に浮いた。しかしそれは決して軽やか、自由自在。優雅に。などという言葉とは無縁な浮き方。


 例えるなら、自分より遥かに体が大きい屈強な人間に首を掴まれ持ち上げられたみたいな。


 そんな浮き方だ。

 

 そして俺はそのまま強くグンと引っ張られる形で2階まで移動した。


 

 徐々に俺を掴む手はスピードを落とし、先程の部屋と瓜二つの部屋のど真ん中にある魔法陣で降ろされた。


 「着いたの?」

ベルにそう尋ねると、「はい」と言い壁を指差した。


 壁にはデカデカと2と黒い太文字で書かれている。


「我が学校の移動方はいかがでしたか?」

「ええ。最高でした。出来るならば隅々まで魔法陣を調べてみたいと思えるほどに」


 いい笑顔だ。嘘偽りのないとてもいい笑顔。グランドは心の底から本当に最高だと思っているんだろう。


 俺はというと最高とはとてもじゃないが言えるもんじゃなかった。しかしベルはあれを偉大と言う。グランドは最高という。


 とてもじゃないがこの2人の前で最悪とは言えないだろう。


 「私も最高だと思います」

「お気に召したようで何よりです」


 2階から6階までは1年生教室だという事で俺達はその見学へと向かった。


 授業中との事で、俺達は話し声は最低限最小に、足音はなるべく殺し、音は出さないように教室を見る。


 黒い制服を来た20人程の生徒達がそれぞれの席に座り魔法書を読んでいる。


 教室の前では教師と思しき人間と2人の人間が何やら手のひらに大きな火球を出している。


 他の教室も似た様な事を。2、3年生達も同じ様に大半の生徒は魔法書を読み、1部の生徒は教師と前で魔法を出している。学級が上になればなるほど出す魔法の規模は大きく、また強力な物になっているように見えるが、どの学年も基本はやっている事に然程変わりはないように見える。


 実際はどの学年もそれぞれ全く違う事をやっているのかもしれないが、魔法ど素人、知識ほぼ0の俺から見たらどこもほとんど変わりなく見えた。


 1年生教室があるフロアには保健室もある。しかしそこ担当の先生が不在との事で中には入る事が出来なかった。


 でも外からチラリと見た感じ中には質の良さそうなベッドが5つ程並んでいた。あのベッドはさぞ気持ちの良い事だろう。


 俺もいつか体調不良患者と偽って行ってみることにしよう。


 3年教室フロアには職員室が。そこはグランドに挨拶を任せて、いよいよ俺達は推薦者達のフロア。13階から15階


 といっても13、14は他の推薦者達のフロアらしく、俺達には15階しか案内してはくれなかった。


 「立ち入り禁止。とまでは言いませんけど13階14階には相応の用事がない限りはあまり行かないように」


 ベルは俺達にしっかりと釘を刺した。


 再び、移動教室から15階へ向かう。


 15と壁にかかれた部屋を出て、長い廊下を歩く。


まだ歩く。もう歩いて5分はたった。


 「随分と長いんですね」


グランドがそう尋ねる


「何しろ、最果て。そう呼ばれていますからね。貴方達の部屋。」


 それからまた数分。廊下の突き当たりを曲がると扉があった。


 ベルはそれを開ける。


 「こっちです」


外に出て、渡り廊下と言うんだろうか。それともこの場合は吊り橋?


 どう呼べばいいか分かんないけど俺達は校舎と部屋を繋ぐ橋のような廊下を歩いた。


  そうして俺達は無事に部屋に辿り着く事が出来た。


「こちらが、貴方達の部屋です」


 部屋というよりツリーハウスだった。


レンガ調で出来るこの学校には異色ともいえる自然いっぱいのツリーハウス。


 でも俺にはなんだか懐かしさを感じる。まるでザディと訪れた森みたいだ。


 歩くのこそ嫌いだったが、森特有の雰囲気は嫌いではない。むしろ好きな部類に入る。


 俺はワクワクしてツリーハウスに入った。


 入って絶句した。


 「まじかよ」

無意識にこの言葉が出るくらいには面食らった。


 「ええ。まあ気持ちは分かります。私も初めて見た時は世界を移動したのかと勘違いしました。」


 見た目は確かに自然を前面に出したツリーハウスだった。

しかし中はどうだったかというと。


 全体が金属いや無機質。


 なんと言うんだろう。全てが鉄で出来ている。


 冷たく薄暗い部屋。専門道具が置いていて。


 いうならば狂気の科学者が怪しげな薬を使っている。


そんな部屋だった。


「凄いや!」


が、ここに1人。ただ1人俺達とは全く違う反応をした奴がいた。グランドだ。


 笑顔で、手を合わせ。今にもピョンピョンと飛び跳ねそうな。それくらい興奮している。


 「いや凄いですよベルさん。こういう部屋が僕欲しかったんです!」


 コイツが狂気の科学者だったようだ。


 ――


 その後、一通りの学校案内が終わった所で俺達は寮へと案内された。


 今行ったツリーハウス。あれは俺達の部屋だが寝泊まりする部屋ではなく、推薦者に与えられる、それぞれの分野に合った専用の部屋。


 グランドは推薦者に与えられる部屋に研究室を所望していた。


 寮には学校を出て地獄の階段を降りて、西に少し歩いた場所にあった。


 屋敷ほどの大きさで、中には多数の部屋があり右は女子専用。左は男子専用。とそれぞれ分けられている。


 「グランドさん。私は女子ですので先にソウカさんを案内しようと思うんですが」


 「そうですか。であれば僕は先に部屋を見にいって良いですかね」


 「分かりました。ではこれを」


 ベルはグランドに鍵を渡した。多分部屋の鍵だろう。


  「グランドさん。我が校の校長より連絡です。明日中に14階の校長室を尋ねるようにと」


 「分かりました。今日は丁寧な案内。ありがとうございました。」


 そういってグランドとは別れた。


 「ではソウカさん。行きましょうか」


 そこから俺達に会話は無かった。


…気まずい。今まではグランドが絶えず話してくれていたからなんとかなったけど、グランドのいない今。滅茶苦茶気まずい。


 いやグランドが最初からいなくともきっと気まずさを感じていただろう。きっと最初から俺はこの人と上手く喋る事は出来なかっただろう。


 ベル。この人は仕事人というか。仕事人形というか。


 抜けている所こそあれど、基本的には表情1つ変えず淡々と喋る。


 でも喋る事は仕事関連のみで、それ以外は何も話さない。

話さない間は無表情を崩さない。所作も綺麗。


 教科書をからそのまま出て来た様に綺麗。


彼女からは話しかけづらいオーラが出まくっている。


 俺の部屋に着いた。


 「ここです」

「…ありがとうございます」


 「ソウカさん。さっきグランドさんに言いましたが明日14階の校長室にいって下さい。」


 「分かりました」

 俺は鍵を受け取った。


 「では、お疲れでしょうから。今日はゆっくりとお休み下さい。」


 …ベルがニコリと笑った。


 あっけに取られて何も言えず、彼女は俺の視界から消えた。


 人形とか悪い事を思ってしまったな。


 




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