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スライム 人間になる  作者: 浅川 大輝
犯人捜索編
22/50

作戦会議

翌日朝。俺達は早速昨日の四阿へと向かった。


 俺は手ぶらで、グランドは反対に中々の大荷物だった。

その為、酔った俺と荷物を運ぶグランドは辛そうな顔をしていた。


 申し訳ないね。いつか乗り物酔いも治さなきゃね。


 「はあ……はあ…。」


 着くなり、倒れ込む様に座るグランド。


 「悪いな。毎回。」


 「いや、はぁ…大丈夫だよ…。」


 全く大丈夫には見えない。少し回復を待つとしよう。


 ――


 それから少し経った。大分グランドの息も整った。頃合いだ。そろそろ話始めても良いだろう。でもその前に、


 「なあそれ、何が入っているんだ?」


 俺はやけにデカいバッグを指さし、聞く。


「ああ。待って。今から使う物なんだ。」


「じゃあ早速昨日の続き。及び作戦会議を始めよう。」


 「おー」

拳を上げておく。


 「昨日話した、死者を生き返らせる。これについて昨日改めて調べてみたんだ。」


 ガサガサとカバンから複数の分厚い本を数冊取り出す。


 「右から初級、中級、上級、超級の本なんだけど。」


 あれ。これって魔法の階級だっけ?その辺の認識が曖昧なんだよな、俺。


 「悪い、その前に魔法の階級について教えてくれないか?」


 「良いよ。じゃあまずは初級から。これは字で分かると思うけど1番初め。最初に習う魔法だね。魔法使いの階級では1番下だ。次に中級。これが初級をマスターした人が次に覚えるものだね。余談だけど、中級が魔法使いが1番多いんだよ。んで、その次に上級。もう大体わかると思うけど、中級をマスターしたら次は上級。上級魔法使いはエリートと言われているよ。

最後に超級。魔法でも魔法使いでも、規格外と言われている階級だ。」


 ふむ。なるほど。そういえば、いつだったかミネラが「私は中級まで使えるんですよ!」と自慢げに言ってきた事があったな。この説明聞くとなんであんな顔出来たのか分からなくなるな。


 「どう?こんな説明だけど分かったかな。」


 「ああ。ありがとう。」


「よし、じゃあ話を戻すよ。それで調べてみたんだけど、結果どの階級の本にも死者蘇生の魔法は記されていなかった。」


 超級にも書いてないとなると、少し不安になる。しかしグランドの顔は暗くはない。何か収穫、もしくは昨日言った心当たり。どうにかなるかもしれない何かがあるのだろう。

 

 「じゃあもう打つ手無しなのか?」


 「いやそうじゃないよ。昨日言ったろ?心当たりがあるって。ここから遠く、海を渡った所にある都市グレード•グラビティという所に大きな魔法学校があるんだ。そこに行けばもしかすると、死者蘇生の魔導書が見つかるかもしれない。」

 

ふむ。魔法学校。確かにそこならば、魔法について色々と調べる事は出来るだろう。しかし、

 「全ての階級の本には書かれていないんじゃなかったのか?」

 

 そう。グランドはどの階級の本にも記されていなかったと言った。ならば何処に行こうと意味ない気がするのだが。


 「ああ。そうだよ。現代の魔導書には書かれていない。でも古代の魔法になら死者蘇生は恐らく可能だ。そして学校には古代の魔法を手に入れれる可能性がある。」


 古代?なんだ古代の魔法って。それにその学校にはどうやって行くつもりだ?そもそも入学する事は出来るのか。

聞きたい事が沢山あるが、順序よく1つ1つ聞いていこう。


 「古代の魔法ってのは何のことだ?」

 「そうか。ごめん、君は魔法に詳しくないんだったね。古代の事から説明させてもらうよ。」


 「今から数千年前まで存在したとされる時代の事で、その時代にはありとあらゆる事を人類は出来たとされるんだ。」


 「例えば、空を飛ぶだとか不老不死だとか、瞬間移動だとか。今の人類の夢と言われる事象全ては古代では日常であったとされてる。そんな古代だけど、大きな戦いがあって、人類は滅亡。その後に新たに作られた現代にかけらとして残っていたのが古代の魔法だ。」


 ふむ。なるほ…ど?


 「つまり、古代は滅亡したが、その一部の魔法は現代にも残されているって事か。」


「そうそう。それで、古代の魔法なら死者を生き返らせるくらいは出来るんじゃないかなって。」


 なるほどな。これでグランドの心当たりが分かった訳だが、


 「でも学校にはどうやって行くんだ?」


 問題はそこだ。学校に行くのにはお金が掛かるとらしい。正直これ以上、自分がソウカだと偽りお金を出させるのは嫌なのだが。


 「まず海を渡るんだ、水竜車というのに入って海を渡って、そこからいくつかの乗り物を乗り継いで…。」


 「違う。そういう事じゃなくて、俺達は学校に入れるのかって話しだ。入学にはお金がいるんだろ?」


 「あ、そっちね。それも問題はないよ。」


 再びバッグをガサガサと漁り出し、大きな茶封筒を取り出した。


 「ちょっと破けちゃったけどこれがある。」

 「それは?」


「推薦状さ。要は学校の方から僕達に入学してくださいと言われているんだ。」


 なるほど。都合が良すぎるくらい手筈が整っているな。僕達って事はこの流れだとソウカにも推薦が来ているのだろうな。が、一応聞いておくとしよう。


 「俺の分の推薦状はあるのか?」


「俺、というかソウカにね。ちゃんとソウカにも推薦は来ているよ。むしろソウカの方が学校側は欲しているよ。」


 と、少し残念そうな笑みを浮かべるグランド。


 そういえば、ソウカは魔法を使えるんだったな。

 「さ、これで一通り話は終わりだ。これを聞いて君はどうしようとかあるかな。」


 そうだな、気になる所をいくつか聞いておこう。


 「俺はその学校に行く許可を得られると思うか?」


 一応まだ記憶喪失者という設定だし。


 「んー、そこだよね。別に危ない事をする訳でもないし僕もいるから許可は出そうな気がするけどね。でもミネラさんはちょっと過保護な所あるからね。」


  話を聞きつつ、グランドから推薦状を見せて貰う。

「ま、そこは僕がキチンと見ている。といえば何とかなるさ。」


 「お前のとこの護衛もいるし。そうだな。何とかなりそうだな。」


 「いや。護衛は着いてこないよ。」


 え?そうなの。一気に許可が出ない可能性が高まった気がする。


 「護衛とかそういうのは禁止されてるから。学校に連れて行くのは。」


 「そうなんだな。」

 と、返事もそこそこに推薦状を読み進めていると気になる所を見つけた。それは日付と年だ。そこに書かれていたのは、


 「なあ。この推薦状10年前の物だけどまだ有効なのか?」

推薦状は10年前のだった。しかし、


 「大丈夫大丈夫。20年経ってなければ無効にならないから。」


 との事らしいので一安心。しかし10年前に推薦て結構凄い事の気がする。みた所まだグランドもソウカも若いのに。


 やっぱ人間だから小さな頃から凄いのかね。


 という所で一通り疑問は解消された。


 「じゃあ許可を取りしだいその何とかって街に行こうぜ。」


 「そうだね。早い方が特は多そうだ。」


――


 小屋へ向かう道中。そういえばと思った事がある。


 「お前は学校に行って大丈夫なのか?」


 「それはどういう意味で?」

「忙しかったり、何か予定があったり。」


 今は記憶喪失なので、やらないが本来はソウカは中々忙しいらしい。なので同じ貴族のグランドはどうなのかと思ったが。


 「いや、大丈夫だね。何故か父は家にいないし。これから予定が入る予定はない。」


 「それにもし仮に予定があったとしてもそれを全部投げ出して君に着いていくよ。」


 「そうかい。」


 「君だけに行かせるのは悪いからね。」

と、グランドは口をニッとして笑った。ここまで笑顔のこいつを初めて見た気がする。


 やっと初対面の時の好青年の様な顔を見れた気がする。


ーー


 色々決めたまでは良いけど結局俺たち子供が何をしようと、最終的に全てを決めるのは大人なのだ。


 つまり、入学どうこうの話を今からしにいこうと言う訳。

現状俺からソウカの両親に連絡する術はないので、ミネラに話を通すことにした。


 話す内容は、ソウカとグランドが魔法に興味を持った。そこで昔貰った推薦状を思い出した。だから学校に行きたい。


 と話した。俺達はミネラに行くのに許可されないのではないかと予想した。が、当のミネラの反応はというと。


「全然良いですよ。むしろ嬉しいです。ソウカ様が何かに興味を持つなんて久しぶりだから。」


 と良い反応だった。ここで前の様に泣いて引き止められたら、流石に俺もどうなるか分かなかったので良い反応を貰えて何よりだ。


 「では、私の方から当主様に伝えておきますね。」


「うん。ありがとう。」

 と俺。

「よろしくお願いします。」

 と言うグランド。


 しかしつくづく思うが、ソウカの両親はソウカに関心なさすぎだな。記憶喪失というのを知らない訳じゃないだろうに。


 「ソウカ様の方は大丈夫ですが、グランド様はよろしいのですか?」


 「父の事ですか?」


 「はい。もう話しているのなら良いのですが。」

「そうですね。では僕は一旦帰る事とします。」


 そういう訳でグランドは一旦帰る事となった。少しやる事があるから遅くなるかもと言い残して。


 それから、1週間とちょっとしていよいよ出発の日となった。


 俺もグランドも入学の許可は無事に下り、荷物もまとめて出発の運びとなった。

 

 なんでも寮生の学校らしく、服やら日用品やらで少々大荷物になってしまった。


 「では、また。楽しんで来て下さいね。」

と、ミネラからの言葉を受けて俺達は犬車に乗り込んだ。

この数日でお別れ会をやったので別れの言葉は少ない。


 俺も一言二言話そうかと思った所で、ミネラが抱きついて来た。


 「元気でね。しっかりご飯食べてね。あんまり好き嫌いはしないでね。」


 「うん。行って来ます。」


 それだけ言って、俺達は屋敷を出た。


 色々辛い思いもしたが、全体を見れば楽しい屋敷生活だった。主に最初の方は特に楽しかった。


 きっと次に帰るソウカの中に俺はいないのだろうけど、もう一度屋敷に住めるのなら今度はずっと楽しい生活にしたい。そう思った。


 


 

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