エピローグ
もう街の光も届かない程の奥深い森の中。もう誰も来れない夜の森。
二人の男女がそこにいた。
彼女の方はずっと楽しげに笑顔で、何やら語っている。
一方の彼は、そんなのは耳に一つも届いていないようで、ずっと俯き、息を荒くしている。
ふと、前を見る彼の目は真っ暗だった。
彼は隠し持っていたナイフを取り出す。
背を向けている彼女はそれに気が付かない。
彼女の心臓目掛けて、彼は思い切り後ろからナイフを突き刺した。
瞬間、彼女の身体から噴き出る血液で、周りの草花と彼の手は真っ赤に染まる。
彼はハッとして、自身の両手を見て。次に辺りを見渡して。ようやく現実を理解出来た彼は、ナイフを投げ出し、半狂乱になりながら、一目散に森を後にした。
こうして、彼女の物語は終わりを告げた。
―――――
そこから数時間後。朝日が顔を出し、もう街にも灯りが消えた早朝。
この森にとあるスライムと、獣族の少年がいた。
スライムは、自身の夢を叶える為、そこに倒れる彼女の身体に入り込み、身体を乗っ取った。
こうして、スライムの人生。
いや、スライム生?
どっちか分かんないけど、ともかくスライムとしての彼の物語はここで終わった。