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主人公アイリ目線

また新しく異世界恋愛の連載小説始めました。よろしくお願いいたします。

主人公アイリ視点は短編版と同じになっております。

「千年に一人の聖女を俺は婚約者にしたくてね…」


 マリス王子はお茶を飲んで平民である私達の家に来て私の両親とお姉様とお話しています。


 その言葉を聞いて私は思いました。お姉様のことね…お姉様は凄いよね。どんな人の病気でも治癒させることが出来て。私からしたら凄い尊敬出来る姉です。


 それに比べたら無能の私なんて…お姉様の足元にも及ばない。マリス王子はお姉様を婚約者にしに来たんだわ。私は自分のことのように嬉しい。それにお父様、お母様も大変喜んでいるみたい。


 お姉様も大変嬉しそうな顔。そりゃそうですもの。だってお姉様の憧れの王子様。そんな方に千年に一人の聖女だって誉められたら誰だって嬉しいに決まってる。


 マリス王子はハンサムで背が高く、スリムで性格も優しいお方。だからお姉様にピッタリ。そう思っていたのに王子様ったら


「アイリ、君を妃に迎えたい。君こそ千年に一人の聖女だ」


 なんて言っちゃって。私はめちゃくちゃびっくりしました。どうして私が!?…王子様! 頭おかしくなっちゃったの!? どうして私が千年に一人の聖女なの? 王子様、あなたギャグを言いにきたのですか? お姉様やお父様、お母様も驚きのあまり混乱。さらに王子様ったら


「アイリ、俺の婚約者になることに異存はないね」


 なんて言ってきて返答に困ります。


「わ、私なんてあなたの婚約者に相応(ふさわ)しくありません。お姉様の方があなたの婚約者に相応しいのではありませんか?」


 と言ったのに


「何を言っている、アイリ。自分に自身を持つんだ。君は千年に一人の聖女なんだから」


 こんなことを言うのです。


「アイリ、早速だけど俺のいる城に行こう。いいね」


「ちょっと待ってよ…」


 お姉様が何か言いたそうです。私はビクビクしていました。またお姉様から罵倒を浴びせられる。そう思っているとお姉様は怒りの表情で私に指を指して言いました。


「こんな奴が千年に一人の聖女ですって! 笑わせないでよ! 私の方が千年に一人の聖女でしょう! こいつはね、何の役にも立たない! こんな奴が王子様の婚約者に相応しい訳がないわ!」


「おい、俺の婚約者を罵るな!」


 王子様とお姉様が喧嘩を始めてしまいました。や、やめて欲しい…お願いだから。私なんかのために喧嘩はやめて欲しい。


「マリス王子、あなたは何も分かっていない。私の聖女としての貢献度、そして素晴らしさが!」


「確かに君は聖女として庶民に素晴らしい働きをしている。だが彼女のことを君は何も分かっていない。俺がアイリを千年に一人の聖女だと見通している。今に分かるだろう」


「何よ、そんな奴を婚約者にしたこと、あなたはきっと後悔するわ!」


「いいだろう。俺は好きなように後悔してやる。だが現実はそうはならないだろうな」


 自信満々にお姉様に言う王子様。でも私は全く治癒魔法を持っておりません。王子様は私の何処に千年の一人の聖女だと見たのか不思議になります。そして私はマリス王子に連れられ今まで暮らしてきた洋館を出ていくことになりました。


「お、お世話になりました」


 私は家族に礼をするもののお父様、お母様に睨まれたような目付きで見られるとお姉様にも見下したような目つきで見られております。こんなつもりではなかったのに。私は複雑な思いで家を出ることになりました。


 私は馬車でマリス王子と一緒に乗って彼の住んでいるお城に一緒に行きます。どうして私なんがが千年に一人の聖女なのかしら? 私はどうしても知りたくてマリス王子に質問をしました。


「マリス王子!」


「どうした、アイリ」


「やっぱりマリス王子は間違っています。こんなちっぽけな私なんかが千年に一人の聖女な訳がありません!」


「アイリ、それは違う。君は本当は凄い治癒能力を持っていることに気付いていない。今はその能力を発揮していないだけで、何かキッカケがあれば凄い強力な治癒魔法を使うことが出来るようになるはずだ」


「どうしてそんなことが分かるのですか!?」


「アイリ、俺は人を見抜く千里眼という能力を持っている。だから初めてアイリを見た時、この子は間違いなく聖女として隠された強大な力を持っているということを千里眼が教えてくれた。それに君は家族から酷く虐げられていただろ?」


「ど、どうしてそれを…」


「見れば分かる。腕のアザや脚にあるアザ、顔にもアザが確認出来ている。考えなくともアイリが家族から酷い扱いを受けていたのが分かる。そんな千年に一人の聖女になる君が虐げられているのを俺は放っておけなかった」


「王子様…でも私は」


「大丈夫だ、その内アイリの力は覚醒してくれる。俺はアイリを信じてるからな」


「マリス王子」


「だから自信を持って欲しい。アイリ」


「あ、ありがとうございます。マリス王子」


 マリス王子は私に自信を付けさせてくれました。私は数ヶ月もの間、庶民の人々の治療に当たっていたのですが…。


 しかしいつまでたっても私は聖女としての力を覚醒させることが出来ません。庶民の病気を全然完治させることが出来ないので庶民からバカにされるようになると偽聖女呼ばわりされるようになりました。そして


「この偽聖女アイリを処刑しろ!」


 との声も。それでもマリス王子は私を信じ続けると言うのです。


 でも私は自信を失っていました。やっぱり私は無能…。私はマリス王子の婚約者に相応しくない。


 やっぱりお姉様の方がマリス王子の婚約者に相応しかった。私はお姉様みたいに優秀じゃなかった。私はお姉様みたいになりたかった。お姉様みたいに優秀な治癒魔法を持ってたくさんの人達の治療をしたかった。そしてお姉様みたいにお父様、お母様にも認められたかった。


 千年に一人の聖女が私なんて恥ずかしい。私は全くと言って良いほど聖女としての力を覚醒させることが出来ない。マリス王子に嘘を付かれたと思った私は彼に言いました。


「王子様、正直に言って下さい。私は千年に一人の聖女なんかじゃないと」


「アイリ、慌てるな。いつかは覚醒できる」


「いい加減にして下さい! あなたは私に同情したくてあんな嘘を付いたのでしょう!? 私には聖女としての力なんてなかった! 私なんて千年に一人の聖女なんかじゃなかった! マリス王子! 正直に言って!」


 その時でした。軍隊騎士の方が私に報告をしたのは


「アイリ様、実はあなたのお姉様が…」


 なんとお姉様が庶民のために膨大に使った治癒魔法が原因で体に異変が起こり大きな病気を起こしてしまったというのです。


「アイリ、あんな姉のところに行く必要ないからな」


 マリス王子がそう言いますが、私はそれでは納得いきません。何故ならお姉様は庶民の人のために治癒魔法を限界になるまで使った。だから最後くらいはお姉様と一緒にいたい。そう思い私は王子様に言いました。


「何を言うのですか!? マリス王子! 私に散々酷いことをしたお姉様でも私からしたらたった一人のお姉様です! 私はお姉様を助けれる訳がないけれど、それでもそばにいてあげたいから!」


「そうか…お前は優しいな。分かった。俺も一緒に行く。早速、馬車で彼女のところに行こう」


 大急ぎでお姉様の住んでいる村に馬車で行きました。そして何時間もかけてお姉様が寝込んでいるというコテージに付きました。


 するとお姉様は死にかけの状態でベッドにいました。お父様とお母様はいません。


「お姉様! お姉様!」


 私はお姉様を助けたいですが、何の治癒魔法も持っていない私が助けれることなんて出来るわけがありません。しかし王子様は私の手を優しく置きました。


「アイリ、お前は千年に一人の聖女だ。お前なら姉を助けれる、俺は信じてるぞ。お前がここで奇跡を起こすことを」


「マリス王子…」


 神様…お願いです! お姉様をお救い下さい! 私は千年に一人の聖女になんてなれなくて良いですから。お姉様の命だけは助けてあげて下さい! 私が神様に祈っていると、私の手のひらが光輝きました。


 これって…一体?


 さあ、本当のあなたの力を覚醒させなさい。


 この声は誰?


「アイリ、神だ。神様がお前に問いかけているんだ」


「神様が私に…」


「そうだ、アイリ」


 わっ! 何これ! 凄い力! 私じゃこんな治癒魔法コントロール出来ない!


 私はお姉様の体に触れ覚醒させたばかりの治癒魔法でお姉様の病気を完治させようと力を使いました。使ったと言っても私の中では大したことではありません。するとお姉様の顔色が良くなりすぐに意識が戻りました。


「お姉様!」


「ア、アイリ! …まさかあんたが私を助けてくれたの?」


「うん!」


「どうして?」


「だってお姉様は庶民の人々のために治癒魔法たくさん使ったでしょう? だから…」


「でも私はあんたに散々酷いことばかりしてきたのよ。こんな私なんて助けることなかったのに」


「そんなことないです! だってお姉様は私の憧れなのよ!」


「アイリ…。私ね、お父様、お母様に認めて貰いたくて庶民の人々の病気を治すのに必死だった」


「お姉様…例えそうであっても今まで庶民のために必死になって病気を治したお姉様は立派な方です。私、あなたを尊敬します。だからずっと私のお姉様でいてね」


「アイリ、ありがとう。でもね、私はもう聖女を辞めようと思って…無理にお父様やお母様に認めて貰うために頑張るのは諦めたわ。だからこれからはあなたが庶民のために頑張ってね」


「お姉様…お姉様がもし聖女をやめたとしてもお姉様は私のお姉様に変わりはないから。それよりお姉様、ごめんなさい。お姉様の憧れの王子様を()っちゃって」


「ううん。もうそんなことどうでもいい。それより私は千年に一人の聖女である妹を持てて私は誇りだから」


「お姉様…ありがとう」


 私は涙でたくさんたくさん溢れてしまいました。お姉様のおかげで力いっぱい頑張れそうです。


 そうそうお姉様はお父様、お母様とは縁を切ったそうです。何でも聖女をやめたことでお父様、お母様に暴力を振るわれバカにされるようになったみたいです。


 私に手を出すならまだしも私の尊敬するお姉様に手を出し、さらに見下すなんて信じられません! 本当に自分達の大切な子供だと思っているのかしら!? と言ってやりたいです。


 半年後、私はマリス王子と結婚し妃となりました。花束はお姉様から受け取りました。お姉様はと言うと自分で幸せを掴んだみたいで…。


 病気で倒れていた隣国の王子様を治癒魔法で治したことがキッカケで婚約者になったんだとか。お姉様が幸せになれてとても良かったです。


 私は生きていく限り覚醒させた力を使って庶民や王族の方々の病気を治していくことが、千年に一人の聖女として神に選ばれた私の使命であり、役割ですから。


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