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「クヤはどこに住んでるの?」
「この森よ」
「なんで?」
クヤは首を傾げました。コタの質問がよく分かっていないようです。
「なんで?って、コタはなんで服を着てるの?」
「え?なにちょっと意味がわからないよ。クヤはなにを言ってるの?」
「答えてよ」
「えー……」
コタは嫌々ながら、ちょっと思案して、
「え?裸は恥ずかしいから……?」
「そう。確かに人がいっぱい居たら恥ずかしいよね。まぁ、そんな単純なことよ」
「???え、マジでキミなにを言っているの?」
クヤはつまらなさそうにため息をつきました。
「誰かがどう思われてるか気になるよね。それも嫌に思われてたら哀しいよね。それが目に見えたらツラいよね。だから服を着るんでしょ?」
「え……そこまでなんにも考えてないけど……」
「森に住んでたら、恥ずかしいの?」
「えーーー?なにーー?どゆこと?」
「人と違うって、そんなにおかしいこと?皆が森に住んでて、わたしは森に住んでる。変わらないじゃない。コタはわたしをおかしいって言うけど、わたしはそんなにおかしいかしら?」
「まぁ……おかしいよね、気色悪いし……」
「コタはそんなふうに人を決めつけちゃうの?」
「いや、そんなことないけどーー、今の話がさーー」
クヤはぽつりと言いました。
「禁忌の森に住んでる人間がいるって、そんなにおかしいことなのかな」