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自動研![ZIDKEN!]  作者: キャプテンにしむー
1/1

俺はダメ人間

俺の名は村田哲(むらたさとし)

子供の頃から自動車を創り上げることが夢だ。


夢にしか生きることができないドリーマー、いわゆるイタい人間だ。


学生の頃から自動車づくりに携わることだけを夢見て、一心不乱に取り組んできた。


それが故に、色んなことがありすぎて、俺は精神病になってしまった。鬱病というのが一番近いかな?


だから、この起死回生の物語を進める前に、俺の人生をおさらいさせてくれ。


[幼少~中学 記述予定]


高校と専門学校で、工業の技術と知識を身につける傍ら、実際に自動車を設計・製作してきた。


社会人になり、自動車部品メーカーに就職。「ここを新たな自動車メーカーにしてみせる」などと無謀なことを意気込み、新入社員の頃から「俺がこの会社を変えてみせる」などと、本気なのだがえらく上から目線で、製造現場や開発研修で活躍していった。


人間社会とは、本気で取り組めば人は動いてくれると思っていた。


だが、それは見当違いだった。


世の中、本気で取り組みたい人ばかりではない。ぬるま湯に浸かってぼちぼちやりたい人だっているし、むしろ就職した会社はそういった人の方が多い風土だったと、今ならわかる。


会議の時、誰も意見を言わない風土をぶち壊したい。学生の頃のように、会議の度に毎回手を挙げて発言していた。


今思えばそのときの言い方も高圧的だっただろう。何となく同期に避けられている感覚はあった。


しかし、同期だけに留まらなかった。留まるはずがなかった。


「あの新入社員、マジねえんだけど。この会社で関わりたくない奴ナンバーワンだわ」


俺が見たことも話したこともない人が、俺の斜め前のデスクの人に、そう話していた。


斜め前のデスクの人が苦笑いしていたところを見ると、きっとそこに張本人がいることに気付いていたからだろう。


………俺はその日から、周囲の人間が怖くなった。誰も信じられなくなった。知らないところでみんな俺の陰口を言ってるんだ……と。


酔った同期から「◯◯(同期の名前)がお前のことあんまり良く思ってないらしいよ」と聞き、確信に変わった。


そういう時期に、自分のミスで交通事故を起こし、相手の新車を廃車にしてしまった。自分の至らなさから、保険会社の人から「相手の方があなたのこと誠意がないって言ってますよ」と言われた。自分は罪な人間なんだと思った。


愛車をクラッシュさせ、板金やさんに預けるも、無断で何度も何度も知り合い感覚で足を運び、「何度も来られちゃ困るんだよ」と言われた。

またやっちゃった。


生き甲斐だった、唯一の息抜きだった自動車を、お預けの生活が続く。


そこに、当時人生唯一俺が交際していた人から、「しばらく距離を置かせてほしい」と言われた。就職してから遠距離になっていた。地元で過ごせた期間は4ヶ月程度だ。

俺はどうしてこうも異性との関係に縁がないのだろうと、自分を蔑んだ。


そこにトドメを刺したのは、中学以来一番の親友だった奴だ。彼は親に見放され、勤めていた会社の代表に追われ、お金も住む場所もない。

放っておけなくて、彼を地元から遠方の自分のところに呼んだ。


俺名義の車を貸し、俺名義のアパートを又貸しした。そいつのことを信用しきっていた。


お金も貸し続けた。生活建て直して後で返してもらえればいいとそいつに尽くした。


ところが、そいつが仕事を始めて以降も光熱費を払わず、請求は俺のところに。


彼の仕事先のガソリンスタンドでややこしい人と仲良くなってしまい、後々面倒ごとになり、俺も巻き込まれた。


彼は出来事を自分の都合のいいように言い換え、俺はヤクザ絡みのことに発展しそうで日々怯え、夜勤12時間勤務上がりの後一睡もできず、その後また夜勤12時間、などという日々が続いた。


結局、そいつは突然夜逃げした。

お金はほとんど返してもらってない。もうすぐ7桁台に届こうという、かなりの額だ。


そんなことになりながら、又貸ししていたことも賃貸会社にバレ、途方にくれながらそいつの汚い部屋を片付ける。


タバコ吸うなと言ってたのにタバコの臭いが染み付く部屋。


壁紙やエアコンクリーニング代も請求された。


事が済んだ後、俺は脱け殻になった。


力を出し尽くしたように、会社に行けなくなった。


産業カウンセラーに「正直長期の休みがほしい」と打ち明けると、「その方がいいですね」と肯定される。初めてその時、自分が人から見ても相当ヤバい状態なんだなと知った。


通っていた精神科医も同意見であった。


診断書が出て、俺は会社を休職になった。


1年半もの間、とにかく愛車でいろんな所に出掛けた。車を弄り倒した。


しかし、調子が良くなると何かに挑戦し、人に迷惑をかけ、体調が悪くなり、苦しむということも多かった。


何せ、精神の病は周りの理解を得られない。理解のない人に何を言っても言い訳にしかならない。自分ですら、今見返したらじぶんが悪いと思う。でもその時はいっぱいいっぱいで、本当に辛かった。


そして、休職期限の1年半後、辞めるつもりだった会社に、とりあえずでもいいから復帰しようという事になった。


[続く]

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