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69話 精霊たちと浜辺

 第七遺跡で魔物の動きが沈静化した、という情報が流れ出して丸二日。

 港ではもう、遺跡攻略に訪れていた冒険者ギルドの船が、次々に元いた街へと戻るために出航していた。

 そして俺たちは一日のんびり宿で休んだ後、せっかく海に来たのだから泳いでいこうと、そういう話になっていた。

 ……そんなわけで。


「ご主人さま、お待たせしました!」


「どうだマスター、妾たちの水着姿は!」


 浜辺で先に待っていると、水着に着替えてきたマロンとプラムが現れた。

 ……あまり水着というものを見たことがなかったけれど、正直、中々に露出が多いものだと思う。

 それにマロンもプラムもスタイル抜群なのもあり、直視していいものなのかと思いつつ、俺は少し視線を逸らして二人に言った。

 ……自分の顔が赤くなっているのを感じる。


「二人とも、綺麗でよく似合っていると思うよ。……ちなみに、チョコたちは?」


「ええと、チョコとシルリアなら、アーリトーレと一緒に……」


「……んっ?」


 マロンが見つめる先には、青空と海があった。

 特に何も見えないけど、と言おうとした矢先、海面が盛り上がった。

 そしてザッパーン! と水が弾けると、海中から水着姿のチョコにシルリア、アーリトーレが勢いよく現れた。

 どうやらアーリトーレの水を操る結界の力で、盛大な水遊びに興じているらしい。


「三人とも元気がいいな……って、プラム?」


 わなわなと震えていたプラムに、何事かと思っていると、彼女は三人を勢いよく指して言った。


「マ、マスター! 妾もあれやりたいぞっ!」


「アーリトーレに頼むんだな」


 すると、プラムはわき目も振らずに三人の方へと向かい、海に飛び込んで泳いでいった。

 海水に浸かると武器の姿で錆びやすいと危惧していた精霊たちも、この際だからと思い切り楽しむことにしたらしかった。

 ……というかプラム、そんなにアレをやりたいのか。


「もう、プラムったら、もう少し落ち着きがあってもよいと思うのですが」


「ああいう元気なところも、プラムのいいところじゃないかな」


「ふふっ……それもそうですね」


 そう言ったマロンは、俺の横に腰掛けた。

 それから青空を見上げ、のんびりとした様子で言った。


「こうやってご主人さまと遠出して楽しむのは、ガイアナの時以来ですが、やはり旅行とはよいものですね。普段と違った日常を味わえて、新鮮です」


「でも、マロンもブロンズソードの『概念』だった頃は色んな冒険者と一緒にあちこちへ行っていただろう?」


 問いかけると、マロンは首を横に振った。


「それは冒険に、ですよ。こうやって誰かと楽しむことも、はしゃぐこともありませんでしたから」


 マロンはそう言い、にこりと微笑みかけてきた。

 ……水着姿もあって、今のマロンは強烈に可愛らしいと思える。

 多分今、俺の顔は赤いままだ。

 それを見てか、マロンはくすりと笑いをこぼした。


「ご主人さま、わたしの水着を見て照れてくださるのは嬉しいですが……」


 マロンは小さく咳払いをしてから「後ろを見た方がいいです」と耳打ちしてきた。

 なのでゆっくりと振り向くと……。


「もう、ラルド兄さん。……精霊たちの水着も可愛いけど、あたしのも見てよね?」


「ラルド、待たせたな」


 そこそこ大きな胸の下で腕を組み、唇を尖らせて不満げにしているミアと、サフィアの姿があった。

 ミアやサフィアにも一緒に泳がないかと声をかけてあったが、マロンと話していたので近づいて来たことにちっとも気づかなかったのだ。

 それと……やっぱり二人の水着も肌の露出が多いけれど、二人とも冒険者として鍛えているだけあって、引き締まった綺麗な体つきをしている。

 そんな水着姿のミアとサフィアに、少し見とれてから、


「二人も精霊たちに負けないくらい、魅力的だと思います……」


 と、照れてしまった影響か、なぜか敬語になりつつ俺は言った。


「「……」」


 するとミアもサフィアも、満更でもなさげな様子で赤面していた。


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