表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/79

61話 遺跡のケルベロス

 俺たちは閃光で混乱するケルベロスをかわしながら、一気にその奥へと駆け抜けた。


「倒すならまだしも、足止めで済むなら楽チンだね!」


「うむ。しかし妾としてはガツンと一発かましたかった……」


 駆けるミアに並走するプラムが、何やら不穏な言葉を発していた。

 けれどその直後、首の一つがたまたま目をつむっていたのか、閃光弾を食らわなかった一体が後ろから追いかけてきた。


「仕方がない、プラム!」


「任されよっ!」


 モーニングスターとなって俺の手の中に入ったプラム。

 思い切り腕を振ると、モーニングスターの鎖部分が伸び、鉄球がケルベロスの胴にぶち当たる。

 同時に【精霊剣】としての能力が発現し、鉄球と接触しているケルベロスの胴が爆ぜた。


『『『UOOOOOOONNNN!!??』』』


 体を跳ね飛ばすほどの衝撃に晒されたケルベロスは、遠吠えのような悲鳴をあげながら倒れた。

 しかしこのままでは、後ろから体勢を立て直した何体ものケルベロスに追われかねない……そこで。


「ふんっ!」


 モーニングスターの鉄球部分を天井に打ち付けて爆破し、降ってきた瓦礫で通路を塞ぐ。

 帰りは【転移】を使う以上、こうして通路を使えなくしてしまっても問題はないだろう。


「流石の早業だな……。手練れの冒険者でも、あそこまで素早く立ち回れない」


「【精霊剣】を使っているから、俺もこれくらいは頑張れるよ」


 サフィアにそう返すと、彼女は「先を急ごう」と再び歩みを進めた。

 それから先、魔物の襲撃は散発的に起こった。

 オーガ、グリフォン、果ては遺跡内の泉から小さなクラーケンまで……。

 出会った瞬間、サフィアのラプテリウスか、チョコの矢で遠距離から仕留めていったが、それでもまともにやり合えば激戦は必至だっただろう。


「この遺跡、強い魔物しかいないっていうのは本当だな……」


 冒険者たちが攻略に手を焼く訳だし、こちらも人知を超えた【精霊剣】がなければどうなっていたか。


「でも、ラルド兄さんや精霊たちが一緒なら、あっという間に魔物も退けられるし。これなら、最初から一緒に来て貰えばよかったよ。そうなればあたしのブロンズソードだって、十本も折られずに済んだのに」


 肩を落とすミアに、俺は苦笑した。

 けれど実際、この遺跡に来ればブロンズソード十本を失ったというミアの話も納得できるというものだった。

 むしろブロンズソード十本だけであんな魔物たちとやり合っていたミアの技量は、相当に高い方だろう。


「主さま。この先が最奥部ですが……ご注意を。凄まじい魔力ですわ、間違いなく遺跡の守護者が待ち受けているかと」


 そう告げたアーリトーレは、【精霊剣】インディゴスピアーとなって俺の手に収まった。


全国書店にて本作の書籍版が発売中です!


本日もTSUTAYAランキングに載っていました、好評のようでとても嬉しく思います。


書店で見かけた際はよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ