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45話 港町へ

「……」


 作業場へこもって、いつものように武器類の材料を用意していく。

 そのまま黙々と材料を手に取って、スキルを──


「……んっ」


 気がつけば、手が止まってしまっていた。


「ラルドさん。やはりミアさんのことが気になるんですか?」


「シルリアか」


 いつの間にか、作業場にシルリアが入ってきていた。

 思いの外、ぼうっとしていたらしかった。


「まあ、そうだよ。やっぱりミアのことは気になる」


 先日、あんなことがあったからか。

 ケルベロスのいる遺跡か、無事攻略は進んでいるだろうかと考え込んでしまっていたのだ。


「きっと大丈夫ですよ! ミアさんは手練れの冒険者って話ですし、それに昔攻略された遺跡なんて簡単に再攻略して戻ってきますとも!!」


 両手を胸の前で握っているシルリアの活気ある声音に、俺は頷いた。


「俺も、そう信じているよ」


「それでもその様子だと、不安感はあるんですよね?」


「……正直、少しは」


 寧ろ全く心配するなって方が難しい話だ。

 するとシルリアは「なら」とポケットから紙を取り出した。


「ここ、行ってみませんか?」


 シルリアから手渡された紙には、とある街について記されていた。


「シールフィーか……」


 シールフィーとは、少し離れた場所にある港町だ。

 先日行ったガイアナが温泉街なら、シールフィーは港街だ。

 ここも海を越え、各地から多種族の集まる場所であり、非常に栄えた交易街としてしられている。


「実はここ、二週間ほど前に行ったミアさんたち冒険者が集まっているって噂なんですよ」


「そうなのかい?」


「はい! 買い出しに行った時に聞いた話です。どうもこの街を拠点にして、各地から集まった冒険者が第七遺跡へ出撃・撤退を繰り返しているとのことですっ!」


「なるほどな……」


 シールフィーはガイアナ同様、第七遺跡近くにある街だ。

 ここを拠点にしているなら、わざわざ遺跡の真横で野営する必要もないし、補給も容易だろう。


「ということで、もしよければミアさんたちの様子を見にシールフィーへ行きませんか? それに都合が合えば、帰りはミアさんたちと港街観光をしたり、海で泳いだりも! ……そんなプラン、中々いいとは思いません?」


「思うけど……」


 わざわざ押しかけても大丈夫だろうか。

 ミアに「何で来ちゃったの!?」とか言われそうな気もする。

 でもミアもサフィアも心配だし、最後に会ってから二週間も間が空いている上に、珍しく依頼先から近況報告の手紙も来ないし……。


「……ここで考え込んでいるより、実際に行って応援した方が数段気が楽か」


「となれば、ラルドさん……!」


「うん、シールフィーへ行こう! 幸い冒険者たちも第七遺跡攻略でこの街からほとんど出払っているし、今引き受けているアーティファクトの修理さえ終えれば仕事もほぼないから」


 それに現地へ行って、出張武器屋として冒険者を助けつつ稼ぐのも悪くないかもしれない。

 今や素材さえあれば、【精霊剣職人】スキルの炉でいくらか武器を高速作成できる。

 前は炉に素材を放り込んで高速生成できるのはブロンズソードのみだったが、今はスキルのレベルが上がったのか、他の武器も数種高速生成できるようになった。


「わたし、マロンさんたちにも伝えてきますね! きっと早い方がいいですから!」


 シルリアはそのまま、作業場を駆け足で出て行った。

 となれば俺もとっとと準備を済ませようかなと、作業の手を早めるのだった。



面白い、続きが読みたいと思ったら評価とブックマークをお願いします。


そして別作品のお話になりますが

「王都の学園に強制連行された最強のドラゴンライダーは超が付くほど田舎者」

のコミカライズ版2巻が発売となりました。


紙書籍版も電子書籍版もありますので、よろしくお願いします。

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