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25話 シルリアの力

 闇ギルド騒動があったり、シルリアを拾ったり。

 はたまた温泉に浸かったり精霊たちと観光したり、その後に合流したミアやサフィアともあちこち回ったりした旅行もひと段落ついて。


 今日からまた頑張るかぁと、俺は朝から作業場に入ったのだが……


「な……何だこりゃ!?」


 目の前に、大量の武器素材と思しき何かがどっさりと積み上がっている。

 特に金属類、ブロンズソードの主な素材となる魔力加工された特殊な銅などは最早小山となっていた。

 まだ寝ぼけてんのかな? と自分の頬をつねってみるが、残念ながら夢ではないらしかった。


「……えーっと俺、こんなに素材発注したっけ? てかいつの間に運び込まれたんだ……!?」


 目の前の素材の量に呆気に取られていると、作業場にひょこりとシルリアが顔をのぞかせた。


「おはようございます、ラルドさん」


「あ、ああシルリア、おはよう。……ごめん、今ちょっと作業場が不思議なことになっててだな……」


「はい、助けていただいたお礼です!」


 シルリアはにこりとしてそう言った。


「んっ……んっ?」


 ……一瞬、何を言われたのかと思考が止まった。


「お礼とは?」


「わたしの力でラルドさんの武器素材を複製しました。とりあえずこの程度ですが、魔力が回復すればゆくゆくはもっと……!」


「って、待てよ待て待て!? これやったのシルリアか!?」


「はい、わたしもラルドさんのお役に立とうと思いまして、夜中にこっそり。少し驚きましたか?」


「少しどころか口から心臓飛び出るかと思ったぞ」


 にこやかなシルリアに、俺は即答した。

 そう、シルリアのサプライズは少しだけ心臓に悪かった。

 ……買った覚えのない素材の多額の支払いについて肝を冷やしたって意味で。


「しかし素材の複製ってどうやったんだ……? もしかしてシルリアのスキルか?」


 聞くと、シルリアは唇に手を当てて「う〜んと」と唸った。


「何と言うか、わたしの力は人間のスキルとは違うものなんです。ほら、わたしって半精霊じゃないですか? だからスキルは神さまからもらえなくて、代わりに精霊としての能力を生まれつき授かってました。で、それが魔力を対価に様々な物体を増やす能力。物体複製とでも呼べばいいんでしょうか……ともかくそんな感じの力です」


「結構ふわっとしてるなぁ……」


「わたしが半精霊って中途半端な存在の上、人間のスキルとも違うので定義も難しくって。ついでに制御も難しいので、いつの間にかこんなに増やしちゃいました」


 シルリアは「てへっ」と小さく舌を出した。

 いや制御が難しいって、だからこんなに素材が積み上がっちゃったのか。

 この子、見た目は本当にどこかのお姫さまかお嬢様かと見紛うほどだけれど、中身は案外おてんばらしかった。


「……でもまぁ、シルリアのお陰でしばらく武器素材には困らなさそうだし。武器素材に費用がかからないなら、別の方向にお金をかけられるってもんか」


「それなら、この調子でもっともっと増やしちゃいますね!」


「その前に、少し加減を調整する練習もしような?」


 今現在、作業場の半分は武器素材で埋まっている状態だし。

 ありがたくはあるが、これ以上増やされたら崩れて雪崩が起きかねない。

 後でシルリアの能力制御について、マロンあたりに相談してみようか。


 ……ついでにこの子が闇ギルドに狙われていた理由って、もしやこのとんでも能力にあったのではないのかと。

 シルリアの能力はあまり公言しない方が良いかもなと、俺は考えるのだった。


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