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悪役王子~破滅を回避するため誠実に生きようと思います。  作者: 葉月
第二章

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第41話 第二段階へ移行

「ふぅー、疲れた」


「この程度で音を上げるなんて、だらしないですわよ」


「あはは……」


 矢鱈と敵愾心を滲ませるユリウスとメビウスの二人に、チクチクと嫌味攻撃を浴びせられ続けた俺は……帰ってくるや速攻でソファに沈み込んだ。

 側にはレイラの姿もある。


 唯一事情を知っている彼女は、俺のことを心配してついてきてくれたらしい。

 疲労していても決して品性を失わない彼女だが、俺のせいで申し訳ない。

 おっさんさすがに心苦しいよ。


 レベッカとアゼルが温かいお茶を淹れてくれ、それを傾けている間、クレバとセルバンティーヌのおっさんが夜会で何があったのかと聞きたいご様子だ。


 一息ついてから、俺は皆に夜会での出来事、ユリウスとメビウスについて語った。


「なんと!? メビウス王子が私を引き渡せと!」


「安心なさい! ジュノスが見事にあしらっていたわ」


「おおっ! さすがはジュノス神様! ありがたやーありがたやー!!」


 拝み倒すのはよせっ!


 セルバンティーヌのおっさんはレイラの言葉を受けて、おっさんとは思えないほど瞳をキラキラさせている。

 お尻を振っているのは何故だ? ひょっとして前世は犬だったのか?

 てか、益々おっさんの中の俺が神聖なものになっているんじゃないのか? 勘弁してもらいたい。


「レヴァリュ―ツィヤの王子はどうでもいいとして、お前の弟とやらの話が事実だとすれば、問題じゃないのか?」


「う~ん」


 確かにクレバのいう通り、少し厄介なことになりつつある。

 ユリウスの話だと、俺が色々と独断で動いてしまったせいで、一部の貴族達から煙たがられ始めている。

 過半数以上の有力貴族達が、俺のやろうとしていることに異議を唱え始めれば、これまでのように革命軍の資金を調達することも困難となるだろう。


 例え、俺に甘い父上や大臣が許可をしたとしても、周りの門閥貴族達が待ったをかければ止まるだろうな。


「セルバンティーヌさん、今後帝国から資金援助が滞ってしまえば、革命軍の活動に支障は出ますか?」


「残念ながら確実に出るでしょうな。現在、革命軍は確実に帝国民から支持を得初めています。そのお陰と言っては何ですが、革命軍の人員も増加の一途をたどっております。しかし、肝心の彼らの人件費は……魚介の販売と、ドラゴンタクシーで辛うじて賄えるものの、慈善事業に当てる資金は尽きますでしょう」


「アメストリアからも資金を提供できれば良いのでしょうが……そういうわけにもいきませんからね」


 うん。エルザのいう通り、アメストリアは帝国に支払う税でそもそも限界だ。慈善事業に寄付する余裕などあるはずがない。


「では、そろそろ第二段階に移行するか!」


「「「第二段階!?」」」


「うん。このままでは何れ、帝国からの資金援助は止まってしまうだろう。そうなれば、これまでのように民を救えなくなってくる。そうなる前に、自分達で資金を調達するんだよ!」


 あれ? 皆止まってしまった。

 訝しげに顔を見合わせて、そんなこと不可能だろうと言いたげだな。

 まっ、確かに普通のやり方では不可能だろう。


 革命軍はこれまでに帝国からの莫大な資金援助で成り立ってきたのだ。その資金を自分達で調達など不可能と思われるだろう。

 しかーし、俺には莫大な利益をもたらす秘策がある!


 だが、それをするためには民草からの絶大な信頼が必要不可欠だった。

 だけど、現在の革命軍にはその信頼がある。


「セルバンティーヌさんとクレバさんにはやって頂きたいことがあります! まず、セルバンティーヌさんには錬金術を使い、紙を大量に用意して欲しいのです! それから………」


「な、なんと!?」


「お、お前マジで言ってんのか!?」


「ジュノス……あなた天才だわ!」


「さすがジュノス殿下です! それ私も買っちゃいたいです!」


 皆に資金調達の方法を伝えると、先ほどまでの曇った顔が嘘のように晴れていく。

 この世界の人からすればとんでもない発想かも知れないが、前世の俺が居た世界では国民の多くが進んで購入していたのだ。

 これは売れれば莫大な利益をもたらすこと間違いなしだ!


「さらに、クレバさんには革命軍を使い、このことを皆に喧伝して回って欲しいのです! それと、もう一つ!」


「まだ何かあるのか?」


「マーカスに頼んで、ウルドマン家の夜会に参加していた者達の調査を行ってください。調査対象者は……勿論リグテリア帝国の人間に絞って!」


「なるほど、そう言うことですわね!」


 おっ、さすがレイラ! 俺のやろうとしていることに気づいたようだね。


「つまり、リズベットさん側の勢力を吸収すると言うことですわね!」


「うん、その通りだよ! あれほど多くの子息息女方が理由もなく、リズベット先輩側についてるのは納得いかないからね。きっと……貴族ならではの弱味を握られている者がいると俺は睨んでいる。この世界で戦うためには何より情報は欠かせない。逆に言ってしまえば、情報を掴んだ者は圧倒的に有利にことが運ぶというわけさ」


 さて、リズベット先輩。俺を本気にさせたことを後悔させてあげますよ。

 ユリウスとメビウスに関しては、急いで手を打つ必要もないだろう。

 それに、ユリウスはとんでもない勘違いをしている。


 あいつは俺を最大の敵と思い込んでいるようだが、それがそもそもの間違いだ。

 俺がユリウスの立場だったら、迷わず兄のハウスと手を組むがな。

 俺の影で隠れて気づかなかったかも知れないが、間違いなく彼が一番優秀であり、一番人が出来ているからね。


 狂人な者より、真面目な者ほど怒らせると怖いということを、ユリウスは知らな過ぎる。



 クレバ達革命軍に頼み、ウルドマン家の夜会に参加していた者達の調査を行った結果、一人の人物が浮上してきた。


 パーシモン伯爵家の一人娘、ノエル・パーシモンなる人物だ!

 彼女の家は必死に隠しているようだが、パーシモン家の資金は既に火の車。

 このままでは時間の問題で没落してしまうだろう。


 そんな、没落寸前のパーシモン家の娘が何故、あの夜会に参加していたのか。

 あの夜会では将来有望な権力者達に、次期皇帝はユリウスだと喧伝させるために仕組まれたもの。


 にも関わらず、何故か没落寸前のパーシモン家の娘が参加していた。

 パーシモン家は確かに伯爵家と位が高い。

 西北部に位置するパーシモン伯爵領も広大だ。少し調べればわかることだが、パーシモン伯爵領はこれまで、多額の税を帝国に納めている。


 その額は凄まじい。

 いくら伯爵家といえど、ここまでの額を支払える者はそうはいない。

 しかし、革命軍の現地調査によると、近年パーシモン伯爵領の収穫量が落ちている。

 落ちているにも関わらず、開墾が行われ、広がった農地の分だけ税収は上がる。


 何とも理不尽な税収システムだが、それが帝国の税収システムなのだから仕方あるまい。

 だけど、領地民からすれば仕形ないでは済まされない事態だ!

 その結果、領地民によるストライキが発生。

 さすがのパーシモン伯爵も、全領民に「もう働かないもんねー」なんて言われれば、打つ手立てがなくなってしまう。


 税が支払えなくなったパーシモン家は文字通り火の車。


 火の車のはずが……おかしい。

 何故か税が支払われている。


「これは妙だな」


「確かに妙ですわね。この書類が正しいとなれば、パーシモン伯爵はどこから資金を得ているというのかしら?」


 革命軍が集めてくれた資料に目を通していると、どこからともなく現れたレイラが資料を覗き込んでいる。


「なな、なんでいるの!?」


「あら、心配だから様子を見に来て差し上げたのよ」


「そ、そうですか……」


「もう少し詳しく見せてもらえるかしら?」


「ちょっ!?」


 ち、近い!?

 何一つ躊躇することなく、俺の横に腰を下ろして、グッと体を寄せてくる。

 手にした書類を覗き込むレイラから、目が眩むほどの甘い香りが漂ってきて、う、腕の辺りがぷにゅぷにゅと……。

 おおお、おっさんのおっさんが破裂するっ!!


 ドリルを耳に掛ける仕草なんて、おっさん殺しもいいところだ!

 理性を保っていなければ……押し倒してしまいそうになる!

 ヤバい! エスケープしなければ!


 そもそもこの体は、【悪役王子のエロエロ三昧】仕様だから、その、なんというか……元気なんだよね。下品で申し訳ない。

 が、この生理現象だけは気合いじゃどうにもならんのだ。


「ん……どうかしたのかしら?」


「い、いやぁー、熱いなって思ってさ」


 逃げるようにソファから立ち上がって距離を取る。

 だが、レイラも立ち上がって歩み寄ってくる。


「あら、熱かしら?」


「うっ!?」


 まさかのおでことおでこがごっつんこ。

 ……レイラの顔が……唇が近過ぎるっ!

 長い睫毛をパチパチと鳴らしながら、黄昏の瞳が俺を吸い込んでいく。

 何という吸引力だ。意識が持ってかれる!


 ――ガチャッ!


「ひぃやぁっ!?」


「う、うひょっ!?」


「ん……どうかされたのですか? お二人共?」


「お紅茶淹れますね!」


 と、突然ノックもなく入ってくるんだもん! びっくりしちゃうよね!

 慌てて背中合わせになった俺達を、エルザとレベッカが疑問符を浮かべながら小首を傾げている。


「ひ、一息ついたら一度ノエルさんに接触を試みてみるのもいいかもしれひぃ……しれないね」


 か、噛んでしまった。 動揺してるのがバレたかも……。

 いやぁぁあああああああああああっ!!



 おっさん恥ずかしいです!

 羞恥心モード発動ですよ!!

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3月1日昼12時に投稿開始し!
一話だけでも……!
是非お読みください!
貧乏国家のクズ王子~国家建て直しのため魔王軍に入った俺が天才と呼ばれ始める。
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