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第24話:新米冒険者、順番を決める

「……あんなのどうやって相手しろって言うんだ?」


 上空からの落雷。光が見えた時にはもう遅い。

 Fパーティの連中だって、ここで一勝したパーティだ。それが成す術もなく一瞬で葬られてしまう。それも、アインだけでこれだ。あと四人がアインほどの実力者ではないとしても、強敵であることには間違いないだろう。


「アインさんは強敵なんです。……多分、騎士団長ジェイドよりも」


「……みたいだな。あれって何とかできないのか?」


「まったく方法がないわけでもないです。あの落雷は魔法によるもの。魔力が見えるシオン君なら、発動前に避けられるかもしれません。……それでも早いですけどね」


「それしかないか……」


 でも、それで俺が運よく避けられたとして、他の四人はどうする?

 あの雷が落ちた時点で終わりとするなら、開始直後に奇襲をかけて、一人でも多くの敵を倒す。それくらいしかないか……。


「ミリア、シロナ、ルビス……それとジーク。よく聞いてくれ。試合が始まったら、奇襲をかける。その時なんだが、なるべく雷を避けられるように移動しながらで頼む。いいな?」


「わかったー!」


「それしかなさそうね」


「承知しました」


「僕も意義ありません」


 とりあえず、パーティとしての作戦は固まった。でも、これでどうにかなるものなのかな。


 ◇


 それから十分が経ち、俺たちとアイン率いるパーティがバトルゾーンに入場した。

 決勝戦ということもあって、大きな拍手で迎えられた。


 スキンヘッドにアゲハ蝶のタトゥーを入れた巨漢の男――アイン。改めてみると、ジークのように大剣でも振り回してそうな見た目をしているが、魔法を使うらしい。


 試合開始の直前――アインが片手を上げてストップをかけた。


「そちらのパーティに提案があるんだが、聞いてもらえないか」


「……聞こう」


 突然のことに頭が混乱するが、平静を装う。


「ユニオール祭の目的は、端的に言えば観客を楽しませ、満足させるためだ。……だが、失礼を承知で言うが我々が負ける気はしない。数秒で決着がついては観客も興ざめだと思うのだ」


 何を言い出すかと思えば、挑発か?

 確かに俺たちのほうが分が悪いのは確かだが、それを言って何になる。


「その決着は、どっちに決まるかまではわからないけどな」


「そう怒るな。誰が相手だろうと全力で相手をするつもりだ。そこで提案なのだが……そちらの同意の上でルールを変更しないか?」


「……ルールを変更?」


 困惑する俺に、ジークが小声で説明してくる。


「決闘のルールは、当事者同士の合意があればある程度の自由が利きます。そのことを言っているのかと」


「……なるほど」


 となると、問題となるのはどんな風に変えてくるのかだが……。


「星取り戦にしようという提案だ。何も困らんだろう?」


 星取り戦……五人対五人が一斉に戦うのではなく、個人戦を行って三勝した方が勝ちというルールだ。確かにこれなら、アインの雷で瞬殺されるということはないし、観客として盛り上がるだろう。

 俺たちを露骨に下に見たルールというわけではないし、かなりの配慮を感じる。


「……本当に良いのか? そんなルールに変わったら、俺たちが勝っちまうぞ?」


「勝てるものなら勝ってみろ。俺の仲間は強い。侮るな」


 俺とアインの睨みあいが始まる。……と、そこにジークが割って入った。


「では、こちらも条件を飲む代わりに一つだけ。試合は、別個で行うのではなく並行して行います。……いいですね?」


「平行……? まあ、構わんが」


 星取り戦ではあるが、一対一の試合を何度もやるのではなく、同時に並行して行うということか。どちらも違いはない気がするんだが……。


「正々堂々と強い順で戦うことを望む」


「わかった」


 強い順……か。となると、一番強い――つまりアインと戦うのはジークしかないか。


「アインさんはシオン君が相手をしてください。五人の中で一番強いのはシオン君です」


「いや、そんなこと……」


「ゴーレムを眼にも止まらぬ速さで倒してしまうシオン君より僕の方が強いはずないじゃないですか。もうとっくに追い越されてしまいましたよ」


 ……確かに魔物相手ではそうかもしれない。けど、対人戦ではあえて魔力経路の切断はしていない。


「やってくれますね?」


「あ、ああ……そこまで言うなら」


「私もシオン様が一番だと思います」


 ルビスはいつもの調子として、ジークがやけに俺を推してきたので、思わず引き受けた。

 さっき、ジークは俺ならアインの落雷を避けられるかもしれないと言っていた。三勝すれば勝ちではあるが、捨て試合を作るつもりはないらしい。……潔いというか、なんというか。


「じゃあ、二番目はジークで、三番目はルビスとして……問題はミリアとシロナか」


「言っておくけど、私の方がミリアよりは強いわよ?」


「そんなことないよ! シロナには負けないもん!」


 はぁ……。いつもこれだ。


「じゃあジャンケンで決めてくれ。今日は時間がないんだ」


 緊張感漂うバトルゾーンの中心で、二人がジャンケンをしている。

 明確にどっちが強いとか言えないってのはこういう時に困るな……。

 結局、四番目はシロナ、五番目はミリアに決定した。


 っていうかミリア弱いな。昨日も負けてなかったか?


「決まったようだな。……さて、俺の相手は…………なっ、ジークじゃないのか!?」


 アインは、自分の相手がジークじゃないことに少々驚いたようだった。

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