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人生詩集(3)  作者: 多谷昇太
5/8

快指数

「ああ、心地のいいこと…」

その年寄りはひとりごちた

いつもの公園のベンチに腰かけて 憩う

さわやかな風が吹いて来て 人影もまばら

季節は五月も終りの 初夏の頃

身体のことだけなら きっとこんな感じを

天国と云うのかも知れない

こんな快指数がずっと続けばいい ずっと…


「プータロー!」「ダメ男!」「家の恥さらし!」

罵りと辛い労働に充ちた人生で

その年寄りの心の中は いつも不快指数でいっぱいだ 

「心の快指数は いったいどうしたら?」

それが彼の積年の疑問だったが 思えば それを解くための 彼の人生だったのかも知れない


時々天使の羽ばたきが聞こえて来て

「もう疾うに道は教えたでしょ?あなたが自分で歩み出さないだけよ」と いつもの御言葉をくださる そう たぶん 自分でその道を 歩まなかっただけの ことなのかも知れない

しかし

歩むのは いかにも つらかったのだ

そんなみじめさを味わうくらいなら まだしもの 無限回に仕事を替え替えし 転居をし続けて 

不慣れな労働環境と 住まいで 不必要な苦労を する方がましだった

おそらくそれは「プータロー!」の罵りに 「さなり」と 笑顔で応えるようなものだったからだ

だから いつもできなかったし

これからも できない…?


「ふう」とため息をつき 年よりは指折り数えて

残りの人生の日々をさぐってみる

そして今日の日和のように

心も快指数で充たされる 不可能事に

寂しい笑顔をつくってもみるのだった…

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