聖都までの道1日目
帝都から出発してからしばらくたった頃だろうか車輪の音だけの静寂に耐えかねたのはおれのほうだった。
「馬車のよごしはどうかな長い旅になるんだ不満があれば言ってくれ出来る範囲で善処しよう。」
「いえ、馬車には何度か乗った事はありますけどそれとは比べ物にならないくらいいいですよ、全然揺れませんし。」
「まあ道が整備されているというのもあるのだろうがこの馬車は特別製でねそういう風に作ってあるんだよ。」
「そうなんですね。」
全く興味がなさそう な声をしてるな 自慢ぽく聞こえたかな そんなつもりはなかったんだが
何か 彼女が興味を引く話はないだろうか このまま三日間 この静寂が続くのは正直耐えかねない ここはひとつ彼女から話を 振ってもらうことにしよう。
「何か聞きたい事はあるかな?答えれる範囲で答えよう。」
ウルは真剣な表情になる。
「ではそろそろ話して貰ってもよろしいでしょうか何故私が聖女に会わねばならないのかを。」
いきなり暗い出た。
いやいずれは言わなければいけない事だ。
ここは二人きりだ誰かに聞かれることもない。
「そうだな、ウルを傷つけたくないと言い訳していたがやはり言わなければならないだろうな。」
「私を傷つける?
「ああ、お前はあの夜の事を覚えているのだろう。」
「ええ。」
「なら俺たちは避妊をしただろうか?」
「あ・・・」
そう、俺たちはしてない、していないのだ、だからこそなんとしてでも俺の責任の所在を突き止めなければならない。
ウルはあの夜の事を思い出したのか顔がゆで上がっている。
「ど、どうしよう。」
ウルは涙目でこちらを見る。
可愛いな、オイ、じゃなかった、しかしできてたらどうしようもないこの世界には緊急避妊薬なんて物はなく中絶も出来ない本当に神のみぞ知るってことになる。
ただ出来たかどうかは神に近い聖女ならわかるそれを確かめさるためにウルを聖女に会わせるのだ。
「どうしようもないな。」
「もしもの時はどんな形であれ責任は取る、しかし冒険者は続けられないだろうな。」
「そんな。」
「しかし、可能性として出来て無いかもしれないし気楽にとはいわないがここではどうしようもない。」
「はい。」
ウルは、不安でいっぱいな声でうなずいた。
この日はこのまま会話という会話出来なかった。
ウルは呆然としたまま窓の外を眺めて無反応だった。