出発
「お待ちしておりました。大将閣下。」
都外に待たせてあった部下に合流した。
「ああ、すまない待たせたようだ、すぐに出発する準備してくれ。」
「ところでそちらのお嬢さんが例の。」
「そうだ、くれぐれも失礼の無いように。」
「了解しました。」
俺はそれを部隊全体に伝えるように副隊長に命じた。
恐る恐るウルが何か聞いて来た。
「あの、例のってまさか言ってませんよね?」
「当たり前だ‼ウル、お前の事は才能があるから聖女に会わせ、能力を見極めさせるから連れて行くと伝えてある心配しなくてもいい。」
と言ってみたが完全に青ざめている最初に怒鳴ったのが悪かったのかな。
さっき俺が上から数えた方が早いくらいの偉い人間だと気がついてから様子がおかしいけど無理はない。
俺は世界的英雄だ。
正直彼女の言動は無礼千万他の貴族なら死罪まっしぐらだっぢろう。
俺はそんなことはしないしそもそもの非は俺にあるのだから。
「そんなに怯えなくてもいいだろう、ウルお前は堂々としていればいい。お前は証言ひとつで俺は何もかも失うかもしれないのだから。聖女に会わねばならない俺はお前に何もできはしない。」
「そうよね。」
そう言いつつもウルは暗いままだ。
「ほら早く乗れあまり時間もないんだ。」
らちがあかないと俺はウルを馬車に誘う。
先に乗り込みウルに手を伸ばす。
「ええ。」
ウルはそっと俺の手を取る。
別に俺の手を取らなくても乗り込めるがそういうところは素直だと思った。
そうして俺たちは帝都を出発したのだった。