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皇帝の手紙

晩の事だ。 

砦の周りに張っておいた結界に反応があった。

別に魔物が出てきたみたいな事ではなく人間と動物の反応だ。

とりあえずその人間を出迎える。

外に出てみればそこには一台の馬車が止まっていた。

そこから一人の男が降りてくる。

その男の外観は騎士の格好だっ。

つまり俺の部下になる。

「どうしたこんな夜更けに?」

「ライトハルト卿、皇帝陛下より書状を預かっております。」

「ご苦労。」

「失礼します。」

仕事を終えた騎士は夜道に馬車を引き返して行った。


執務室に行き書状の内容を確認した。 


ライトハルト卿よ

そなたの意思はよくわかった。

今日より三日後の昼食を共に取ろう。

そなたは会議よりもこちらの方を好むだろう。

余も多忙故な、あまり時間を作ってやれない。

すまぬ。

それとだなハルトよ。

余は余の真名を呼ぶ事を許した覚えはないぞ。

余はシャルル・ゲーテ・オリンピアである。

あれは捨てた名よ。

努々忘れるな。

      シャルル・ゲーテ・オリンピア


俺は手紙を見て少し笑う。

「何が可笑しいんですか?」

「!」

ウルの声だ。

声をかけられるまで全く気づかなかった。

「それ、皇帝陛下からですよね?」

「ああ、よくわかったな?」

「裏に皇族の紋章印が押されてますから。」

手紙の裏をみれば確かに盾と薔薇、梟が象られた皇族の紋章がある。

「それに、私はBランクの冒険者ですから貴族の相手もそれなりにこなすので、これくらいは勉強してます。」

「なるほどな。」

ウルの表情が自慢げに見えるのは気のせいではないのだろう。

何より尻尾でバレバレだ。

「それで、何が書かれてたんですか?」

「三日後に皇帝陛下と昼飯だってよ。」

「そうですか。」

「驚かないのか。」

「聖女様に会えてる地点でそこまで。」

実に面白味のない。

「そうか、っでウルも来るか?」

「絶対に嫌です。」

「だろうな。」

ウルの性格上そう言うと思った。

「皇帝陛下に会えるぞ。」

ウルはバカにされてると思ったのか顔をしかめでいる。

「見たことくらいあり「それ多分偽者だぞ。」ま・す?」

今度は口が半開きになっている。 

こっちの方が面白い。

「え?」

「ウルが見た皇帝って男だろ。」

「はい、それが何か?」

「本物は女の人だよ。それにまず表にはでない。」

「ウソ、皇帝って普通は。」

「そう、普通は男だろ、だから性別を偽り本物は表にでないわけだ。」

「それなら、あの戦争で皇帝の姿を見た人はたくさんいました。その話の中に皇帝が女だなんで聞いたことがないです。」

「爪先から頭の上まで全身鎧や兜で隠れてたからな。」

「そんな。」

「で、興味出てきた?」

「はい、とても。」

ウルのような正義感の強いタイプは大抵、裏でこそこそした陰湿な事は嫌いなはずだ。

だからこそ、動かしやすい。

「来る気になったか。」

「はい、のせられている感じがしますが。」

「助かるよ。」

どうやら、そこまで鈍くはないらしい。

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