贖罪の依頼
帰す前に温めていた風呂を勧めれば「ありがとうございます、ではこれが謝罪ということで」とか言ってしまうし。
ウルを帝都まで送るまでの間いろいろ説得してみてもダメたった。
「それでは、いろいろありがとうございました騎士様、さようなら。」
「・・・ああ。」
本当にに行ってしまう。
ここで、別れればウルは今後俺と会うことはないだろう。
彼女は冒険者だ。
依頼があれば何処にでも行ってしまう。
ここに滞在しているのも宿に荷物が有るからだろう。
荷物を回収して依頼を受けるのにそう時間も掛からない。
だから最後に呼び止める、これでダメなら諦めるしかない。
「待てくれ、ウル。」
「本当ににいい加減にしてください。そんなに償いたいならこの国の法の元に裁かれる事になりますよ騎士様!」
ウルは怒りの形相でこちらを睨み付ける。
「依頼だ。」
ウルは睨んでいた目を細める。
「個人への依頼は高いですよ?それ以前にBランク以上の冒険者にしか指名できない決まりですけど。」
そんなことは知っている。
だか。
「ああ何の問題もない。金ならあるし、お前は間違いなくBランクの冒険者だ。」
「なぜそう思うのですか?」
「なぜって、わからないのか?」
「私は一度もランクの話はしてないはずですが?」
「ウル、お前が首にさげているのは飾りでなければな。シルバーのギルド認識表はBランク証だ。」
冒険者にはランクがある。
下から、D=ブロンズ、C=アイアン、B=シルバー、A=ゴールド、S=プラチナとなる。
あれが偽物でなければウルはBランクで間違いないはずだ。
「私は見せてないはすです。今だって服の下に隠れて。」
「何を言っているんだ。夜は互いに裸だったはずだか?」
そう服を着ていないということはそのしたの物も姿を現す。
「あ・」
「ようやくきずいたか、ついでに言えば貴族の権限でほぼ強制の依頼にも出来るがな。」
「くっ、卑怯もの。」
「だか!!それはしない、ウルが嫌なら今の話はなかった事にする。」
「え?」
「単純に困っている、助けてくれ。」
「・・・依頼によります。」
「ありがとう。」
「依頼によりますからね。」
「ああ。」
これで首の皮一つ繋がったか。
俺たちは、依頼の話をつけるため冒険者ギルドに入る。
「ハ、ハルト様、本日はどのような要件でしょうか?」
ギルドの受付嬢は頬を染め緊張しながら俺に対応する。
「奥の部屋を借りる、それと食堂で一番良いものを頼む。」
「は、はい。」
俺は金貨を二枚出す。
「あの多すぎるのですが?」
「ああ一枚はギルドにもう一枚は君へのチップだ。この意味が分かるね?」
すると受付嬢は静かに答える
「はい。」
この受付嬢も選ばれてここにいる、道理がわからないバカではないのだ。
他言無用と言う道理が。
「ついていてくれウル。」
「え、ええ。」
何度見ても奥の部屋は豪華なものだ。
VIPが利用するだけのことはある。
「こんな部屋使っていいの?」
「当たり前だろう?」
「そう。」
「そんなことより依頼の話をしよう。」
「え、ええ。」
「依頼は五日後の聖女との会談に付いてきてくれ、そして俺との事を話してくれ、頼む。」
「・・・無理です、絶対に無理です聖女様に会うだけでも無理なのに何であんなことがあったなんて言えるわけないでしょう‼」
「そこを何とか頼む、このまま行けば二度と会えなくなるだけでなく殺されかけない、お前も知っているだろう聖女に嘘や罪は隠せない有名な話だ、だから頼む。」
「勝手に殺されてください私関係ないです。」
「ふざけるな、殺されるなど御免だ!」
「ふざけてるのはどっちですか!」
と依頼交渉は最悪の始まりであった。