朝チュン
俺、雷藤晴斗は十五才の時、異世界に召喚されてはや十年俺は帝国騎士となり貴族の身分まで成り上がり軍人(警察のような仕事)をこなしていたのだが、
朝起きたら知らない女性が隣で寝ていた、しかも一糸纏わぬ姿見で。
すやすやと寝息をたてている女性は大きな獣の耳とふわふわした尻尾を持っていた。
その見た目から獣人だとわかる。
寝顔を見れば美人なのだと思う。
しばらく眺めていると夜の事をぼんやりと思い出してきた。
昨日の夕方頃に行きつけの酒場でそこで寝ている女性を初めて見た。
その時、既に彼女は悪酔いしていてひたすらに酒を浴びるように飲んで。
店の人に止められても無視して飲んでいた。
回りに迷惑をかけて要るわけではないがあれではすぐに酔いつぶれてしまうだろうと思った。
しかし俺には関係無いと思いあまり人の居ないカウンターの席で飲むことにした。
しばらく飲んでいると案の定つぶれて寝てしまっていた。
お客さんここで寝られると困りますよ的な事を店員が言っているが酔いつぶれた人に聞き分けがあるはずもなく眠り続けている。
面倒だと思いつつもここまで来れば俺の仕事になってしまう。
「ハァ、帝国騎士だ。何か問題でも?。」
「おお、これはこれは騎士様こんなボロ酒場をご利用なさっててえ?ハルトさんじゃないですか騎士だったんですか。」
「まあ、それよりもその女性は?」
「さあ、知らない顔ですな、こんな美人一度見れば忘れませんし。」
「だろうな、ならこちらで引き取るぞ。」
「助かります。」
「いや、これも仕事だ。」
そう言って俺は獣人の女性を軽く背負う女性特有の柔らかさが背中に刺さるがこれは仕事と割りきり店を後にした。
普通ならこんな酔っぱらいは衛兵の詰所にでも放るのだがこれは女性だ、男だらけの詰所に酔った状態で置いておくわけにはいかない。
だからといってわざわざ宿を取ってやる義理もない。
なので自分の家に持ち帰ることにした。
今思えばこれが間違いだったのかも知れない、この場合知り合いの女性の家にでも連れて行くべきだったのだ。
そもそも俺も酒を飲んで酔っていたしな。
家に連れ帰ると決めれば行動は迅速に終わった。
帝都からおよそ馬で一刻程度にある小さな砦そこが俺が帝国騎士になった時に与えられた領地であり自宅である。
一様連れ帰った女性を自分の寝床に寝かせることにした。
いつ目覚めてもいいように寝ずの晩をする事になった。
三時間ほどたっただろうか、既に日付の変わった夜中だった。
その頃になってようやく獣人の女性は目ざめた。
しかしアルコールが抜けきれてなくその目は虚ろだった。
「どこよここ?」
「ここは俺の家だ。ついでにいえば俺は帝国騎士で酔いつぶれたあんたここまで連れ帰ることにした。」
「天下の帝国騎士様が酔った女をお持ち帰りですか~?クスクス」
「俺は仕事をはたしたに過ぎない。」
「そう、騎士様は私に興味無いのね。」
「何、別に規則でしてはいけないだけだ。」
「規則ね、軍人はいつもそう私達がいくらお願いしても規則、規則と言って動こうとしない。」
この時は何を言ってんだコイツくらいにしか思ってなかった。
酔っぱらいと話が成立する分けないと思いつつ答える。
「当然だな軍人は他より規則が厳しいクビどころか極刑なるかもな。」
「あなた達が来るのはいつも事が終わった後」
「警察は事件が起きてから動くからな。そもそも起こるかどうか分からんものの為に人は動かせない。」
「警察?何それ、だとしても可能性があるのなら動くべきでしょう‼。」
「かもな、しかし可能性全てを潰していては人も金も足りない。」
「そんなことは‼そんなことはわかっているのよ‼だから・・・」
「だから酒に溺れていたわけだ。」
コクリと涙を浮かべながらうなずく女性。
そしてしばらく静けさに取り残される。
先に口を開いたのは女性の方だたった。
「何があったのか、聞かないの?」
「ああ、ある程度の予想はつくしな。」
「そう。」
「それとも聞いて欲しかったか?」
「そう・・かもしれないわね。」
「そうか。」
そうして彼女は事の全てを語り始めた。
彼女の話をおおざっぱに纏めると彼女の故郷が魔物に滅ぼされたらしい。
しかしそれはこの世界ではよくある事の一つでしかない。
ただ彼女が言うには魔物が来る予兆がありそれを何度か軍に言っても、魔物退治は冒険者の仕事だと、取り合ってさえくれなかったらしい。
彼女がこれを知ったのは、両親からの手紙であった。
すぐに軍に掛け合ったが規則だ管轄外などとやはり取り合ってさえくれなかった。
諦めず冒険者であった彼女はすぐに仲間を集め故郷に向かったが既に後の祭りだった。
現実から逃げるようにこちらに戻った後たまたま近くにあったあの酒場に入ったそうだ。
彼女は話ながら泣いている
「あなたを恨むのは筋違いなのはわかっているの、それでも騎士が衛兵が軍人が許せない。」
「そうだな、あんたの恨みは正当だよ、少なくとも俺はそう思う」
本当にそう思う軍人は民を守るのが仕事だ。
ただそれでも軍を動かすのは簡単ではない。
冒険者のほうが早いのだ。
「何よそれ慰めているつもり?」
「かもな。」
「慰めるならもっと他にあるでしょうに。」
「そうか。」
「そうよ。」
彼女クスクスと小さな笑みをこぼす。
やはり彼女は美人だ。
彼女の笑顔に胸が高鳴る。
まずいと思い部屋を後にするつもりだった。
「もう遅い朝まで寝ていけ。」
そう言い俺は部屋を後にしようとしたその時、俗に言う袖クイをされた。
「どうし「いかないで、いかないでよ。」・・た。」
潤んだ黄金の瞳が俺を写し酒のせいなのか火照った体が妙な艶やかをだし俺を誘っているように見えた。
これはもう・・・理性がとんだ。
もう一度言う俺も酔っていた・・仕方がない。
「後悔するなよ、俺は優しくできない。」
彼女の唇にキスをし、舌を入れ込み押し倒す。
ここから先は言うまでもない。
と全てを思いだし血の気がひく、事もあろうか弱った女性に手を出してしまった。
しかもシーツを見れば言い逃れ出来ようもない赤がその意味示していたのだから。
だかまあヤッてしまったものは仕方がない。
早々に着替えて朝食の準備の為に部屋を出ることにした。