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「なろう小説」の心得

作者: 雪都

 「小説家になろう」に登録し読み専から書き手の方に立ちしばらくが経った。まず一つ目の作品を書き始め、長い時間をかけてゆっくりとだが少しずつ進み先日ようやく完結のボタンを押すことができた。


 この完結に至るまでは様々なことがあった。といっても、単に書き手の私が飽きたり仕事の方に集中したり時には小説のことなんかすっかり忘れていたこともあった。いわゆる、エタる寸前まできていた。


 初めのうちは楽しく書けていた話もだんだんと息苦しくなりキーボードを打つのが苦痛になる時間の方が大きくなり始めてくる。こうなってくると一体なんのために書いているのか分からない。


 考えれば当たり前のことだ。自分の妄想を好きなように好きなだけ書き殴ってネットの海に放り投げるなんて楽しいに決まってる。それで感想まで貰えた日には嬉しくて胸が熱くなる。


 だが物語が進み、中盤になるとだんだん自分の思い描いていた景色と違う方に物語が転び始める。主従関係が逆転し、物語を書いているつもりが物語に書かされている状態になる。はっきりクリアに見えていた視界がぼやけ、濃霧の中を歩いているような気分だ。


 こうなってくると私はもう歩くのが嫌になってくる。そもそも趣味で始めたことなのに、なぜわざわざ辛い思いをしてまで続けなければならないのか。ここで辞めても別に誰も私を責めたりしないじゃないか。


 言い訳と自己弁護が強くなりしばらく放置する。そして忘れかけた頃になって自分の作品を読み返してみて思った。


 勢いに任せて書いた継ぎ接ぎだらけの不細工な小説だ。


 だが、そこには初期衝動という言葉がぴったりくるくらいその時の自分の書きたいもの、見たかったものが詰め込まれていた。


 私はもうちょっとだけこいつの面倒を見てやろうと決めた。


 そしてなんとか完結という形にまで持ってくることができた。


 ここでは、そんな自分への戒めとして「なろう小説」を書く際の心得を書いていこうと思う。 





◇なぜ書くのか。

 私は私と同じような、消費され消えて行くだけの物語では満足できない人のために書いている。迷った時は最初の出発点に立ち戻ろう。


◇「テンプレ」について

 私の小説など私以外は誰も読みたくないという事実をまずは認めることだ。「テンプレ」に従うのは決して弱さではない。「テンプレ」は読者と作者を結びつける大事なかすがいである。


◇「評価」について

 ポイントやブックマークは小説を書き続けるにあたって大事なモチベーションになるだろう。他人の評価を気にすることは当たり前のことだ。だがポイントは作品の質を高めてはくれないし面白くしてくれる訳ではない。ただの数字だ。


◇「批判」について

 人様に晒す以上、批判は避けられないし避けちゃならない。時に深く傷ついても、その傷が自分を強く鍛え上げくれることを忘れてはならない。読者の批判に耳を傾けることを止めた時、私の成長も止まるだろう。


◇「褒め言葉」について

 褒め言葉は私に満足感を与えてくれるが、無暗にすがり付くべきではない。安らぎは必要だが長居してはだめだ。たまには一人になって冷静になり、全ては変化していくものだってことを胸に刻んでおこう。


◇「感謝」について

 それらを踏まえた上で書き終えた後に残るのは、読者への感謝の気持ちだけだ。だがその感謝の気持ちさえ、次第に薄まっていく感覚を覚えるだろう。感謝の気持ちさえここでは有限なんだ。大事に扱おう。


◇「エタる」ことについて

 書くのが辛くなった時、書き続けるのが困難になった時、筆を置き外の空気を吸い温泉にでも行ってゆっくり時間が流れるのを見てるといい。作品が完結しようとしまいと、この世界には何の影響もない。気楽にいけ。


◇「完結」について

 物語が完結すれば、こいつはもう私のものではない。どこへでも好きなところへ行くがいい。お前はもう一人前なのだから、一人で歩いていけるだろう。





 以上。


 完結してしばらく経つと、また書いてみたくなる。

 どうせまた辛い思いをすると分かっているのに……。

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― 新着の感想 ―
[一言] ふと目について、懐かしくなって読み返しました。 こんな思いで描いていたんですね。 この感想が届いているかわからないけど…。 何というかあれですね。 "過ぎ去りし時を求めて"ってやつですかね…
[一言] 最後の分にとても共感させられました。 ありがとうございます。 そしてオーク、お疲れ様でした。
[良い点] 良いことばかり書いてありました。 特に感謝のところは同感です。 楽しんでもらいたいという気持ちで小説を書けると良いですね。 それでは。
感想一覧
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