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対向列車の⭐君に恋をして  作者: 伊龍幸介
最終章
9/57

恋の病

ゆっくりと列車がホームへ入ってきた。


どの車両かは、だいたい分かってはいるけど、入って見なければ分からない。


既に乗っていればいきなりご対面だ。


覚悟を決めたのか、なぜかドキドキ感がおさまっている。


ゆっくり列車が止まった。


つり革、手摺(てすり)の乗客はまだ少ない。


ドアが開き、中へ入るも、すこしドキドキしながら、周りを見渡すが彼女はいない。


よし前後の車両だ。移動しよう…………


後ろの車両へ行くも、ここにもいないみたいだ。


前の車両か…………


前にもいない。

残りは3駅かー…………


どこから乗ってくるんだろう?


なんかウキウキ感も出て来たところで

次の停車駅のアナウンスが流れだした。


次かも知れない。


よし、実は喋る状況じゃなかった時の為に、メモを書いてきた。

そのメモをポケットから取り出した。


内容はこうだ。


気になって、君に会いに来た。


これに彼女がどういうリアクションでくるか楽しみだ!!


そこからは行き当たりばったりしかない。


列車のスピードが下がってきた。


ゆっくりとホームへ入る。


ホームに目を向け探してるが見当たらない。


何人かが乗ってきたが、多分いなかった。

また念のため前後の車両を確認したが彼女は乗っていない。


残り2駅だ。


………………………………



………………………………



2駅を過ぎても彼女は乗って来なかった。


…………………………


ガックリしながら離れ小島までやって来た。

場所と時間は合っている。


いつも彼女が立っている場所に、今俺は立ちながら

自分が乗っていた対向列車のドアを眺めている。


彼女は今日休みだったんだ。


俺も休みなんだから、たまたまかち合っただけか。


骨折り損のくたびれ儲けとはこのことだな。


………………………………


…………………………………………


列車に揺られながら自分の最寄り駅まで

帰ってきた。


列車を降り、疲れながらもコインパーキングまで来た。恋の病かも知れない。なんか疲れている。


駐車代を払い、今日の目的地へと車を走らせる。


…………………………


………………………………


目的地に着くと疲れてたせいか急に眠くなって来た。


………………


……………ここはとある病院……………………


『ピーポーピーポーピーポー』


救急車か。なんかぼんやり目が覚めると……


「哀川さーん、哀川隆介さーん」


「あっ、はい」


「お入り下さい」


「はい。」


……………………


「隆介くんどうだい、なにか変わったことはあるかな?」


「いえ、いつも通り、全然問題ないです。」


「毎回言うけれども、大丈夫だからといって無理はダメだからな」


「はい、わかってます」


「あっ!でも先生ちょっと聞きたいことがあるんですが」


「なんだね?」

「今大丈夫とは言いましたけど実はここ2、3日胸がドキドキと言うか、ドクン、ドクンと言うか大きくなるんです」


「ん~どれどれ、なんか心当たりでもあるかな?」


「女性と会ったときに」


続きを言うもいきなり先生が


「ガハハー」と笑い出す。


「恋の病て言いたいんだろ隆介君」


「いえ、そういうつもりはないんですが、ただなんか違うんです」


「まっ一応カルテには書き加えてはおくけど、恋の病と」


「やめて下さいよー、真面目にいってるんですよぉ?」


「じゃ私も真面目に言うが、まっカルテにはそのまま書くとして、君の心臓は私が見てきた中でも1、2を争うほど君に確り機能しているんだ。」


「自転車通勤など、走ることもよくあると言ってたね?」


「 はい」


「手術からもう丸4年になるけど、なんの合併症も見当たらない。」


「相性が抜群にいいんだよ」


…………………………



そう、俺は四年前、心臓移植を受けている。


四年前に新たな人生を歩み始めた。


2人分の新たな人生を………………







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