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対向列車の⭐君に恋をして  作者: 伊龍幸介
最終章
6/57

親近感

朝になり……目が覚めた…


見えているのは部屋の天井。

何時だろ?


目覚ましに目を向けるとセットした2分前位だ。


確り起きれているし、もう1度寝ようとも

思わない。

しかも昨日も目覚ましで確り起きているし

(ある)いは同じようにちょっと前に

起きれてたのかも知れない。

そして自ら目覚ましのセットを切ったのかも。

その辺は分からないけど。


このまま部屋の天井を見ながら寝坊した時の事を考えている。

思えば寝坊した時はなぜか夢を見た時に限定されている。昨日以外は。


そして昨日はここから夢が始まってたんだ‥‥


でも今のこれは(まぎ)れもなく現実だ。

目覚ましのスイッチをオフにし

コーヒーとパンを流し込む‥


出かける用意は終わった。



…………


カバンと鍵を持ち外に出てみる。


ガチャ……


出てみて、いきなり、ビックリした。


なんと隣の部屋の藤もっちゃんが、こちらを背にしてなんやらモゾモゾとやっている。


慌てて部屋に戻った。


ひょっとして昨日とリンクしてるんじゃないだろうな。まさか?


でも今日はゴミの日じゃない。

現実だから当たり前か。

そうだやはり今は現実だ。


藤もっちゃんが部屋に入って行くのを確認して、

ゆっくりとドアを開け出ていった。


………………………… ………… …………………………



今日も会えるんだろうか?



………………………… ………… …………………………


…………………… ………………………………


昨日と同じ各駅列車に乗るとやはり混んでる。

同じだ。

そして揺られながら乗り換え駅までやって来た。


列車のドアが開き乗客がホームへと降りていく。俺はつり革に(つか)まり快速列車が着き、そして追い越してくれるのをただ待つだけだ。


と思っていたら開いていたドアがなんと、急に閉まった。


えっ?まだ通勤快速も来ていないのに?


あれっ!!


なんで!!


ここで通勤快速に連絡するんじゃないのか‥‥


えっ?いや待てよ?


そうか!!


この時間、 通勤快速に抜かれるのはここじゃなかったんだ。

あの出会った場所、あの小島見たいな場所で抜かせてるんだ!!


ゆっくりと列車が走り出す。


なんだか目がギンギンになってきた。


とにかく彼女は俺の事を気にしてたことは間違いない。昨日より何かの進展があるはずだ。


そんな(はや)る気持ちの中、二つ目の駅が通り過ぎた‥‥


そして列車はスローペースになってきた‥


いよいよだ!!


カーブを描きながら離れ小島へと入って行く。


ドキドキしてきた。


来た!!


対向列車も入って来た!!


心臓の鼓動が大きくなるのが聞こえる。


昨日と同じだ。ドキドキしてる。

でも、そもそもこのドキドキ感普通のドキドキ感とは違うような気がする。


何かドキドキと言うか、ドクン、ドクンと言うか‥‥


両方の列車が共に止まる勢いに‥


しかし何なんだこの俺、対向列車の彼女を

必至に探している。


そして……


彼女だ!!

昨日の彼女だ!!


えっ?彼女を見てビックリした。

彼女は俺を待ってたかのようにドア越しから涙を流し、俺を見つめている。


と次の瞬間、俺も突然涙が出て来た。


冗談だろー!!

何なんだ!!この俺、いや、俺達!

普通は会ったらニコッだろ!微笑むんだろう!


それにずっと前に会った感が体の中に入ってくる。震えも出てくる。


会いたい、抱きしめたい!!


君は俺の何だったんだ!!


そう思った直後になんか、ゆらゆらっと来た。


地震だ!!


えっ!!  嘘だろー!! …………


これも、夢かー!!………………


すると更に揺れ出した!!


列車の中の所々に悲鳴が聞こえだす。


彼女は?


手摺(てすり)に必至にしがみついてる。


俺も手摺にしがみつき、お互いを気づかいながら心愛(みあ)っている。


そして徐々に、


………………おさまった………………


列車の中が今の地震でざわついてる。


彼女に目を戻した。


えっ?


な、なんと彼女が俺を心配そうに見つめている!!


俺は咄嗟(とっさ)に彼女を見ながら、


胸を()でて「ふ~」とした。


そしたら彼女も同じように、ふ~、と返してきた。


お互い微笑みあった‥‥


ジーンと来た‥‥さらに会いたさも増してくる‥


んっ?

なにかマイクを持つコトコトと言う音が聞こえた。


そして列車の運転士のアナウンスが。


心が(はい)になってるせいか、全部は頭の中には入ってこないが大丈夫かとか、もう暫くおまちください。

と言っているようだ。


今思えばあの夢の地震は、俺たちにこの時間を

少しでも長く持たせる為のサプライズを教えてくれてたのかも知れない‥‥


今、この時間は俺たちのものだ!!


‥‥会うしかない‥‥直接、彼女に‥‥



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