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対向列車の⭐君に恋をして  作者: 伊龍幸介
第3章 旅路
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未来カプセル





めぐみは海に飛び込んだと聞き、俺もそのまま海に飛び込もうと立ち上がり、そして海に向かって走ろうとした……



とその時


《隆介、聞こえるか俺だ!》


一瞬体が止まったけど…


「今頃なんだよ!」


そう言いながらそのまま海に飛び込もうとしたその時、寸前のところで…


《隆介!めぐみはこの船の何処かにいるぞ!!》


「えっ?」

「今、何つった!?」


《だから、めぐみはこの船にいるって》


龍馬からそう聞いた俺は直ぐさま大声を出した。

そしてクルーザーの中を走り探した。


「めくみー!!」


「哀川さんどうしました?」


「めぐみがこのクルーザーの何処かにいるんです」


「えっ?」


「私には分かるんです。」


「……」

「分かりました」。


それを聞いた警官が他の警官、刑事に大声で叫んだ。


「おい!この船を探せ!めぐみさんがこの船の何処かにいるぞー」


大慌てで皆声を出して探した。


そして俺の中の龍馬が…


《隆介!そのまま真っ直ぐ前に歩いてくれ》

《何か隠れる場所がないか見てくれ!》


龍馬の言うとおり前にそのまま進むとクルーザーの先端部分に後ろからは見えなかった取っ手の付いた蓋が有った。

ここかも知れない。


隆介が慌ててその取っ手を上に持ち上げると…

寒そうに(うずくま)ってる

大声で避けんだ。



「めぐみー!!」



その声を聞いた皆が集まってきた。


めぐみを抱き抱えて上に上げた。

意識は有る。


「めぐみー大丈夫かー?」


めぐみが小さな声で言った


「大丈夫よ私は。助けに来てくれたんだ。」


「当たり前だろぉ。」

二人で蹲った

「良かったー」


ずっと付きそってくれてた警察官の方もしゃがみこみ俺の肩をポンポンと優しく叩いた。


「哀川さん良かったですね」


「有り難うございます」



クルーザーから波止に降りると全然分からなかったけれど人が沢山いた。


クルーザーの回りを潜ってた専門チームや勿論めぐみの乗せた救急車も。

俺はめぐみの心臓移植のことを救急車の中の方に説明はしておいた。

ショックが大きいはずで何もなければいいんだけど。


波止の入り口付近に目をやると、1台の乗用車がこっちに向かって来た。

麗奈さんだ。車を止めドアを開けると一目散にこっち向かって走ってきた。


「隆介さんめぐみは大丈夫ですか?」


「うん、大丈夫」

「今から病院に向かう所なんだ」


「良かったー、本当良かった」

「隆介さんじゃ私の車に乗って?」


「わかった有り難う」

「一応救急車側の電話は聞いているから」


「分かったわ」

「あっ、隆介さん一応めぐみのお父さんとお母さんには連絡するように会社に電話は入れておいたから」


「…………」

「あっ、そうだよね。麗奈さん有り難う。ずっと気になってはいたんだけど電話番号を知らなくて」


「そうだよね。」









病院に着くと既にめぐみは検査室に運ばれていた。


何か安堵とめぐみのご両親に申し訳ない気持ちとが入り交じっていて体が震えている。


「隆介さん、大丈夫?」


「うん」


暫くすると先生がやってきた。


「先生!めぐみは大丈夫でしょうか?」


「やはり、少しは衰弱している所は有りますが、大丈夫ですよ」

「検査はまだもう少しかかりますが」

「ただ、めぐみさんからの言付けで、ご両親が今から来られるみたいで、先にご両親と会って話をしたいと言うことなので、出来れば他の待合室で待っていて欲しいのですが。」


「………

「分かりました」





めぐみの中の心臓紗希。


その紗希の実家では



ビンポーン


「はい、ちょっと待って下さーい」


「はい」


「はい、すみませんどちらさんで」


「私くし、紗希さんが小学校6年生の時に担任をさせて頂きました吉岡と言うものですが」


「あー、ゴメンなさい吉岡先生。」


「はい」


「ご免なさい、気が付きませんで」


「いえ、いえ」

「あの、今日来させていただいたのは、他でもないんですが、6年生の時に皆でタイムカプセルを埋める行事がありまして、それを今回掘り出したんですが紗希さんのも見つかったのでお持ちしたという訳なんです」


「そうですか。有り難うございます」


「で、お母さん誠に申し訳にくいのですが僚馬さんのお住まい連絡先はご存知ないでしょうか?」

「家も変わっておられて」

「連絡も取れない状態なんですが」


「私達も昔、事故後には連絡を少しとっていたんですが、その後分からずじまいです」


「やっぱりそうですか」

「お母さんそれともう1つそのカプセルですが紗希さんと僚馬さんのだけが紐で(くく)り付けられていて」


「…………」


先生がお母さんにどうしょうか、と言った直後…


「あのー先生、もし差し支えなければ、私達の方でそのカプセル預からせてもらっても宜しいでしょうか。」


「はい。そのお言葉私の方も助かる次第です」


そう言って先生がカプセルの入ったその箱をお母さんに手渡すとお母さんもその箱を受け取り、そしてそっと開けた。



すると、そこには確かに2つのカプセルが結ばれていた。


赤い糸で






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