44話
✳ 1ヶ月後
✳ その後の俺とめぐみは‥‥
互いの家から出勤し、ごく普通のカップルのように互いの家を行き来している。
週 に6、7度は会ってるけれど。
そう、ほぼ毎日会っている。
でも1ヶ月前、あの事故の場所から自宅へ帰った矢先の事。あの時は大変だった。
✳ 1ヶ月前
「あーなんか疲れたぁ」
「なんか家に帰ったらほっこりするねっ。ねー隆介?」
家?
「えっ?あっ、あー、そっ、そうだなぁ」
「どうしたの隆介?」
「いやっ、何でもないけど。」
「何か変?」
「何でもないってっ。」
「隆介、さっきから何かよそよそしい」
「何でもないって。」
「‥‥‥‥」
「有るんだ、何か‥」
「言ってよっ?」
「何もねぇよ」
「‥‥」
「有るんでしょ?」
「言ってよ!」
「‥‥」
「じゃ、言うよっ。」
「嫌っ、やっぱり嫌!」
「どうなんだよ?どっちだよぉっ?」
「‥‥」
「なー、めぐみぃ?」
耳を塞ぐめぐみ‥
何か俺がめぐみにとって、嫌な事をいうのを察知してるかのよう 見える。
「なぁー」
「何よー?」
何か開き直りかっ?
「あのなぁ、やっぱり話しとこうと思うんだぁ」
怖々聞くめぐみ‥
「何ぃ?」
「俺、めぐみとなぁ。」
「普通の付き合いをしたいんだよ。」
「普通の付き合い?」
「うん」
「めぐみぃ、あのなぁ?ちょっと聞くけどなぁ?」
「うん。」
「めぐみの中に紗希はどれ位入ってんだろ?」
「えっ?私の中の紗希?」
「ああー、そうだよ」
「‥‥」
「最初は70パーセント位は紗希かなと思った。けど今は半分位かなぁ」
「俺はなぁ、めぐみに会いたくて、胸を時めかせたんだ。」
「めぐみはどうなんだ?」
「えっ?私?」
「あー」
「私も隆介に会いたくて堪らなかったよぉ」
「でも僚馬と紗希がいなかったら、俺達会えてないよなぁ。」
「うん。だから、僚馬さんと紗希のお陰だねぇ」
「めぐみ、それ本当に思ってるのか?」
「うん。思ってるよぉ」
「よかったぁ。だったら俺とめぐみは普通のカップルから始められるよなぁ。」
「普通のカップルって?どう言うこと?」
「だから、いきなり同棲するんじゃなくて、お互いの家で生活して連絡取り合って付き合うんだよぉ」
なんかめぐみの涙腺がまた‥
「で、土日はどっちかの家に泊まる」
「隆介っ、私が邪魔なの?」
「そんなこと言ってねーだろ!」
「だって、そう聞こえるもん。」
「‥‥」
「取り敢えず、今日は家に送るよ」
涙を浮かべて訴えてくるめぐみ‥
「いやよぉ、どうしてぇ?」
「どうしてって、お父さんもお母さんも健在なんだろ?」
「勝手に同棲なんか出来ないよ」
「黙っとけばいいじゃない。」
「いずれ、分かるだろっ。」
「それに、我慢出来なくなったら、その時はその時で考えればいいだろぉ?」
「なんの我慢よぉ?」
なんの我慢?
「いや、だから会いたくて、離れているのが辛い時、その時考えればいいって言ってんだよぉ!」
「じゃ今じゃない!」
「めぐみ、今から電話して許してもらうからっ」
「えっー?」
「マジかよぉ」
「マジだよぉ」
「じゃ俺は言うからなっ、一昨日から付き合ったけど、今日喧嘩してますって。」
段々涙目になるめぐみ‥
「ん~」
「付き合って2、3日で今日喧嘩って可笑しいだろ。」
「めぐみは何も喧嘩なんかしてないもん。」
「これを喧嘩って言うんだよぉ」
「んーん、めぐみはしてないし。」
んっ?ちょっと可愛いいかも‥‥
「俺はゆっくりと暖めたいんだよ。」
めぐみはトーンを低めに言う‥
「でも、ゆっくりじゃ無かったもんっ」
「激しかったもん。」
えっ? ガクッときた‥
「何の話ししてんだよっ?」
「俺は結婚のことを言ってんだよっ」
「めぐみなんも、結婚のことなんか言ってないもん。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥?」
「ちょっと待ってくれ、めぐみっ。」
なんかややこしくなってきた。
俺が可笑しいのかな?
ややこしくしてるのは俺?
「取り敢えず、そんなこと許してもらえる訳ないだろぉ!!」
「俺はめぐみと新鮮な付き合いをしたいだけなんだってー」
「その上で僚馬や紗希の事を調べたいんだ!俺、可笑しな事言ってるかぁっ?」
「言ってないけどぉ‥」
「言ってないけど何だよ?」
「じゃ、逆に隆介が、めぐみのマンションに住んでよぉ」
「えっ?」
「ど、ど、どう言うこと?」
「何で俺がめぐみのマンションに住まなきゃ何ねーんだよぉ‥」
「で逆の意味がわかんねーし」
「だって、めぐみ、此処がいいもん」
「はー‥?」
「私の方が意味分かんないよぉ‥」
「えっー‥‥‥‥ー??」
此処って俺んちだよなぁ?
俺は少し強張った話し方をめぐみに問いかけた。
「めぐみぃ?ここは俺んち何だよ?」
「お前が出て行けよぉ!」
なっ、なっ、何と知り合ってまだ2、3日で、咄嗟にめぐみのこと、お前って言ってしまった‥‥ どうしょう‥‥‥
気まずい‥‥
心もたない‥




