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対向列車の⭐君に恋をして  作者: 伊龍幸介
第3章 旅路
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揺らぐ心





ベットの上の布団の中だよな、ここって。どうも寝てしまったみたいな‥

手足を目いっぱい広げても当たる物は何も無い。

パンツは穿いてる。でも俺1人になってる。


そう思うも何か布団の中に凄くいい匂いが入ってきた。

俺の部屋の流し台の前は部屋を眺めるように空いていて、その先には長めの細いカウンターがある。直接そこへ作った料理を並べられるようになっている。

そっと布団から顔を出してみるとめぐみの後ろ姿が‥

めぐみはこちらに回り込んで並べた料理に何かスパイスか何かを振っている。そのめぐみの後ろ姿を見てふと思った。

めぐみの髪の毛って後ろからよく見ると、ストレートだけど左右が短く真ん中に向かって長くなってるんだ。

それに真っ黒でもなかった。穂のかな栗色が入っている。地毛だろうか?

まじまじ観察してなかったせいか今初めて気がついた。


俺はこの2日、めぐみの何を見ていたんだろう?


会いたいから始まったこの出会い。もっと真剣に向き合わなければいけない所が沢山有るはずだ。


あまりにも早い打ち解け方に脳の思考回路は付いていけないでいる。


俺の中には僚馬は確かにいるけれど、でも俺は俺という気持ちは昔から変わっていないし大部分が俺であるという認識もある。


めぐみはどうなんだろう?

俺の中に僚馬がいなければ俺達は会っていない。



めぐみは隆介に会いに田舎から出て来たんだよ!




違うだろ。僚馬だろ。田舎からわざわざ出てくるんだから。


めぐみの大部分は紗希なんだ。それに愛してるのは俺じゃない。僚馬なんだ。間違いない‥

そうだとして、俺達は紗希と僚馬にならなくては駄目なのか?

もし、俺とめぐみが結婚なんてことになったら俺達は代理夫婦なのか?


俺はめぐみ自身に恋をして、そして愛したいのにそれは叶わないのか?


俺はいやだ!!俺は俺の人生だ。めぐみ自身にもその権利はある。

めぐみは考えたことがあるんだろうか。俺より早い段階で僚馬を求めて来たんだろう。それでいいのかよ。




でもあの事故はどうすんだ‥‥




「元気になったら、、結婚式して、紗希、お前はバージン、ロードをあっ、歩くんだぞ、親父さんとっ」


「うん、わかっ、た」


「僚っ、隆も頭、から血が、血がい、っぱい‥」


「こんなの、全然、平気だって」

「紗希、結婚式、の前に、住む何処考え、なきゃな」


「そう、だねっ」


「何処、に住む?」


「私、山裾に、家が、欲し、い、なっ」


「うん、そうだな、山裾にしよう」


「子供、一杯、作って」


「そう、だなっ」

「何人位にする?紗希っ」


「おい!!紗希、頼むよー紗希、確りしてくれよ」


「僚?」


「何?」


「生ま、れ、代わっ、ても、一、緒に、なろ、うねっ」


「おい、おい、嘘だろー、紗希ー」

「おい、確りしてくれ紗希っー」





2人をくっつける立役者に俺達はならなきゃいけないのか?


どうしたらいいんだ俺は‥



めぐみはカウンターに並べた料理をソファーの前のテーブルに運んでいる。



「隆介ー。夜御飯出来たよー」


「あっ、うん、有難う」


シャツとズボンを穿き料理の前に座った。


「どうしたの?」


「えっ?どうしたのって?」


「隆介、何かが違う。」


「何も違わないって。さてご飯、ご飯。凄くいい匂いがする。」


「隆介っ?めぐみがなんか間違ったことしたんだっ」


めぐみはそう言って悲しそうな顔を俺に見せる。

俺自身は普通にしてるつもりでも顔に出てんだ。これはやばい。よそよそしく見えたら余りにも、変わり過ぎだ。

そう、思った俺は直ぐに立ち、めぐみに近づき優しく頭を持って俺に引き寄せた。そして頭にキスをした。


「寝起きだから、なんかボーとしてんだ俺。」


「なんだぁ。びっくりしたぁ。」


「食べよ、めぐみ」


「うん、」


なんかこの料理、創作料理みたいだなっ?


「揚げ餃子だこれ!」


「そうだよ、ここに付けて食べるの。」


「ケチャップ?」


「うん、でも他に何か入れてるの」


早速揚げ餃子から入ってそれに付けて食べてみた。


「んっ、めっちゃ旨いこれ!」


「本当っ?」


「うん、旨い!」


「よかったー」


めぐみはそう言ってビールとグラスを持ってき、互いにグラスの中にビールを注ぎあい、乾杯した。


「かんぱーい!」


その声はやはり可愛かった。特に言葉を伸ばして喋る所はセリーヌそっくりだ。


「乾杯っ!」


2人で趣味や好きな食べ物、好きな色、好きな映画、好きなテレビドラマ等色々喋った。

この趣味や好きな物は紗希のも入ってるんだろうか?

今はそれを考えのやめよう。


結構2人でビールを注ぎ合っただろうか、めぐみは眠たくなったのか、俺に頭をくっつけて眠そうにしてる。なんかの合図をしてる感じがするんだけど‥


でも今の気持ちでめぐみを愛していいのか‥


取り敢えずめぐみを寝かそう。


「めぐみ寝よっか?」


頭を少し下げてうなずくめぐみ‥


「ちょっとこのまま待っててくれ」


そう言って俺はめぐみの上半身を支えながらソファーに寝かせた。


その後めぐみを抱き抱えてベットの中に寝かした。


俺は紗希を愛してることになるのか、めぐみなのか、わからなくなってる。

こんな気持ちのままは駄目だぞ隆介。

そう自分に言い聞かせて俺はシャツとズボンを脱ぎそっとベットの中に入った。


するとめぐみは直ぐに俺に抱き付きにきた‥

するとめぐみの目が当たる部分が濡れてきて、鼻も1回啜る音がした。








結局我慢出来なくなり、俺は獣のようになっていった‥



‥‥


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