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対向列車の⭐君に恋をして  作者: 伊龍幸介
第3章 旅路
40/57

40話

「あー気持ち良かったぁ」


めぐみはそう言って俺の前に出てスキップしてる。


なんかめぐみと付きあってる事自体、俺自身の中で何か全てを手に入れたような錯覚に陥ってる。でも陥ってもいい。



めぐみを無くしたくない‥


「隆介ーっ?」

「どうしたの?」


「えっ、いや、何も無いけど。」


「今、何か考えたでしょ?」


「いや、何も無いって。」


「ねー、ちょっと耳貸してほしい。」


「えっ何?」


そう言ってめぐみは俺の耳元で小さな声でこう言った。


「あのね、隆介っ?好きだよぉ‥」


ビックリした。でドキドキもした。

俺も直ぐめぐみの耳元で返した。しかもめぐみよりもずっと小さな声で‥


こう返した。


「俺は違うんだ。‥」


「えっ?なによっ?」


「俺はな」


「‥‥‥‥」


「俺、めぐみのこと愛してるからなっ」


「いやだー、めぐみもそっちがいいー」


「もう、言っただろ。」

俺は小走りでめぐみから離れた。めぐみは小走りでくっついて来る。

「じゃ、もう1回しよっ」


「えっ?もう1回?」






俺、いい歳して、何付きあってんだろ。でも小声だからいいか。

そんな事言いあいながら、知らぬ間に列車に乗ってた‥‥


土曜日の昼で各駅列車の為か列車の中はガラ空きだ‥


俺達2人は、めぐみのマンション近くにある携帯電話屋へ向かう為めぐみがいつも乗る最寄り駅まで列車に揺られた。土曜日だから当然この各駅列車は離れ小島になんかまず入らないだろうと思っていたし、めぐみもまたそう思っていたに違いない。


所がこの列車、平日と同じように線路を変え離れ小島へと入っていった。


「えっ?」

「めぐみ、見てみろよ、いつもと同じだ、離れ小島に入っていくぞっ」


「本当っ、こっちからだとこんな感じなんだぁ」


列車はスピードダウンしていく。


「隆介っ?私が乗ってたのが来ないよね?」


「土曜日のこの時間めぐみ乗ってないだろっ。」


「あっ、そっかー」


そして、俺達はこのボケと突っ込みがこれっきりにならざる終えない風景を目の当たりにする。


対向列車の線路が真横にない!!


「めぐみ!!おかしいぞ、これ?」


「どうしたの?」


「下を見て見ろよぉ」

「対向列車の線路がないんだ!!」


「えっ?線路?」


「下を見て見ろって!!」


「えっ?本当だぁ!」


「どうして?」

「しかも、風景も違うよ!」


「本当だ、違う!」


ふと遠くに目がいった‥

「えっ?、めぐみあれ見て見ろよっ」


「えっ?」


2人して向こうをよく見ると50mは離れてるだろう所に1本の列車がやはり信号待ちをするのに止まっている。


「あの、列車?」

「えっ?あれなの?」

「あの、線路が私の乗ってた方?」


「そうだよっ!‥めぐみが乗ってた列車の線路はあそこにあんだよ!」


「えっ?どういうこと、どういうこと?」

「隆介とめぐみはちゃんと会ってたよっ!!手も振ってたもん。」


「俺達だけなんだよ。接近してたのは。」


「えっ?」


「今更だけど、そうだよ。信じられないけど。」

「駅員が言ってたように確かに2本の列車は信号待ちをいているんだ。それにもともと、こんだけの距離が有ったんだよ。」

「俺達が巡り会うまでは。」


「隆介とめぐみが列車のなかで知り合った時に出てきて、私達が会うことができたから真横にあった線路も列車も消滅したの?」


「あー、多分」

「それと気になることがもう1つ」

「俺とめぐみを会わせるだけなら、あの地震は要らないだろっ」


「言われて見ればそうだぁ」


俺は自分で地震と言う言葉を発したことでふと思い出した。

俺は昨晩から浮かれてたせいもあってか、まだ僚馬と紗希の夢の事をめぐみには話していない。


話しておかなきゃ‥



「そうだ、俺、めぐみに言い忘れてることがあんだ。」


「えっ何?」


「実は俺、紗希と僚馬が事故に遭った日の事を夢見てんだ。」


「えっ?事故の夢?」


「あー」

「て言うかめぐみ?俺達の中の心臓のことって知ってるよな?」

「事故が原因なこと。」


「めぐみ、はっきりとは覚えてないの。でその紗希と僚馬の事故って?」

「ひょっとして、それが致命傷になったの」


「あー、そうだよぉ」

「地震があった直後に2人は土砂くずれに遭うんだ。紗希と僚馬は」

「俺の夢として僚馬に見せられたというか。」


「見せられた?」

「あっ?」


「えっ?」


「めぐみもある。めぐみは空想と言うか、めぐみ自身が思い出してるの紗希のかわりに。」


そんなやり取りをしながら、めぐみの最寄り駅に着いた。

めぐみの最寄り駅は離れ小島から出た直ぐの駅だった。


「めぐみ、ここから乗ってたんだ」


「そうだよ。」


そして2人して駅の改札口を出た。ここもローカルっぽいなー。

携帯電話屋へは徒歩で約15分位らしい。その間、て言うか駅から出ると直ぐめぐみは俺の左に来て腕組をする。そのまま携帯電話屋まで歩いているその道中俺達のことを考えてる。

なんか今でも、信じられない所がある。俺とめぐみは昨日、今日の話だ。付きあって‥

昨日の夜から、今ここまで俺とめぐみの打ち解け方は尋常じゃないスピードで進んでいる。


誰かが後押ししてるのか?


それとも昨日の夜、何回もしたからかな?


「ねー、隆介ー、この後どうしよっかー?」


「えっ?えっ?」

「携帯電話屋だろっ。」


「その後!!」

「今、何か考えてた?」


「いや、別に。」


「怪しい。」


「何も考えてないって」


「本当っ?」


「本当。それより取り敢えず昼飯食いてー。」


「じゃ、めぐみ、丼屋さんがいいー」


「丼屋?」


「うん、だって早いもん。」

「で、時間作れるでしょっ。」


「確かに‥」

「その後、ボーリングか、映画か、買い物か‥」

直ぐにめぐみは‥


「買い物がいいー」


「じゃ、買い物で決定だな。」


「うん」


女ってやっぱり買い物が好きなんだ。


何買うんだろ?


‥‥


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