4年分の愛
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「ごめん、中少し散らかってるかも?」
「全然大丈夫だよっ」
なんなんだこの随分前から、付き合ってる感は?でも実際は付き合ってまだ30分程しか、たってないのに。
ワンルームの部屋を開けようとドアノブを握ると、あれっ?回らない。鍵が掛かってる。そうか藤もっちゃんだ。藤もっちゃんが鍵かけて出てんだ。
「ごめん、隣の部屋の友達が、俺の部屋の鍵を持って出てしまってるみたいなんだ。」
「ちょっと、ここで待っててほしい。」
「うんっ。わかった、待ってる。」
俺はわかっていた。藤もっちゃんと何処かの女性と警察官が言い争いをしてるのを。急ぎ足で外に出てみると‥
「あっ?隆介!!」
「藤もっちゃん!!」
警察官も女性も横にいる。
「いや、よかった隆介。俺達先っきからな、不審者扱いされてんだよ」
すると警察官が‥
「いえ、そういう訳ではないんですが、一応‥」
横の女性も直ぐさま大きな声で‥
「だってそうでしょ!事情聴取みたいな、住所は何処とか、何とか。何処から来たとか。」
「わかりました、わかりました」
「それじゃ、私達は帰りますから。」
夜に大きな声はと思ったのか、警察官は引き下がった。
一応、俺から‥
「あっ、すいませんお疲れさまでした。」
「いえ、じゃ失礼します。」
この女性の声を聞いて反応しためぐみが建物の中から出てきた。
「あっ、麗奈!」
「めぐみーよかったねっ、会えたんだっ」
「うん。ありかどう。」
この女性、めぐみの友達なんだ。自己紹介しとかなきゃ。
「あっ、始めまして、俺、哀川隆介と言います。」
「あっ私、麗奈と言います。」‥ やだイケメン
「麗奈でも、どうしてここに?」
「えっ????」
その麗奈さんの、えっ?を聞いた藤もっちゃんが
どうも、笑いを堪えてるみたいだ。
今度はその藤もっちゃんを見た麗奈さんが‥
「ちょっと、藤本さん、何笑ってるのっ?」
「いや、いや、ごめん。」
なんかこの2人の打ち解けようから、かなりの時間俺達を見てたのは直ぐにわかった。
なにやら藤もっちゃんがお笑い的にすっと手を上げた‥
「じゃ俺から言いますっ!」
「麗奈さんは、めぐみさんを気にして、車で迎えに来ました。」
めぐみはこの藤もっちゃんの言った迎えにきたと言う言葉に直ぐに反応して、俺の右斜め後ろからすっと俺にくっつき、俺の腕を持った。 帰りたくないんだきっと‥
それをみた、麗奈さんは‥
「めぐみ、分かってるよ。」
「やっと会えたんだもんね。」僚馬さんと‥
「うん」
「ごめんねっ、麗奈。」
「ううん、実は私もうれしいの。」
「ありがとう、麗奈。」
「ううん。じゃ私帰るねっ」
「うん。」
「あの、隆介さん、めぐみを宜しくお願いします。」
「あっ、はい、分かりました」
麗奈さんを見送って俺達は建物の中に入った。
「隆介、じゃ俺寝るはっ」
「藤もっちゃんっ?」
「何ぃ?」
「有難うなっ。」
「あー、よかった、よかった」
「お休み隆介っ、めぐみさん。」
「お休み。」
「お休みなさい。」
俺達は、鍵を開け部屋の中に入った。
中に入った俺は彼女の肩を持ちドアに向かって1回転させ‥
「ごめん、2分だけ待ってほしい」
「少しだけ片づけたいんだっ」
「うん、じゃ待ってる。」
そんなに、散らかって無かったけど‥
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私、麗奈はみんなに見送られながら自宅に向けて車を走らせた。
でもよかったぁ。僚馬さんと紗希さん、4年振りに会えたんだ。
でも、これで終わったんだろうか?私の中にその思いが何か抜けきれないでいる。
それは紗希さんのお母さんから聞いたあの言葉が体の中に残ってるからかも知れない。
お母さん、大丈夫ですか?
大丈夫、大丈夫、私は大丈夫だよっ。
おばあさんが紗希の結婚式を1番楽しみにしてたんですよ。
私がどうこう言う問題じゃないけど。
でもどうしようこの電話番号が書いてある紙
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隆介の部屋では…
先っき会って今この状況ってどうなんだろ?ここはお話しで終わるべきか、それとも一気に行っちゃうべきなのか?
気持ちは後の方だけど。
俺は部屋を片づけ、そして一応念の為容易はした。多目に‥
俺の部屋は入って右にキッチン、左にセミダブルのベットがある。
そして真ん中には3人がけのソファーがドアに向かってドンと。
その前には長方形の低いテーブルがソファーと平行して並ぶ。
「ごめん、終わった。」
えっ?なんか目が潤んでるような?
俺何かしたかな?
「めぐみぃ、大丈夫か?」
今なんか名前呼ぶんぎこちなかった
「あっ、ごめんなさい、なんかちょっと」
この部屋の匂い、懐かしい
「あっ、忘れてた。このジャンパー。」
「隆介ー、の、だよねっ?」
めぐみも俺の名前を呼ぶのがぎこちなく感じた。でも逆にそれが新鮮味が出ていて俺にはたまらない。
「あっ、うん」
めぐみからそのジャンパーを預かり、ハンガーに掛けた。
その時、女性の匂いがすっと鼻に入ってきた。
俺の気持ちがそわそわしてくる。
でも、あのドクン、ドクンとする胸の鼓動は俺の中にはもう感じない。
あれは、彼女に会いたいときの為だけのものだったんだろうか。
「あっ、えーと、どこに座って貰おう。」
「隆介の横でいい。」
このストレートさに加え、この声だからたまらない。
いつもなら、このソファーの真ん中にドンと座るけど、彼女が俺の左にくるように座った。
彼女も俺の横にすっと座ってきた。とその直後何か自分では堪えきれないものが俺を襲った。そうだあの公園で体が合わさった時と同じものだ。
そうなんだ。そもそもちょっと前まではこの感じは続いていた。
部屋の鍵を掛けられるまでは‥
俺達はこの後、公園の続きから始まり、そしてベットに入っていった‥
愛し合った‥ 《‥4年分‥》




