告白
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もう小声はやめた私達‥
「藤本さんって家はこのお近く何ですか?」
「えー、あいつの隣に住んでるんです」
「えっ?そうなんですか」
「はい」
公園でジリッと足の音がした‥
私達は直ぐに仲良く振り向いた。
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俺はハグをしたまま彼女に声をかけた。
「あの、ごめん。初めて直接会ったのに、何も話せずに。もう1人の俺に歯止めが効かなくて」
「うん、知ってるよっ、それに私も走って行っちゃったもん」
ゲッやばい、本当だ。声そっくりだ。
これーやばいだろ。
「あっ、そうだ名前だ、俺、哀川隆介」
「私は鮎原めぐみ」
ハグしながら自己紹介ってこんなシチュエーション有るんだろうか?
あっ、咄嗟に俺はいいことを思いついた。
「あの、いい案が有るんだけど?」
「えっ、何ぃ?」
あー、ヤッパリやばいこの声、セリーヌだ。
「同じ方向、向こうか?そしたら、心臓と心臓がくっつくだろっ」
「うんっ」
俺達は一旦離れた。
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「藤本さん、藤本さん?終わりましたよっ。」
「えっ?でも」
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俺は腕を彼女の後ろから腹回りへまわし、彼女と俺の心臓が互いにくっつくよう、後ろからグッと持ち上げた。
この2人に俺からのサプライズだ。
『僚ー、この人優しい‥』
『だろ』
『心の声は暫く出さずに見てようぜ』
『うんっ、そうしよ、そうしよ』
『でも、これ、キスまで行っちゃうのかな』
『行くに決まってるだろ』
『俺達だぜ』
『あっ、そうか、全身の血は私達の血何んだっ』
『てことは、キスどころじゃ‥』
『もう、いいって』
『ごめん』
俺は彼女を降ろし、更に後ろからギュッと抱きしめた。
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「藤本さん?」
「えっ、何ぃ?」
「あれから、何台か車がこの道を通ってるじゃないですかぁ。」
「うん、通ってる。」
「私達のしてる事って、最初からは随分違ってるような気がするんです。」
「俺も、そう思う」
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俺は、この流れのまま彼女と付き合う事も考えたけど、やっぱり言葉に出して告白した方がいい、彼女もそれを待ってるかも知れない。
俺は彼女のお腹から手を下ろし、その手で彼女の肩を少し回した。少し回しただけで、彼女は自らこっちを向き、また俺に抱き付いた。俺もまたギュッとした。
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「俺、帰ろかな。」
「タイムスリップしたみたいにまた戻ってるよ。」
「えっ?いや、もう終わると思うんだけど」
「終わるかなー」
「藤本さん、もう少しいて、私怖がりなの」
「えっ‥‥じゃ、もう少し」
て言うか今、何時なの? 11時半! 私のアッシーは確定だ
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告白しよう‥
「あの、鮎、いや、あのー」
「めぐみでいい。」
えっ、いきなり‥
「じゃ、俺は隆介で」
「うん」
「あの、じゃ、めぐみっ」
「あのー、俺と、正式に付き合ってほしい」
「はいっ、お願いします。」
「えっ?」
「いや、あの、‥やったーっ」
俺はめぐみを抱き抱えたまま、ぐるぐる回した。
「キャーっ‥」
そしてめぐみを降ろすと、なぜかごく自然にそのまま唇と唇は合わさった。
名前を呼ぶところで少しは考えたけど、それ以外はなんか凄く入りやすかった。腕を上げたのか、それとも‥
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「君達、ここで何をしてるのかな?」
「えっ?」
警察官?えっ?
「えっ、いや、」
「プライバシーな部分を余り長く見てると、犯罪になりかねないよ」
「いや、違うんですよ」
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「あっそうだ、私どうしょう?、終電終わっちゃった。」
あーしかしこの声、慣れない。ゴシップレディーのセリーヌと喋ってるみたいだ。
「じゃ俺んち行こっ」
「うんっ」
めぐみの右の手は俺の腹を巻き込み、俺の左手はめぐみの左肩を持ちギュッと引き寄せたまま俺達は……
公園を出た…
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「だから、友達を迎えに来たって言ってるでしょ!!」
「俺ん家は本当にそこ何ですって」
「本当に2人とも友達なんだな。」
2人の声が重なる‥
「そうですよ。」
「じゃ、その友達は?」
「だから、話しが終わるの待って‥‥」
「あれっ?」
「???」
「いずこへ?」‥‥




