運命の出会い
引きつけられる2人。
外へ出てみると、夢で見たような青空が
広がっている。
小鳥の囀ずりも聞こえ夢と同じような感じが体の中に入ってきた‥‥
部屋のドアの前には手摺りがある。
その手摺に両肘をつき、藤もっちゃんが出てくるのを待ちながら
今の夢の事を考えている。
あの夢は現実に限りなく近いと。
気持ちの中に平常心がたもててないのがわかる。
そしてふと思った。
いやまてよ?
ひょっとしてこれは何かの前触れなのかも知れない。
あの列車、あの時間に
何かがあるのかもしれない。
そう思えてならない。
夢がなにかを教えてくれてるのかも知れない。
運命の出会いか?
それとも列車事故か?
列車事故ならあの女の子はいらないだろう?
そんな事を考えていると藤もっちゃんが出てくる筈の時間も過ぎてしまった。
やはり夢だったんだろうか?
頭を休めていつもの時間に出るか、いや、
あー……なにか今日の俺変だ!!
なにかが変だ!!
取り敢えず部屋に戻り、出る準備をした。
そして考えている。
列車事故か。いや出会いか。
心臓の鼓動が早くなっている。
ドキドキしている。
そうだ。ドキドキだ。このドキドキ感が
変なんだ!!
早く出よう。確かめよう、間に合わない。
慌てて飛び出し自転車に飛び乗り、
大急ぎで自転車をこぐ。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
なんでこんなに真剣になってるんだ。
事故に合うかも知れないんだぞ!!
夢だったのかも知れないんだぞ!!
くそーどうでもいい。
もうすぐ駅だ。
あれ、まてよ?
駅まで近ずくと、なにか人がぞろぞろと駅に入って行くのが見えた‥
やっぱりこの時間の方が人は多いんだ。
少し現実に帰りながらも取り敢えずは駅に着いた。
自転車を置き、ホームの中に入る。
そうだ時間だ!
ホームへ上がった俺は真っ先に時刻表を見た。
そしてその時刻表をみた俺は驚いた。
夢と同じだ!!
………………各駅列車の時間が夢の時刻と全く同じだ!!
なにか胸騒ぎしてきた。
今、この場所、この時間は現実だ!!
間違いなく‥‥
そして対に列車のアナウンスが流れた。
でもそのアナウンスが流れ終わった
直後に対面する向かいのホームにもアナウンス
が流れだした。
夢ではこの設定はなかった‥‥
だからまた現実に呼び戻されそうになるが、きっと
先にまだ何かある。我慢だ。
こちらの各駅列車の先頭車両が次第に
大きく見えて来た。
そして停止線まで近ずき、列車を待つ。
ようやく列車が入ってきた。
直後に向かいのホームにも列車が入ってきた。
向こうも、こっちも結構な人が乗っている。
つり革は決定だ。
ゆっくりと列車が止まりドアが開く。
そして中に入り奥のつり革を持った。
対向列車も停まる。
そして何気なくその対向列車の中を見ていると
こちらを見ている1人の女性の姿が見えた。
めっちゃ可愛い!!
ここか!! ここなんだ!!
でも向こうが微笑んでる訳ではないのでニコッとは
出来ないし、それに、ふっと目を反らされた。
でもめっちゃ可愛い!!
まてよ、夢の彼女じゃない。
て言うか、夢の彼女の顔が思い出せない。
夢だからだ。
ドアが閉まり動き出す。
恥ずかしいのかそれっきりこちらを
向いてくれない。
でも出会いなんてこんなものだ。
行きなり微笑んで、ニコッと返すなんてそっちの方がおかしい。
だんだん列車は離れて行き、見えなくなっていく。
正夢が全部同じゃないし
出会いってこんなものだ。これからだ。
あの夢はこの始まりを教えてくれてたんだ。
また明日もあえるような気がしてきた。
いや!! きっと会える
そしていつか微笑んでくれるかも知れない。
でもこっちから見過ぎだったろうか。
しかしこの出会いがあったせいか、
何かホッ とした。
急に足が疲れを訴えだした。
でもこのつり革で各駅はきつい。
途中で乗り換えよう。
外を眺めながら数駅か通り過ぎたろうか。
外に1台の車が走ってるのが見えた。
その瞬間また夢と同じような事を思いだした。
何故、車での通勤をしないのか?
またかよ!!
夢で十分だろ!!
まてよ電車通勤なら車の事故を起こす確率も
少ない。
そうだ、そうなんだ!!
だから電車通勤に変えたんだ。
そう思えてならない。
でも、何故今、そう思えたんだ!!
あれ、変だ!!
乗り換え駅を通り過ぎてる。
乗客も減っている。
嘘だろー!!
気がつかなかったのか。
そんなに考えこんでないだろー!!
しかも、乗り換え駅から2つ目の駅も通り過ぎてる!!
変な予感がしてきた。
あの夢は出会いか、列車事故かじゃなくて
ひよっとして両方か!!
思うも直ぐに、列車のスピードが下がってきた。
ドキドキしてきた。
そして、スローペースへと。
なんか、緩いカーブが始まり、どうも真ん中の島にでも連れて行かれるような感じが。
すると対向列車もスローペースで入ってきた。
止まる勢いだ。
そうか、ここで地震を回避してるのかも。
ホットっするも、なんかまたドキドキしてきた。
『只今信号待ちをしています。今暫くお待ちくださいませ』
思わずつり革から手すりに、持ち替えた。
手に力が入り、汗も出てきた、ドキドキ感も
更に増してくる。
でも何故か回りの人の目線がどうも気になってきた。
俺が何かを我慢してるようにでも見えるのか。
再びアナウンスが流れだした。
列車が動くアナウンスだ。
でもまだドキドキ感が消えない。
いや、このドキドキ感、そもそも違うものだ。
誰かに見られている。
そうだ、回りの目線じゃない。誰かに
見られている。
列車が動きだす。
対向列車か?この列車か?
両方の列車を見渡す。
いた!!
対向列車に確りとこっちを見ている1人の女性がいる。
でも離れていく!!
まだ見ている。女性が少しずつ小さくなっていく。
まだドキドキ感が消えない。
見られていたあの目がどうも気になる。
嬉しそうにも、悲しそうにも見えたあの目。
気になってならない。
それに可愛いのかも綺麗なのかも思い出せない。
俺らしくない。
ずっと俺を見てたんだろうか。
いつから見てたんだ。
それに何故か親しみ感を体に感じた。
誰なんだ!!
初恋の相手?
‥‥‥
案内人でもいるのか?