28話
✳
‥‥203‥‥
「お父さん、ここだわっ‥‥」
《コンコン》
「はいっ‥」
‥‥ドアが開き、入ってきたのはお父さんとお母さん‥‥
「大丈夫ーめぐみー」
「お母さんっ、お父さんっ‥‥」
「大丈夫だよー私は、全然」
「びっくりしたんだから、私もお父さんも‥‥」
「大丈夫だよ、何か大袈裟なんだから‥‥」
「車できたの?」
「そうだよっ‥」
お父さんが‥
「でも元気そうで、よかった‥」
「じゃ、病院移らなくてもいいねっ?」
「それはだめだっ、‥‥」
「どうして?全然大丈夫なんだよ私は‥‥」
「大丈夫でも一応、念のためにな‥‥」
「言ってる意味がわからないよ‥‥」
「私の体は私が1番よく知ってるんだから‥‥」
私が強い口調になってくるのを分かってか、お母さんが‥‥
「お父さん?取り敢えずはめぐみが元気そうなのは見れたんだから、ここでどうこう話すより後でまた先生とゆっくり話しましょっ‥‥」
「分かった、そうするかっ‥」
「あっそうだわっ、忘れてたっ‥‥」
「何?‥」
「めぐみに会いたい人が、駐車場で待ってるのよ」
「えっ?私に会いたい人?」
「うんっ‥‥」
「じゃ、一緒に来ればよかったのに‥‥」
「いや、それが病院は無理なのよー‥」
「あっ!!」
「お父さん‥車の鍵貸して‥‥」
「はいよ‥」
「早っ!!‥‥」
私は急いで、階段を下り駐車場へ向かった‥‥
‥お父さんの車だ‥‥
近くまで寄っていくと、私に気づいたのか‥‥
『ワンっ!ワンっ!ワンっ!ワンっ‥‥』
私は車の鍵を開け、ドアを開けた‥‥
「パールーっ‥」
『ワン、ワン、ワンっ!!』
「そうか、そうか、そうなんだ‥‥」
「パール、そうなんだー」
『ワン、ワン、』
「はい、はい、はい、分かった、分かった」
‥‥
‥‥
‥‥
私はパールを抱いて、ここが見える病室を見た‥‥
‥‥あっ、お母さんもお父さんもこっちを見ている‥‥
‥‥それに先生も‥‥
‥‥皆こっちを見ている‥‥
‥‥‥
「先生、病院の移動はいいかも、知れませんね?」
「そうですね‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
「先生どうしたんですか?めぐみはやっぱりどこか悪いんですか?」
「いや、その逆何です‥‥」
「おかしいなー‥」
「えっ?」
「いや、顔色がすっかりと言うか、顔の表情も変わって、各数値も良くなってるので‥‥」
「はっきり言って全然問題ないです‥‥」
「一応向こうの病院にも診断結果を出しておきましたけど、やはり問題なしで、こちらに一任すると言う事です。」
「そうですか‥」
「それを聞いて安心しました。」
「帰りましょうか、お父さん‥」
「あー、でもよかった‥」
「はい‥」
✳
《プルルー、プルルー》
「はい、もしもし何でした?有田さん」
「いや、何でもないんだけど、日曜日コンパ無しになったから、一応連絡しとこうと思って‥‥」
「あっ、わざわざすいません!」
‥‥行かないって言ったのにな‥‥
コンパが潰れたことで、余程ショックなんだろう‥
「あっ、それと隆介それだけじゃないんだよ?‥‥」
「えっ‥」
「今から言う番号控えろ‥‥」
「はい?‥」
「いいから、控えろ‥お前と喋りたいと言う人間がいるんだ‥‥」
「俺と?‥‥」
「あー‥」
「この間地震があったって言う会社の奴だ‥」
「お前のことを言うと是非喋りたいと‥‥」
「あっ!お願いします是非‥‥」
「いいか?」
「はい、いいですよ‥‥」
「×××××××××××」
「わかりました。有難うございます。電話してみます‥」
「じゃなー」
「はい、すいません‥‥」
‥‥俺は電話を切るとすぐにこの番号に電話をしてみた‥‥‥
「もしもし」
「あっ、すいません‥‥哀川隆介と言う者ですが‥」
「あっ、哀川さん」
俺を知ってるのかな‥‥
「はい、そうです‥‥」
「待ってたんですよ‥‥電話を‥‥」
「そうですか、有難うございます‥‥こちらも入りやすいです‥‥」
「地震のことですよね?‥」
「はい、そうです。」
「よかった‥あの地震、誰も信じてくれなくて‥」
「ありましたよね、確かに。」
それを聞いた俺は、何か安堵した‥‥
やっぱり現実なんだ‥‥
‥‥‥少なくともあの空間は‥‥‥
「えー、確かにありましたよ。大きかったですよね。」
「ですよねー、大きかったですよねー‥‥」
何か彼に俺の同調感はあまり伝わっていないだろう‥‥
何故かと言うと‥‥
俺には地震もそうだけどもっと大事なことがある。それを彼に尋ねてみることにした‥‥
どんな返事が返ってくるんだろう‥‥
「すいません、それと1つ聞いていいですか?」
「はい、何でした?」
「その地震の時、真横に対向列車も一緒に止まってましたか?」
「対向列車?」
「えー‥」
「いや、対向列車などなく‥僕らが乗ってた列車だけでしたけど‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「もしもし、どうしたんですか?」
「哀川さん!!?」
「あっいや、すいません‥‥何でもないです‥」
「有難うございました‥‥」
「すいません、用事ができたのでまた、電話します。」
「あっ、はい、わかりました‥」
‥‥‥
‥‥‥‥
こんな大事な時に電話しなけりゃよかった‥‥




