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対向列車の⭐君に恋をして  作者: 伊龍幸介
第2章  二人に対する難敵
22/57

22話


今、彼のいた駅と同じ方向に向かう線路の前に立っている。しかも先頭車両が着く場所の1番前のドアに‥‥

彼がまだいるかを早く確かめたい‥‥



列車が直ぐ来る筈もないのに、心の中では早く来てよーって、そんな気持ちで列車を待っている‥‥それが体中に蔓延まんえんしている‥‥



《間もなく快速列車が到着します。白線までお下がりください》


早く来てよっ!


列車がゆっくりとホームに入ってきた‥

何故ゆっくりなの!


列車が停まりドアは開いた。

開いたドアに勢いよく入るも直ぐドアが閉まらない。

1つ、1つが凄く長く感じてしまう‥‥


私の乗っていた列車は快速列車‥当たり前だけどこの列車もそう‥‥


2つ、3つの駅を通り過ぎて行くんだ‥‥


もう列車に乗ったかも知れない。


何故彼はあの駅にいたんだろう?

もしかしたら、彼女を送ってあの駅に降りたのかも知れない?

でもちよっと待って、彼女と決まった分けじゃ、ないじゃない!


お姉さんかも知れないじゃない。ただの知人かも知れないし。

きっと私の早合点だわっ、そうよっ。


そう思ったら余計に逢いたい‥‥


まだいるよねっ、まだ座ってるよねっ、‥


お願いだからそのままそこに座ってて!!

お願い!!‥


そして彼のいる駅のアナウンスが聞こえてきた。


駅が近づいて来た‥



           ✳



今、ここで彼女と沙也加のことを考えてもしょうがないか‥明日は木曜日‥‥さて帰るかっ‥



           ✳



列車はスローダウンしホームへ入っていく‥

彼は何処?彼がいない‥‥


嫌だ、嫌だ


もう先の列車に乗ったの?


いや、あれって‥‥

よく見みると改札口に向かってる1人の男性がいた‥


彼だ!


列車が止まる‥‥慌てて駅のホームへ降りた‥‥


私は走って改札口を出た。彼を見失う‥

でもまだ近くにいるかも知れない‥‥


何処へ行ったのよー‥‥


私はここにいるのよー‥‥


駐輪場の看板が目に止まると、直ぐにそっちに体が動いた。

そこにいるかも知れない‥‥


彼の残像が何処なのか必至に探している‥


涙が出て止まらない、子供がお母さんとはぐれた見たいになってる‥‥


駐輪場に着くと辺りを見回した。


すると遠くに自転車をぐ男性がいた。

あれかしら?


私に回りを気にする余裕はない。直ぐ声が出た


「何処へ行くのー!!」

「私よー!!」


でも私の声は届かないのか、こっちを振り向いてくれない‥‥


彼じゃないの?

彼は何処?


何処なのよー!!


嫌だ、嫌だ!!


どうにかなりそう‥‥


私が逢いたいのは彼なんだ!!


‥‥


‥‥

ここは何処なの?


‥‥


‥‥‥


私はどうにかなりそうで‥‥



           ✳


《トゥルルルルー、トゥルルルルー》


誰だろ?


めぐみだ!


「もしもし、めぐみどうしたのっ?」


「もしもし麗奈っ?」


「そうだよっ!」


「あのね、あのねっ‥」


「どうしたのっ、めぐみっ」


「もう少しで逢えたのに、彼が何処かに行っちゃったー‥‥」


「ちよっと?どうしたのめぐみ!」

「今、何処なの!!」


「何処にいるか分からないの‥」


「ちよっと、冗談でしょっ!!」


泣きべそになりながら‥‥

「分からないのよーどうしたらいいのか‥‥」


私は電話をしながらも自転車がいった方向をただ歩いている‥‥

彼だったかどうかも分からないのに‥‥


「分かったから、落ち着いてっ。」

「めぐみ!!廻りに何が見える?」


「分からないよー」


「めぐみ!!確りしなさいっ!!」


「ごめん、麗奈。」


「分かった、分かったから落ち着いてっ」

「何処かの駅に降りたんでしょ?」

「大きな建物はあるの?道は広い?お店は?」


「田舎道みたいな所、段々狭くなって来た‥‥」


「めぐみっ?よく聞きなさい。」

「廻りにお店はあるの?」


「お店はないの。」

「家がいくつか見えて来た‥‥」


「めぐみその田舎道、坂がある?」


「うん、坂になってる」

「麗奈っ、何か思い出して来たの‥‥」


「思い出したって?」


「やっぱり私は誰かを探しにこっちに出て来たのよ‥‥」

「そしてこんな気持ちになってるんだもん」

「きっと、彼なんだっ!」


「私もそう思うよっ、だってめぐみがそんなに真剣なんだもん。きっとそうよっ」


「でも、それがそうだとしても、何故こっちだと分かったのか、それはわからないのー」


「わかった、それは帰ってからゆっくり考えよ?」

「めぐみ、そこ、田舎で坂なんだね?」


「うん」


「家は近くに有るんだねっ?」


「うん」


「めぐみっ?何分位歩いた?」


「15分位‥」

「彼は何処行ったんだろう‥‥」


「わかったよめぐみっ。だから一緒に探そっ。」

「めぐみっ?今から車でそっちに行くからねっ、そこを動いちゃ駄目だよっ!!」


「うん、分かった‥」


‥‥‥







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