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対向列車の⭐君に恋をして  作者: 伊龍幸介
最終章
15/57

真実



……「めぐみー危ない!!」


………………車のブレーキ音が山裾にこだまする………


『キィーーー!!』


…………


…………「………………」


………………


………


……私は間一髪、車との衝突を逃れ、向こう側の道路の端まで辿り着いた……


麗奈と春がそんな私を見て慌てて駆け寄り、麗奈がビックリした声で……

「ビックリするじゃない、めぐみ!!」

「轢かれるじゃない!!」


春も半泣きになりながら……


「みぐみさん、ビックリさせないで、くださいよ~」


私はその場でしゃがみこみ……


「大丈夫、大丈夫だから、ごめん。ほんの少しこのままにしておいて、お願い!!」


バスからも大善課長や数人かが降りてきて、慌てた様子で駆け寄ってくる……


麗奈が、大善課長に私の事について説明している……


「めぐみは大丈夫だから、もうちょっとこのままにしておいてあげて下さい……」


麗奈が、課長と話しているほんの少しの間に、春が私をみて動揺している。


春が麗奈に半泣きになりながら……


「麗奈さん、めぐみさんが泣いてるんです」


「えっ!!」


泣いてる私を見て、終に麗奈も、泣き出した。


ここ最近の私を見てきた麗奈が終に………

私の傍にきて、後ろから両手でだきしめながら……


「めぐみー、どうしちゃったのよー」


2人を目の当たりにした春も、しゃがみこんで目から涙を沢山溢(こぼ)している。


『もう少しで会えるからね』


「えっ?」

「めぐみ、今なんていったの?」

「誰に会えるって」


麗奈が、春をみて……


「私もそう聞こえました」


バスの皆が私達を見て、どうしたらいいのか分からず、ただ時を待っている……


………………


…………麗奈が我に帰り、背中を(さす)りながら……


「めぐみ?気分が良くなるまで傍に居るからねっ。ゆっくりでいいよ、ゆっくりで……」


それから5分位が過ぎ、私の気分は幾分良くなると、麗奈に寄り添いなからバスに戻った。そして居酒屋に向けてバスは再出発した。


私は一番前の席に座り、麗奈に寄り添いながらほんの少しの間眠りについた。


そして、この僅かな眠りの間に……

気分が悪くなってからバスが再出発するまでの間の記憶が全て飛んでいる事を今は知るよしもなかった…………




           ✳



…俺は母さんとの話しを終え、2階にある自分の部屋に入るとそのままベッドに倒れ込んだ。

天井を見ながら考えている。母さんとの話の事を。


何かと何かが線で結ばれているようでならない。


自分の事で新しく知った事を今整理している。

崖崩れ……これは直前にあった


…………地震が原因であると…………


車、2、3台がこれに巻き込まれたと…


俺……地震……「はっ?」


俺は慌てて階段を降りた

『ドドドドー』


「隆ーどうしたの!!」

「ビックリするじゃない!!」


「母さん!!」

「手術の日って今日だった?昨日?一昨日?」

「事故から2、3日後ってどっち?2日後3日後?」


「そうだわ、私忘れてた。一昨日だったわ」


「で事故の2日後?」


「そうよ、2日後よ」


「わかったありがとー」

「俺、上でちょっと寝てから、夕方帰るよ。晩御飯はいいから」


「わかったわ」


「直ぐに部屋へ戻り、瞑想と言うか、考えに(ふけ)っている」


……手術の2日前……地震


……一昨日の2日前……地震


…………同じだ!!


……対向列車の彼女……


彼女を知っているのは俺じゃない……







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