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第五話:押入れに潜む病み

第五話

 和室へと通じるふすまを開ける。さっき見た通り、其処にはエロ本の入った段ボールぐらいしかなかった。

「はっ、まさか段ボールの中のエロ本から人が実体化したとかかっ!」

 Gカップのまよんちゃんでお願いしまっす。あ、妹キャラでぶりっ子のツッキーは遠慮しますね…しまった!あっちの段ボールにはボディービルダーの本も入れてた!

「いや、在り得無いから。というか…其処らに転がる段ボールはそんないかがわしいものなのね」

 これ以上引けない顔をしている。どん引きなんですけど~って奴だ。

「エロ本を段ボールに詰め込みまくった悠君を見るリリィちゃんとかけて空っぽになった体育に使うライン引きと解きます」

「…その心は?」

「どっちもこれ以上引けないっ」

 簡単なうえに面白くもなんともなかったよ。

 そんな事はお構いなしに葉奈は段ボールをチェックしている。

「しかもラベルまで振ってる…すごい、こいつは凄いよ、リリィちゃん。引越しの業者さんに『うわ、巨乳系とか書いてある…今度俺のコレクションと交換してもらおう』と思わせる酷いやり方だ」

「どんなやり方よ」

「こんな犯りか…軽いジョークさ。その段ボールは人に投げて当てると圧死するから大人しく下ろしてくださると助かります、はい」

 ふざけるのはここまでにしようか…。

 良く考えてみると押し入れは見ていなかったな。

「開けたら黒ネコとか…」

 開けようとすると、微かな音が聞こえてきた。

 きっと僕の顔は青くなっている事だろう。

「…これマジでやばくない?」

 投手交代、と目で送ってみた。

「大丈夫やばくなくない」

 まだやれる。お前はまだ投げる事が出来るよ、そんな視線が返ってきた。

「絶対やばくなくなくないってぇ」

「いいから、さっさと開けなさいよ」

 お鍋を被ってお玉で武装している人がいるから大丈夫だろう。リリィさんなんて警察呼ぶ気満々だ…と思ったら『○○寺』とディスプレイに表示されていた。幽霊系が出ると思っているのか。

「駄目だな、お玉じゃ勝てない…俺はこの段ボール(ロリ系)で闘おう」

「やめて!開けるのマジでやめて!」

「さすがに恥ずかしいのね」

「ロリ系は数が多くてかたすのが超面倒なの!」

「そっち?」

「くくく…ロリ好きのお化けならこいつで一発さ…って、重っ。リリィちゃん地味にすげぇよ。これ持った引越しの兄ちゃんすげぇな」

「タイトルに興奮して持ち上げてたよ…合法ロリを探しているんだって」

 所詮この世に合法ロリは存在しない。全部アウトだ。

「じゃ、じゃあ開けるよ?」

「う、うん」

 本当に大丈夫だろうか。こっちは男一人、女の子二人だ。腕っ節に自信はあるとはいえ、特殊部隊がわらわら押し入れから出てきたらどうしよう。失禁しちゃうかも

「一、二の…えいっ」

「え?三じゃないの?」

「ちなみに俺はいちにのさんはーい…で、開ける」

 そして開けられる押し入れ。黒ネコなんていなかった、裸の小学生男子もいない。しず○ちゃんの風呂場にも当然つながっちゃいない。

「なーんだ、なにもいないじゃん。はは、驚かせやがって」

 先ほどは引っかかる事も無く開いたふすまが今度は閉まらなかった。

「え?何言ってるんだい悠君」

「そこに…女の子がいるじゃない」

「僕には、見えないねっ」

「…えいっ」

「ぎゃああっ」

 目、目を突かれた…どうでもいいけど、目がぁ目がぁ~とかしたら確実に心配してもらえないよね。

「嘘です、お兄ちゃん…嘘つきました。僕には見えない幽霊にしたかったんです」

「彼女は人間だぞっ」

 目がくりっとしておかっぱの妹だ。幽霊ではない、人間だ。

「えっと、妹?」

 リリィさんが困惑した顔で僕と妹を見比べる。

「悠君と似てないねぇ。悠君の隠し子?」

「いや、祐城の隠し子じゃ妹にはならないでしょ」

「僕の家族再婚してね。その時ついてきたのがこの子。ちなみに家族になって会うのは二回目だから名前もまだ知らな…くはないね。うん、嘘はよくないね。謝るから落ちついて安子。再婚した相手の連れ子、安子って言うんだ」

 そう言うと重たい感じの空気になってしまった。まぁ、リリィさんだけだけどね。

「え、何どうしたの?」

「…あ、あんた…よく軽く言えるわね」

「ま、それはおいおい話すとして、ところで君はなんでここに居るんだい?」

「ぬ…住みに来た」

 盗みに来たって聞こえたよ。ヘッドフォンの音量MAXであえぎ声聞きまくっていたから最近耳が遠くなったのかな。

「そうかい、そりゃあよかった。じゃ、其処に住んでてね」

 そういって押し入れを閉める。

「これで一件落着だね。はは、お騒がせして悪かったよ」

「えと、あの子はあのままでいいの?」

「後で外に放り出すから気にしないで」

「うわ、酷いわねあんた」

 葉奈が先ほどから何か呟いている。

「どうしたのさ?」

「…ヤンデレ希望、ヤンデレ希望、ヤンデレ希望…妹の安子ちゃんは根暗でヤンデレ希望…どうせ考えずに出したんだからヤンデレ希望」

『その願い…叶えて進ぜようぞ…』

 やべぇ、妹の設定ヤンデレ決定かよ…。

「…ヤンデレならヤンキーの方で、神様、ヤンデレならヤンキーの方でっ」

「何してるの?」

 隣の和室からまた音が聞こえてきた。

「お兄ちゃんに近づく女の子なんて、全部あたしが…」

 ふすまの内側から出刃包丁がこんにちは。

「病んでたっ。ヤンキーじゃなかった…」

 神は、いない。

「…脳内で処理してやる」

「行動力ない子、意外と僕は好きだな」

 スプラッタな内容は御免である。

「じゃあ俺らは帰るよ」

「うん、ありがとう助かったよ」

「私も帰るわ。あ、祐城、丸地、今日はありがとね」

 はにかんだ様子でそういうリリィさんに僕は…笑って『チョコレート、おいしかったよ』と答えようとした、が。

「……ううん、気にしない、で」

「馬鹿な、気付けば後ろだとっ」

 安子がそう言って二人を驚かせていた。おかげで作戦はパーだった。

「嘘、俺より身長あるのかよ…この子」

「そっちかい」

 妹の身長は百七十だ。僕?僕も大体そのぐらいで葉奈は百六十五ぐらいだろう。

「おっと、後でお世話になるってリリィさんの家族に菓子折り持っていくよ」

「え、あ、うん。ありがとう」

「俺のところにも頼むよ」

 きざったらしく前髪をはじく。

「とびっきり甘いチョッコレィツをもっていく」

「菓子折りなんて隣近所だけだからかんがえてみれば俺は無理だな」

「じゃあ最初から言うな」

「同情するなら菓子をくれ」

「この期に及んでまだ言うのかっ」

 ポーズを決めて人差し指で安子を撃つ葉奈。

「安子ちゃんのハート狙い撃ち。ばーん♪」

「どきゅん、ときめき……あたし、この人と結婚する。お兄ちゃん捨てる」

「や、ヤンデレーっ」

 これ以上わけのわからない状態になっても仕方がないので二人には帰ってもらった。


どうもはじめまして雨月です。1.2.3話をまとめたものを二月十四日に投稿しようと考えてどうせなら連載してみるかと思い立ちました。いっつも中途半端にラブコメだったので今回はボケまくろうかと…。だからテンション高くしてやってますとも。感想とか頂けるとかなーり、うれしいです。どのくらいうれしいかと言うと卵を割ったらヒヨコが出てきた時ぐらいうれしいです。やったね、今日は若鶏のからあげだよ母ちゃん。

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