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第一話:実に自然に女子生徒へブルマを返す方法

第一話

 二月十四日、新しいパパが出来たおかげで新しい学園に引っ越すことになった。

「けっ、ふざけてらぁ」

 今年は隣のよっちゃん、やっちゃん、みゆきっち、ごっつん、ゆんゆん、てるるん、IOT(生き遅れティチャー)や用務員のおばちゃん、その他諸々からチョコレートがもらえるはずだったのにパーになってしまった。

 しかも、わけのわからない妹までできちまってそんな展開望んでなかったって―の。ギャルゲーやるなら真っ先に年上ルート行くわい。

「しかし、反抗期はもう過ぎた…でも、念願の一人暮らしは味あわせてもらうぜ」

 せっかく入学してからおべっか使いまくったというのに。二月十四日は確実にチョコレートをもらう為なら僕は悪魔にだって命を払うね。

「土下座はやり直しか…」

 土下座をしながら付き合ってください…そんな告白場面を見てからこれっきゃないと思ったね(※告白した人はキモイと切り捨てられました)。プライド?二月十四日にチョコレートをもらえない奴が言う資格はないさ。

 今日が二月十四日だからね。

 今年は何をしたってもう間に合わない…だから、既に準備している。自作のチョコレートは既に準備済みだ…昨日のうちに自分の靴箱に仕込んでおいた。そう思っていた時だった。

「遅刻だーっ。先輩にチョコ渡してついでに想いも伝えないと―っ」

「あらあらまぁまぁ、実際にあんな痛い子がいるとは思いませんでしたわ」

 ツインテールにした少女が僕の目の前を走っていく。その鞄から何かが落ちた。

「拾いませんよ?ええ、拾いませんとも」

 どうせお約束のチョコレートだろう。そうしてさっきの子が戻ってきて面倒事に巻き込まれるのだ。ツンデレっぽかったし、基本的にツンデレってマイナス要因から入っていくよね。僕あれ嫌い、と言うよりツンデレ嫌い。

「いや、ブルマが落ちてるっ!何これヒャッホー」

 ブルマには『リリィ・デレッタ』と書かれている。

「リリィ・デレッタさんか…いいお尻だった」

 ツンデレではないようだ。多分、ドジっ娘属性かな。あ、ドジっ娘は遠慮しておきます。実際付き合ったら仕事できない人だからね。

「…ついブルマを拾ってしまったけれどここは心象を良くするために返しておいた方がいいだろうか…」

 でもどうやって?

 スタイリッシュに窓から滑り込んで『お譲さんブルマ落としましたよ』か、それとも下駄箱に『素晴らしいブルマでした』…いやいや、おとぎ話みたいに『このブルマを履いてくれませんか?おお、ぴったり!貴方がツンデレラでしたか!』かな。

 うーむ、とりあえず顔を見せるのはNGだろう。何せ、僕はれっきとしたむっつりだからね。むっつりはオープンにしていちゃ駄目なんだ。

「ま、とりあえず人に見られる前に鞄に入れておくか」

「あ、変態だ」

「早速ばれた…」

 僕の方へとやってくるきりっとした男子生徒。ふむ、どうやら僕と同じ学園の生徒さんのようだ。

「俺は丸地葉奈。よろしく」

「何で色々端折って握手求めてるの?」

 相手が手を出していたので素直に握手してしまった。

「俺まどろっこしいの嫌いなんだ」

「僕は段階を踏んで大人になりたいよ」

 君が好きだからからのベッドインならわかるが早速ベッドインはどうだろうか。お金で解決しちゃう方々もいるが…普通に考えて駄目だろう。

「僕は祐城悠だよ。羽津学園の一年さ」

「そうかい、俺も一年だよ。転校生だろう?」

「そうだよ」

「そうかそうか、そりゃあ良かった…じゃあこっち来てくれ転校生くん」

「名乗って無い時にそういう呼び方するんだよ。ここはフレンドリーに悠君から行ってみようか」

「悠たん」

「おえ」

 まだ時間はあるので葉奈の後について行く。

「何、怪しい壺でも売りつける気?」

「いやいや、見せてもらいたいものが…」

 鞄を降ろして何やらやっている。いぶかしげに見やるとこっちを向いた。

「ほら、ブラジャー」

「…成るほど、転校した先で出来た初めての友達が変態だった…と」

 ショックだ。類は友を呼ぶのだろうか…。

「ちょ、ちょっとお兄さん誤解だ。俺は女。お・ん・な」

「妄想癖まである…っと、今後は学園で僕を見かけても声をかけないでね。あ、一人の時は相手してあげるよ。九分だけね」

 僕って超優しいな。

「おいおい、本当だって。何なら触ってもいいよ?」

「うん、わかった、君が女の子だと言うのはわかったよ。だから触ってとか軽々しく言うもんじゃない…むっつりの純情を踏みにじっちゃあいけない」

 むっつりは思い出し笑いとか真面目な振りして心の中でほくそ笑みます。あくまでそれは刺激の低いものであって生で見たら顔に出てしまいむっつりではなくなるのです。

「この事実を知っているのは学園では、君だけになる」

「すごぉい、体育とかどうやってごまかしたの?」

「俺、体は弱いから。体育ないの」

 これ以上この人に関わってはいけない…そう思って逃げようとしたら腕を掴まれた。

「いや、ほら今日は二月十四日だろ?だからチョコレートを君にあげようと思う」

「はっ、この程度で買収されるとでも?」

「うん、交渉成立だ」

 いけね、ついいつもの癖でもらっちまったよ。


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