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第6話 スケジュール

剣術、と言ってましたが、結局は色々としてます。



次の日僕は、日の出の少し後ぐらいに起床した。


昨日は結局あの後疲れてずっと寝ていた。朝まで。睡眠時間は優に15時間オーバー。


睡眠によってある程度魔力は回復したのだが、今日になっても少し倦怠感が残っていた。


……そういえば母さまは、魔力を使い切ったほうが最大量が増えやすいと言っていた。1回でどのぐらい増えるんだろうか?


……って、最近はステータスなんて全く見てなかった。比較のしようが無い。


仕方ない、今見ておいて、今日全魔力を消費した後(結局明日になるけど)でまた確認することにしよう。机に行き、二重底……ではないが引き出しから魔導書を取り出す。


「スキル:ステータスチェック、オン」


ステータスが表示された。



《ステータス》


氏名:リュー・ベテルギル

性別:男性

年齢:5歳

職業:無職

地位:平民


推定魔力量(MP):213/256




あれ?魔力量おかしくない……?半年近く見てなかったし、昨日は魔力を使い切ったけど、この量はちょっと増えすぎじゃないのかな……!?


……いや、今は成長期だし、もしかしたら伸び盛りなのかもしれない。こういうものなんだろう。それに多くて悪いものじゃないしね。


それにしたも、あれだけ寝たのに魔力がまだ回復しきってないなんて驚きだ。



そうだ。何かスキルを創ろう。




「スキルクリエイト、オン。スキル:魔力回復促進」


思いついたスキル名を言ってみる。どうみてもそのまんまです、本当にありがとうございました。



電子音がしたので、スキル一覧を開き、新たに加わった項目に触れる。



《スキル:魔力回復促進》


効果:『使用者の魔力自然治癒を大幅に促進する。代償として、大量のカロリーを消費する。』

制限時間:なし

再使用可能時間:なし

必要MP:なし

備考:体内に生命保持に必要な最低限のカロリーしかなくなった場合、このスキルは強制的に解除される。


おお。これならいつも使ってられそう。


さっそくスキルを発動する。


「スキル:魔力回復促進、オン」


発動したそばから、かなりの空腹感がやってきた。……カロリー消費だからって楽観視してた。


…なにか食べないとこれはまずい。そう思った僕は魔導書を急いで引き出しに仕舞い、部屋を飛び出し、ダイニングへ向かった。




ダイニングには朝早いにも関わらず、母さまがいた。


「かあさまおはよう!!なにか食べ物無い!?」


「おはよう。早いわねリュー。朝ごはんならもうできてるわ。……昨日リューが食べなかった分の夕食があるのを忘れてたんだけどね……。」


失敗した、と言う風に母さまが言う。いや、渡りに船とはこのことだ。流石です。


「かあさま、それもちょうだい!!できるだけたくさん朝ごはんを食べたいんだけど」


「え、ええ…分かったわ。」


そろそろ空腹感が辛くなってきた。僕は母さまが運んできた朝食(第一弾)をかき込み始めた。





∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





朝食後、僕はすぐに部屋に戻った。


「スキル:魔力回復促進、オフ」


今までスキル中断なんてした事はなかったけど、とりあえず試しで言ってみた。


通常より2,3音低めの電子音が響く。これでよかったみたいだ。


続いてステータスチェック。


推定魔力量は254/256 となっていた。よかった、大分回復した。


さてと、今日はあと数時間後から正午まで剣術、昼食休憩を挟み、午後から2時間ほど体術を、それから今日も魔術を教えると、朝食を食べているときに母さまが言っていた。スパルタですね、分かります。


そういえば、母さまが曜日ごとのスケジュールを作っていたようなので、ここで紹介しておくことにする。



9時~12時_剣術 12時~13時_昼食休憩 13時~15時_武術 15時~_魔術



これが水曜日以外の曜日のスケジュールで、水曜日は1日休み。そして火曜・金曜は最後に魔力全消費。


とまあ、5歳児に対してとは思えない苛烈な日程になっている。ありがたいけど。




∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





9時前に母さまの元へ動きやすい恰好で行き、一緒に空き地に出た。


「これから、あなたに剣術を教えます。正直口で言って教えるのは色々と無理があるので、まずは私の動きを見ていなさい。」


そう言うと、母さまは家のどこかから持ってきたらしい、自分と背格好が同じくらいの大きな人形(と言っても顔も何もないが)を持ち上げ、何か詠唱を始めた。


母さまが詠唱を終えると、人形が自立し、一緒に持ってきていた木剣を拾った。


「これは戦闘人形コンバットドールといって、決まった言葉を言うとそれに応じて難易度調節をし、使用者が戦闘体制に入ると自動戦闘を始める魔道具よ。じゃあ、始めるわよ?」


母さまは言い終わると木剣を構える。それに反応して、人形が走り出した。人形だけど動きはまあまあ滑らか。


人形が右から左に木剣を一閃するが、1,2歩下がって母さまはそれをかわす。腰を少し落としたかと思うと、急加速して胴を打ち抜く。だが人形も負けておらず、後ろに飛んで衝撃を減らしていたようだ。


人形がおびただしい数の鋭い突きを繰り出すが、母さまは全てかわす。最後に人形は木剣を横に薙ぐ。が、それを受ける前に母さまは飛び上がり、人形の頭上を宙返りしつつ木剣を人形の頭に叩きつける。



流れるような回避、素早い切り返しに軽い身のこなし。僕は母さまの剣技に見蕩れていた。



5分ほどすると人形が倒れる。母さまは無傷だ。


「ふう、久しぶりだから息が上がっちゃったわ。どう?何か感じるものがあった?」


「えっと……、母さまはフットワークが軽くて、相手を翻弄するのが上手いと思ったかな。」


正直な感想を述べる。


「まあ、それくらい分かれば上出来ね。冒険者だった頃はパーティー内で撹乱役をやっていたわ。こういう動きをするためには自分が良く動けることも大事だけど、相手がなにをしようとしているか、どう動こうとしているか、何が得意なのか、なんかをちゃんと見極めなければいけない。」


なるほど。しっかり分析しながら動くわけか。


「じゃあ、次はリューの番ね。はい。」


人形が握っていた木剣を渡してくる。



スパルタ開始。





∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





午前中の地獄……いやいや、剣術指南を終えて、昼食休憩。


食べ終わって20分ほど休んでいると、母さまに声を掛けられる。午後からの体術だ。


午前中と同じようにまずは母さまと人形が戦い、その後僕と母さまで組み手や型をやる。

15時になる頃には僕はボロ雑巾………もとい、疲労困憊で地面に転がっていた。


大丈夫?と言う母さまがしゃがんで頭を撫でてくれていた。恥ずかしいので、すぐに立ち上がる。


「さ、ラストスパートね。今日は昨日やった火属性に加えて、水・風・地属性の魔術もやってみましょう。」


言われたとおり、まずは火属性。火を掌に点し、岩に向けて発射。


続いて水。これはすぐに出せたが、それと同時に下に流れ落ちてしまった。掌に留めておくのが難しいみたいだ。試行錯誤して、ようやく撃ち出すことに成功。


お次は風。これは、火属性と同じくらいイメージがし易く、すぐに風の刃を形成し、岩を切り裂いた。これは結構使い勝手が良さそう。


最後に地。……えっと、壁でも…作ればいいの…??


………壁…?




ハッと閃いた!!!




胸の前で合掌し、両手を地面にバン、とつける。すると周りの土を削り取るようにして土の壁が出現した。…………お分かりいただけただろうか………?


「よし、これでいいかな?かあさま。」


「ええ。……それにしても……またあんなにいとも簡単にできるなんて。………最後の動作はちょっとよく分からなかったけど」




……て……てへぺろっ……!






これで今日1日の指南が終了した。



僕はこれを、いや、これ以上のものをあと10年近く続けることになる。





――――全てはあの目的のために――――。

次話は再び時間軸が飛びます。それと、第三者視点になると思います。



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