第3話 スキル
ふう……
次にするべきは身の安全の確保、かな。サリーヌさんもそれを前提としていたわけだし。
つまりは防御系のスキルを創造すること。
全自動で防御とか、そんな感じで。………よし。
「スキルクリエイト、オン。スキル、自動防御」
………あれ?何も起きない?
え?なんで!?何か間違えたっけ……?
1分以上の時間が経ち動揺していると、頭の中に電子音が響く。
とっさに本を見る。
《スキル:自動防御を発現しました。》
……よかった、できた。でもなんであんなに時間が…?
ひとまず一覧のページを開き、自動防御の項目に触れて詳細を見る。
《スキル:自動防御》
効果:『使用者への攻撃を自動で防ぐ防御壁の展開が可能になる。』
制限時間:無し
再使用可能時間:無し
必要MP:100/分
おお、良いスキ……ル…?
……必要MP高いな。
よし、早速試したい…けど、あれ?MPって大丈夫なのかな?自分のMPの総量知らないし。
仕方ない、ここはステータス確認できるスキルでも創るか…。
「スキルクリエイト、オン。スキル、ステータスチェック」
言い終わって1秒も経たないうちに電子音。…今度は早い。
《スキル:ステータスチェックを発現しました。》
本に文字の表示。
一覧で確認。
《スキル:ステータスチェック》
効果:『胸に手を当てると自分のステータスを読み取ることが可能になる。』
制限回数:1回
再使用可能時間:10秒
必要MP:1
すごくエコ。さっきのとは大違い。………ん?
もしかして……発現するまでの時間は必要魔力に応じてる……のかな?
まあ、その辺りの考察はまた後にして、さっさとステータスを確認しよう。胸に手を当て、言葉を紡ぐ。
「スキル:ステータスチェック、オン」
…何気に、スキルを使用したのは初めてだ。翻訳はまだ使っていないから。
本……いや、これ以降魔導書と言おう。魔導書が薄く発光し、文字が浮かぶ。
《ステータス》
氏名:リュー・ベテルギル
性別:男性
年齢:4歳
職業:無職
地位:平民
推定魔力量(MP):62/63
あれ……?情報少なっ!!
え……??おかしくない?これ!?もっとさ、こう……あるよね!?STRとかVITとか!!
……数値化できないのかな?
にしても…MPの最大が63じゃあ……自動防御は使えないなあ……まあ、4歳だし仕方ないのかな…。
玄関のドアが開く音がした。
!!……やばい、もう帰ってきた!?
魔導書を枕の下に隠し、別の本を読み始める。
ドアが開き、母さまが部屋に入ってくる。
「ただいま、リュー。良い子にしてた?」
「かあさまおかえりなさい。うん、本読んでた」
ごめんなさい。あなたのお部屋に忍び込んで魔導書を拝借いたしました、母さま。
ついでにさっきまでスキル創ってました。
「でもかあさま、今日はすごく早かったね。薬草はちゃんと採れたの?」
そうだ。いつもは短くともあと1時間は帰ってこないはずなのに。
「今日はちょっと魔術を使って、急いで薬草を採ったの。だからいつもより随分早く帰れたわ。」
え。
「かあさま、魔術を使えるなんてすごい!!……もしかしてかあさまは、とっても強いの?」
「あら、褒めてくれてありがとうリュー。そうね、昔冒険者をしていたから、魔術や剣術は一通り使えるし……そこそこ強いと思うわよ?」
これは……師匠問題解決しちゃう…!?
「そうなんだ!!じゃあかあさま…ぼくに魔術や剣術を教えてくれない?」
勢いで聞いてみた。
「えぇ!?リュー、私があなたに??危ないわよ。……そもそも、どうしてそんなことを…!?」
「……ぼくは…この目でドラゴンをみてみたいから、冒険者になりたいんだ。……おねがい…?」
母さまの服を少し引っ張りながら懇願する。
「……ドラゴン…ね……そう…。少し考えさせてちょうだい。」
まあ、いきなりこんなこと言われて、即答するほうが逆におかしいよね。
「それじゃあ、私は薬を作るから。…男の子だからかしら…やっぱり憧れが…」
母さまはそんなことを呟きながら部屋を出て行った。
良し悪しと言うより、単純に驚いているような反応だった。
…良い答えに期待したいなあ。
次回は時間軸が多少飛びます。