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第20話 出発と襲撃

どうしてでしょうか。書いているうちに駄文にしか見えなくなりました。



※実質的に駄文です


「やあ、3日ぶりだね。充実した日々を送れたかい?」


王都へ戻る日、僕達が近づいていくとショーンさんは破顔しつつそう言った。


「まあまあ、ですかねー。ショーンさんこそ、セレスさんとはイチャイ………いえ、ニャンニャンできましたか?」


「………うん、言い換えなくていいね。まあ、有意義な時間を過ごせたよ。………また暫しの間会えないのが淋しいよ」


そう言って渇いた笑い声を出す。


「………どうして一緒に住まないんだ?……何か事情でも?」


エル………おま……………敬語使えないんだね………。


「………まず………私が王都に住むのは、商人としては流通の拠点に居たいという思いがあったからだよ。一時期リンコマで商売をしていたこともあったんだが、あまり儲けが芳しくなくてね。」


「セレスさんがギルドを退職するとか……王都で新しい職を探すとか、そういったことは考えたんですか……?」


リーナが問う。


「ギルドで働くのは小さな頃からの夢だったらしいからね……。王都のギルドに異動願を出したそうだが、あちらの人手は足りていて受理されなかったと話していたよ。なんとも難儀な話だね。」


そう言って苦笑する。


「………そのうち……セレスさんが異動出来るといいですね……。」


僕には……これくらいの事しか言えない……。


「………そうだね。………っと、こんな話をしている場合じゃなかったね。皆準備は済んでいるようだし、早速出発しようか?」





∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





ショーンさんの言葉で出発して早3時間弱。未だ一度も魔物は出ず、時折雑談をする以外は特にやることも無いので皆が満場一致で『暇だ』と思い始めていた。


「そういえば―――リーナとリューは誕生日っていつなんだ?」


そんな中、エルがそう切り出した。


「え、いきなりどうしたの?」


突然の質問にリーナは驚きの声を上げた。


「そうだよ。脈絡無さすぎ。あ、別に『こいつ何言ってるんだろう』とかは思ってないからね?」


「おい、その微妙な表情、絶対思ってんだろそれ!!…………あー…いや、パーティー組んでそれなりに日が経つのに、俺達お互いのことよく知らねえなーって、ふと考えたんだよ」


確かに。自分のことについて話す機会がほとんど無かったという事が大きいと思うが、僕達はそれぞれの生い立ちなんかはあまりよく知らない。


「ああ、言われてみればそうだね。今まであんまりマジメに話せずに、ふざけてたし。」


「主にリューがエルを弄り倒すのが恒例だったけど」


ティファが此方をチラリと一瞥しながらそう言う。


「うん、確かにいっつも―――あれ?リューって2人と会う前はもっと酷くなかったっけ?」


酷いって……他に言い方無いのかな……。


「………それはただ、場を盛り上げたかったからだよ。ほら、女の子と2人きりなんて状況初めてだったから。緊張してて」


「そ、そうだったんだ……?」


「………おーい?大いに話が逸れたんだが………元に戻しても?」


眉を少しひそめつつ、エルが口を挟む。


「あ、ごめん。で、誕生日だっけ?えっと………まず、エルはいつなの?」


「ああ、俺は青の月の3日だな。」


あ、説明をしていなかったけどこの国(他の国もそうなのかは知らない)では、月を色で識別している。赤燈黄緑青藍紫黒金白、の順で、1年370日を37日ずつ分けている。赤の月は地球で言う新年のころで1月頃、白の月が12月頃である。


へえ、髪と瞳の色と一緒だね、と言うとエルはニヤリと笑い、言った。


「あんまり有名な話じゃあないがな、月の色ってのは元々、獣人族の髪と瞳の色に由来してんだよ。獣人族の髪と瞳の色は生まれた時期毎に移り変わる。そこから十色の月が考えられて、いつの間にか人間族や他の亜人にも広まったって訳だ。」


へえ、それは初耳。


「エルって結構博識なのかな、見た目に反して?」


「おいコラ、それは見た目は馬鹿って言ってんのか……!?」


「ええっと………じゃあティファはどっちの月なの?」


リーナがそう言うと、エルとティファの表情が明らかに曇った。


「えっ………なんか私聞いちゃいけないこと聞いた……?ごめんなさい、生きててごめんなさい」


それを見たリーナが涙目になりながら謝り始める。え、そんな自虐キャラだったっけ……?


「リーナ、大丈夫だから落ち着いて」


ティファが声を掛けつつ、肩に手を置く。


「私の髪は元々緑。色々あって白くなった、それだけ。」


………その『色々』はかなり重い話になるんだろうなあ………。


「ああ、こいつの髪の色はさ、周りから賞賛されるほど綺麗な緑色だったんだ。なんつーか………新鮮な野菜的な色……?」



………………………



「おいリュー、何笑ってんだよ!絶対俺の事馬鹿にしてんだろ!?」


「えー……いやぁ……馬鹿にはしてないよ?馬鹿だとは思ってるけど。」


「変わんねえよ!?」


「……で、結局は誕生日いつなの?」


「スルーか!!」


「緑の月、19日。」


ティファが簡潔に述べる。


「私は燈の月の36日。リューは?」


リーナがそう答えて、僕にも聞いてくる。


「僕は白の月の26日……ってことにしてるね」


「お、あと二ヵ月でお前も15歳か」


「そうだね」


…………まあ、実際は30歳…いや、なんでもない。





∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





時刻は夕暮れ時。あと少し進んだら夜営の準備ということで、丁度僕の索敵の効果も切れている時だった。


「左右から何か来る」


と言ったのはティファ。彼女の魔術が接近してくる生体反応を捉えたらしい。


魔物か、と思い急いで馬車の上に登る。僅かに遅れてティファも登ってくる。


「ごめん、今索敵切れてて……左右から何体ずつ来てる?」


「分かってる。右が15、左が18だと思う。」


数が多い。どう対応しようか、と考えていると、不意に奇声が聞こえた。


「今のって人……だよね…??じゃあ……もしかして盗賊…!?」


途端に両側から、馬に乗り武器を持った盗賊が飛び出してくる。


「ヒャハハハハハ!!!!!今すぐ止まって金と女の子を差し出しやがれェ!!そうすれば命だけは助けてやるよォ!!!」


右側から声が上がった。初遭遇だけど盗賊って………ホントに面倒臭そう。


「任せて。………一旦馬車を止めて」


そう、ティファが言った。彼女が何かを主張するのは珍しいことだった。


ショーンさんも何か考えがあると踏んで、馬車を停止させる。

それを見た盗賊が沸き立つ。


「ぃよぉーし!!!正しい判断だなァ!!!………ヒヒヒ、女の子は3人か……久々に楽しませて貰おうかァ!!!」「さすが親方ッスね!!3人共粒揃いじゃないッスか!!」「俺あの白髪の子で!!」「いや普通あっちの金髪の子だろ!!」「バカ言え!!茶髪の子が一番可愛いじゃねえか!!」etc....


……うん、聞かなかったことにしよう。


僕が崩れ落ちている間に、ティファが詠唱をしていく。


「我に仇なす者を闇で覆い、深き眠りへと誘え―――」

「え、ちょ、あれ魔術じゃね!?」「やべェよ!!やべェよ!!」「ちょ、おま、やめ…」


盗賊達が騒ぎ出すが………ってなにこれ………。


「スリープ」


途端に盗賊達の周りに黒い靄が現れ、全身を包んでいく。


「うおあああああ!!!!」「た……助……け……」「死にたくないぃぃぃいい!!!!」


…………いや、死なない死なない。どんな効果か一目瞭然じゃん。


そうこうしているうちに、盗賊達がドサドサと倒れていく。


靄が晴れる頃には、辺りにはいびきが響いていた。





∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





その後、盗賊達から武器を取り上げ、手足を縛りつつ一カ所に纏めて、土魔術と火魔術の応用で作った鉄格子で囲う。


「簡易牢屋の出来上がりーっと。ティファ、お疲れ様。」


「リューもご苦労だった。」


「まさかの上から目線!?」


「あー……、それで、こいつらどうするんだ?」


エルが問うが、正直何か考えがあって牢に入れた訳じゃなかった。


「放置しておいて構わないと思うよ?」


ショーンさんが馬車から降りて近づいてくる。


「え?どうにかしなくていいんですか?」


首を傾げつつ、リーナが聞く。


ショーンさん曰く、リンコマの警備兵が週一でこの辺りを見回るようになっており、明日もその日であるため、だそうだ。


眠り続ける33人の男たちを放置しつつ、夜営の準備に取りかかった。

8/1加筆修正

8/24(2014年)加筆修正

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